第76話 イケメン
初めてシャロアと会ってから、数日が過ぎていた。
今日学校へ行くと、教室の前に女子生徒が集まっていた。
「はあ、またですか」
アイリはその光景を見たことがあるのか、戸惑うことなく、その女子生徒を掻き分けて進んで行った。僕たちはそのアイリに置いて行かれないようについて行った。
僕たちがアイリについて行き、ようやく教室に入ることができた。
「彼女たちを連れて来ないでって何回言えばわかるの?!」
「僕はついて来ないように言ってるんだけど、みんなが勝手について来ちゃうんだよ」
「それはあなたが優しく言っているからでしょ!もっとキツく言えば良いのよ!」
「そんなことできるわけないでしょ!」
「できないじゃなくてやるのよ!」
教室に入るとシエナと見たことのない男が言い争っていた。
会話を聞く限り、教室の前の人だかりを作っているのはシエナと言い争っている男が原因のようだった。
その男がどんな人物なのかは気になるが、会話に割り込んで巻き込まれるのも嫌だったので、僕は会話が終わるの気配を消して待っていた。
しばらくその会話を見ているとシエナの矛先にいきなり人だかりを作っている女子たちの向かい、それが原因で教室の前の人だかりはなくなった。
「あーあ、みんな帰っちゃったじゃないか」
「帰っちゃったって、そもそも教室の前に集まること自体がおかしいでしょ!それにあの子たちもずっと教室の前にいることはできないでしょ!」
そこでようやく口論が終わった。
「はあぁ——って、シン君、いつからいたんですか?!」
シエナはシンたちが来ていることにようやく気付いた。
「えっと、数分前?」
「は、恥ずかしいところを見られちゃいましたね」
シエナは声を荒げている姿をあまり見せたくなかったのか、顔を隠しながらそう言った。
「えっと、ハハハ…」
僕は何となく気まずくまり、そう苦笑いを浮かべ、言葉を濁した。リリーもなんと声をかければ良いかわからず、視線を逸らしていた。
僕もリリー同様にシエナから目を逸らした。目を逸らした先では、男がこちらに近づいて来るのが確認できた。
「君たち2人が新しくSクラスに入った人かな?」
男が僕とリリーを指してそう言った。
僕とリリーはそれに対して首を縦に振り肯定した。
「やっぱり、そうだったんだね。僕はこのSクラスのファム・アンナスだ。よろしくね」
ファムがそういい、手を出して握手を求めてきた。僕はそれに応じ、手を握った。
「あ、はい。僕はシン・サトウです。よろしくお願います」
僕はファムの手を握りながら、そう言った。
「わ、私は、リリーナです。よろしくお願います」
ファムはリリーとも握手をした。
そうして簡単に挨拶が終わると、ファムがいきなりシンに顔を近づけてきた。
「君とは仲良くできそうだ」
「へ?」
その言葉聞いて、僕は少し背筋が寒くなった。
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