予知
縹響(はなだ ゆら)
美鶴の星
小学生の美鶴は未来を視る事が出来る。毎日の天気。学校のテスト範囲。不慮の事故まで見通せた。
大学生の私は美鶴の言うことを全て信じていた。
美鶴は言った。
「三年後、地球はなくなるよ」
最初、私は耳を疑ったが、結局は鵜呑みにした。悔いのないように生きよう。地球が滅びるのならば、明日は来ないと思って行動しよう。
思い残すことがないように私がした事は日本を旅する事だった。まず白神山地に行った。次に温泉地を巡り、神社仏閣を巡った。たくさんの人に出会い、話をした。私は満足したが、美鶴はどうだろう?
私は聞いた。すると美鶴はこう答えた。
「夜のアフリカに行きたい」
「わかった」
私はバイトを増やし、お金を貯めるために働いた。
三年後。地球最後の日、美鶴が死んだ。
交通事故だった。
地球の自転は止まらず、隕石の衝突もない。ただ、美鶴が中学生にもなれずに亡くなったのだ。美鶴から未来は消えたのだ。
翌年アフリカにやってきた私はカメラを構えた。
燃える様な真っ赤な夕陽が地平線に沈むのをレンズ越しに眺める。
「来たよ、美鶴」
カシャリと、シャッターを切った。
今日は、美鶴の命日である。涙が溢れた。
予知 縹響(はなだ ゆら) @hanada_yuu
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