第三十八話 夜襲
その男、マガトである。大きくあくびを一つした。あくびを
「……あ!……ぁ!……」
覆面から覗く目は鋭く、その
「……だ…だれ……だれだ!?」
腰のサーベルに手をかけると立ち上がる。
覆面の男の目が笑う。
「マガト、俺だよ」
覆面の男は、その覆面を
マガトは引きつった笑いを浮かべる。
「……へへ……なんだよ……キリーか……なにしに来たんだよ……へへヘ」
マガトはサーベルの柄を握ったまま言う。
「ま……まだ金はいらないぜ。ちょっとしたら
才蔵は、冷たい
「そう言わずに金をもらってくれ」
「え……!?」
「
マガトは、サーベルの柄を握りしめていた右手を開き、おずおずと前に出した。才蔵はその右手にアズニア
「こんなに……くれるのか?」
マガトは上目遣いに才蔵を見る。
「あぁ、やろう。前に金貨三枚じゃたりないって言ってただろ」
「……」
マガトは
「ところでマガト、三途の川って知ってるか?」
「……知らないよ。何だよ、それ……」
「知らんのか。日ノ本では、死ぬとその川を渡ると言われている。その川の渡し賃は六文だ。六文ってのは
「何言ってんだよ!……オレを……殺すつもりか?オレが死んだらしたら
「その手紙は、きっと届かん」
「何でそんなことが言える!」
「この城が、これから
「ふざけるな!!」
マガトはサーベルを
「チッ!!」
マガトは、さらに二撃、三撃と突きを出す。
「どうだ、キリー!剣技は
大きく踏み込み
才蔵は静かに、だが目にも留まらぬ
「あ!ぁ!」
「じゃあな。渡し賃はケチるなよ」
才蔵のナイフが素早くマガトの首の
「……!!」
マガトは
「カネを渡すのはこれで
才蔵は、マガトの握る朱鞘のサーベルを
カツカツと石の廊下を歩く
「おい、マガト……!死んでるぞ!」
城を出ると南へ。アズニア
才蔵は
「チッ……何か
門番は、ひとり槍の素振りを始めた。その
「あ!ングゥ!!」
才蔵は、
「動くな……。
静かに、
「ま!またかよ、なんでこの門ばかり破りに来るんだよ!おとなしくする……!たのむ、助けてくれ……!」
青ヒゲの門番は、濃い眉を吊り上げて引きつった
「ならば
言うと才蔵は、
「そこで、朝までじっとしていよ。動けば殺す」
才蔵は、
(この門、まえに
幸村は、才蔵が
「オヤカタ
才蔵が、頭を下げる。
「才蔵、ご
幸村は後ろを振り返ると、
「行くぞ」
「オヤカタ様、ダンジオ公の
「わかった」
城の
「あ!
言った
「曲者だ!衛兵!衛兵!」
それを見ていた、アズニア兵が叫ぶ。
その
(今、決着をつけるしかあるまい)
幸村は城の中へ。素早く
「
そこにいたのは、
幸村である。
幸村はニヤリと笑うと言う。
「これはこれは。お久しぶりですな───
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