幸村転生 ─ 転生したその世界に助け求める人がいるなら真田幸村はまた再びその剣を取る ─
石丸慎
第一話 「最後の決戦」
「死ぬには
その晴れやかな空の下に目を向けると、血で血を洗う凄惨な
後の世に
だがその
どんな死が訪れるかはわからない。だが遅くとも
「これは
幸村は、ポツリと呟いた。
「
同じ赤い鎧兜の
「アハハ、これは駄目ですね。ま、やれることはやりました。
同じく
幸村も、にこやかに
幸村も才蔵の
(たしかに、やれることはやった。だが、まだだ。まだ一つある)
幸村は
「皆の衆!この世に生き飽きた者だけ着いて来い!最後の死に花、咲かせに行くぞ!」
兵たちは幸村を見た。その
「オォー!」
兵たちの
「行くぞ!
幸村は
「おう!」
つつじの花のような鮮やかな真紅の鎧兜に身を包んだ
幸村率いる手勢三千は、徳川家康の
「御館さま、うまくいきませんでしたな!」
横に付き従い馬を走らせる佐助が、笑って言った。
豊臣方の
佐助は、これがうまくいかなかったことを言っている。
「しかたあるまい!だが
幸村は笑って応えた。馬の
「ククク、違いない!」
佐助も
「
才蔵が
「ほう!
幸村は軽やかに笑った。
(今日が俺の
幸村は微笑をうかべ振り返ると、付き従う武者達の顔を見た。迷いの
(おまえらも覚悟はできているわけだな)
「かまわん!押し通る!我らの刀槍の切れ味、政宗公にお見せせよ!」
幸村、漆黒の
「ものども続け!」
佐助が叫ぶ。
幸村は馬の速度を落とすことなく駆け抜けながら、凄まじい勢いで槍を繰り出していく。
「かまうな!狙うは家康ただ
槍の
「御館さま!」
それを見て、佐助は叫んだ。組み合っていた
「どけ!」
と怒鳴って蹴りを入れると、馬を走らせ幸村を追った。
「どけどけ!死にたくなければ道をあけよ!」
幸村と付き従う武者のあまりの勢いに、徳川方の兵は
「御館さま!見えました!あの金の
「佐助、さすがは忍びの者よ!この
幸村の馬は、
「
金の扇の馬印の前におかれた
「いかにも。徳川家康よ。その真紅の鎧、真田幸村か。
馬廻衆は、
そのなかでも、もっとも屈強な騎馬武者が家康と幸村の間に割って入った。身の丈六尺はあろうか。漆黒の鎧に、漆黒の槍。歳は
「我は三河の
「よかろう!」
家康に向かい
幸村は
「ぐふゥ!」
番は叫ぶと、あお向けに
「クッ、あの番竜一郎を
家康はうめいた。
朱槍をうしなった幸村は腰の愛刀、千子村正二尺三寸の
「家康公、御首頂戴!」
幸村が家康に切りつけようとした。
その
家康本陣の後ろに潜んでいた
「ウグッ!」
と、うめき馬から背中側に倒れていく。落馬すれば、たちどころに囲まれ首をとられよう。倒れゆきながら空の青さが目に入った。
(そうか、ここまでか。ならば仕方あるまい)
「やったか!冷や汗をかいたわい!」
「
言われなくても
「殿、幸村が見つかりません!」
「これは
「はっ!」
「まぁ良い。とにかく幸村は消えた。
家康は静かに命じた。
鉄砲隊は、幸村を失った赤揃えの武者たちに冷たい
(……ここは……
幸村は
そこは───
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