第59話 決闘について
「それから、シン、あなたに言っておかないといけないことがあったわ。これからは、決闘は絶対にしないこと。良いですね?」
「えーと、それは良いですけど、何か理由とかあるんですか?」
別に僕から決闘を挑むことはないし、受けることもない。だから問題はなかった。
ただ何故それを僕だけを名指しして言う必要があるのかわからなかった。
「あなたに限ったことじゃないのだけど、Sクラスの生徒が下のクラスに負けるのは良くないのよ。あなたみたいにSクラスの生徒に勝ってしまうと、Sクラス自体が軽視されてしまうのよ。だから決闘はできるだけ受けないようにお願いね。万が一にも負けるなんてことがないように」
「はい、わかりました」
理由については理解できた。確かに下のクラスに負けるのは体裁を保つためにもダメだよな。
「あれ?素直に聞き入れてくれるんですね」
「?僕はもともとあまり決闘はしたくなかったですから。ですが、どうしてそう思ったのですか?」
僕は、どうしてそんな認識になっているのかわからず、そう聞いた。
「どうしてって、あなたが昨年だけでかなりの数、決闘をしているからです。嬉々として決闘を受けているのかと」
「そんなわけないじゃないですか!?僕は静かに目立たないようにしたいだけだったのに、リリーとルナが勝手に挑発に乗ってしまって受けざるを得なくなったのですよ!」
「そうなんですか」
「そうです」
僕は、自分が悪くないということを何とか伝えようとした。変なイメージがついてしまうことが嫌だった。
「でもそんなに嫌なら、逃げるなり身を隠すなり、対策はできたんじゃないですか?それをしないで最終的に決闘を受けたのシンですよね?」
「そうですが……」
正論で返されてしまい、僕は言葉に詰まってしまった。それに今思い返せば、ひたすら隠れたり、挑発される前に逃げるなどはできたように気がした。
「まあ、シンだけが悪いわけでもないですから。ルティーナもリリーナも挑発されても感情的にならないようにね」
「何故ですか?!なんでシン君をバカにするような人たちを見逃さないといけないんですか?!むしろシン君の強さをもっと誇示するべきでしょ!」
と、感情的になるなと言われてすぐに感情的になっているルナを見て、これからも変わることはないかなと思った。
というか、そんな力説しないでほしい。
「そうです!シン様が侮辱されて黙ってなんていられません!もっと決闘をして誰も挑んでこなくなるまでやれば良いと思います!」
なんでそんな好戦的なのかわからなかった。もっと穏便にしてほしいものだ。
それから3人でしばらく口論していたが、最終的にリリーとルナが渋々納得してこの話は終わった。ただ、2人とも完全に納得しているようではなかったので、僕ができるだけ受けないようにしていこうと思った。
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