Ruthless

小由樹

第1話時空を超えた高校生


つまらない…


何にも関心が持てない。


何で俺を生んだんだ…勝手に死んでおいて…。



だから、俺は今日永遠の眠りにつく…。





きっと、気づいたころ

俺は楽園か、冷たい地面か……




ん…?ふかふかだ…


あれ…?どこも痛くない 声が聞こえる…。


目を開けると、そこにいたのは どこかの国の兵士…?

でも俺のことを、皇子と呼んでいる。


「皇子様 !いつまで

寝ておられるのですか… !?

もうすぐお披露目の時間ですよ… !」


『ここ…どこだ ?』


「どこって…皇子様の部屋です」


『国は… ?』


「ヴォルテム王国ですが… ?」


ぼっけとしてる俺にきらびやかな服を着せすぐに玉座の間に連れて行った。


玉座の間に行くと黄金の椅子に座っている人がいた、多分王様だろうか。

王様らしき人は俺に話しかけた。


「調子はどうだ… ?ルーズレス」


ルーズレス…Ruthless


俺の名前…なのか ?

俺の耳元で執事が喋る


「ルーズレス様… ?

どうされました… ?」


俺は執事の耳元で…


『俺の名前言って…』


不思議そうな顔で執事が俺のことを見る。


「ルーズレス、ヴォルテ、ウィリアム様です」


やっぱり俺の名前だ。


『じゃあ、横の人は… ?』


また、不思議そうな顔で執事が俺のことを見る。

「お兄様ではありませんか!?

ルーズレス様まさか、記憶が… ?」


記憶がないと言ったほうがいいのか…それとも俺は、ルーズレスじゃない…そう言った方が…


『俺は…』

今更言ってどうなる、

結局言っても信じてもらえないし…

第一言ってそのあとは…?

戻る…?

どうやって、もし戻れても…

どうせ死ぬだけなのに…

『別に…変わった変化はない…』


すると、横にいる兄が…


「本当に大丈夫?さっきから、様子がおかしいと思うけど…」


『別に…』


「そっか…今日は、国民にお披露目する日だよ?もし具合が悪いなら…」


『大丈夫だ』


お披露目の前に少し部屋に戻った。

あいつが兄ということは、あの王様が父か。


「大丈夫ですか ?」

さっき会話をした執事が俺に話しかける…

『記憶がない…』


「え… ?じゃあ、ほんとに何も覚えてないんですか ?」


『ああ、』


だが、言葉はわかる…けど、なぜ名前がルーズレスなんだ、

『俺の名前の由来なんだ ?』


「希望ですよ… ?」


キボウ…?希望… ??

hope-希望じゃないのか… ?


『ルーズレスは、ここでは希望なのか… ?』


「はい?そうですよ……あっそろそろお披露目の時間ですよ…

行きましょう ?」


『ああ』

ここは、言葉もその意味も違うのになぜかわかる…


夢に出たことのある光景だ。


俺は外に出た…。


外に出ると、兄と、父が居て国民の感激の声が聞こえた…。




『歓迎される理由が、わからない…』




そうつぶやくと父が…

「王族は歓迎されるものだ…それが王族というものだ…」



少なくとも俺は必要とされなかった。



『おかしいだろ…何もしてないのに歓迎されるなんて』



「王族は昔から理由もなく敬意され、

理由もなく罵られる…そういうものだ」


王族…じゃあ王族じゃなかったら?


『…じゃあ、頑張っても必要とされない人たちは… ?』


「ん… ?」


俺は、必要とされてない。


『それなら、最初っから

俺を産まなくてよかったんだ』



「何を言っている !?」



『どんなに国で一番優れていても、本当にその人を敬愛できる… ?』


いや、誰もしない…。


「ルーズレス… ?」


『同じだ…国民は俺や兄やあんたを必要としていない、

ただ王族…王という肩書を持つものを必要と…いや、生贄にしてるだけだ…』


「ルーズレス…最初から万能な奴はいない…」


『あぁ、そうだな、でも…俺より万能な奴らはこの世にいっぱいいる…』


生まれて初めから万能な奴はいない…

でも…俺より万能な奴はいた…。




父は悲しそうな顔で、俺の背中を見ていた…




あぁ、ひねくれてる…てか、

あんまりパニックにならなかったな…。

意外に普通だった。




名前…ルーズレス-Ruthlessだっけ?


意味は……無慈悲。


その通りだ。


俺には…何の関心もない、もちろん情も…


お披露目の時、なぜ、熱くなったのか、今の俺にはまだ分からなかった。



ただ、ムカついたことしか…。









「ルーズレス様、こちらが牢屋です。」


記憶がないと言ったら

案内をしてくれた。



『牢屋…誰がいるんだ ?』


「今は、奴隷たちがいます。」



奴隷…今時そんなのがあるのか。

いや、当たり前か…昔だしな。



『なぜ…今奴隷が… ?』



「それは数年前に、大きな戦争がありましてそれにこの国が勝ちました」



ここ以外にも国が----いや、当たり前か…。

…じゃあ、俺以外にも、こっちに来てる人がいるかもしれない…


-牢屋


中に入ると、奴隷たちは、意外にも静まり返っていた。


歩こうとすると、中の兵士に止められた。


「皇子様…ここは貴方のような方が入っては…」


すると、執事が…


「一兵士が、ルーズレス様に口をきいては…!」


『別に…構わない、あと、俺はどんな人だろうが気にしない』


執事も兵士も困った顔をしている。


ん…?ふと、思った、

そういえば執事の名前…知らない。


「ルーズレス様…?聞いておりますか…?」


『え、何 ?』


「だから高貴なお方がこんな粗末なところところに…」


『名前…何 ?』


「はい ?」


『あんたの名前聞いてない』


「カインでございますが…そんなことより !皇子様としての自覚はあるんですか ?」


『だから、どんな人間だろうと構わない、相手が兵士でも、奴隷でも、平民でも、

同じ人間だ』


少し大きな声を上げると、

タイミングを待っていたように、赤ん坊が泣きだした。


その赤ん坊の声は牢屋で大きく響いた_____


その赤ん坊のお母さんは焦っていた。

だから、聞いてみた…


『なぜ、そんなに焦っているんだ ?』


赤ん坊のお母さんはキョトンとしていた。


「え… ?」


すると、執事は


「皇子様の御前で、何を黙っている ⁉」


赤ん坊の母はビクッとして答えた。


「高貴な方々は、私たちのような下賤の者を気遣いなんてしないので」


自分のことを下賤なんて言うのか。


『そっか…』


水を差すようにカインが話しかける…。


「ルーズレス様…そろそろ行きましょう。」


何故か奴隷達のことを気になってしまった。


『先に帰るなら、帰れ、俺はもう少しここにいる』


カインが困ったように俺に視線を向ける

それを無視し、赤ん坊のお母さんに話しかけた。


『どこの国から連れてこらたれた… ?』


「アイシア王国です」


『カイン…戦争したのはアイシア王国か ?』


カインは、当たり前だろという顔で答えた。


「はい、そうですよ」


『今アイシア王国はどうなってるんだ』


「同盟国になっています」


『…この人たちはこれからどうなるんだ… ?』


「売られるか…、貴族の下で働くかです」


再び、赤ん坊のお母さんに尋ねた。


『何かできることは、あるか ?』


不思議なものを見ている顔をしていた。


『前は何の職業を… ?』


「子供を産む前は、貴族様のお世話を…」


『カイン…俺の世話係はいるか ?』


このときある幼馴染の言葉はを思い出した。


________礼は要らないよ…

その代わり今度は貴方が困っている人を助けてあげてね___


まさかここで思い出すとは、


「いえ、まだいません」


『じゃあ、この家族を引き取る…』


周りの者は皆唖然とした顔をしていて、カインは真っ青だった。


『聞こえなかったのか ?』


びっくりしながら、赤ん坊のお母さんが…

「あの、私には娘がもう一人…」


だから家族全員が引き取るって言ってるんだけど…

通じてないのか…?


『家族って何人いるんだ… ?』


「私と、この子を合わせて四人です」


四人だけかよ、びっくりした大家族かと思った。


『じゃあ、引き取…』




「駄目だ… !」


そこにいたのは、意外な人物だった。









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