ねこのブックカバー(短編集)

清水はる

子どもは風の子

──子どもは風の子なんだから、外で遊びなさい! 先生も寒いけど、みんなと遊ぶから。


──子どもは風の子なんかじゃないよ、先生!


──そーだそーだ!!


──もう、みんな立派な反抗期なんだから。素直じゃないわね。でも、もうすぐマラソン大会だし、外で体動かさないと! ほら、行った行った!



──すごいね、こんな寒いのに、そんなに薄着で大丈夫なの?


「うん、だって子どもは風の子だもん!」


──あはは、確かにそうだね!



──すごいね、走るの速いね! 寒くて体が上手く動かないのに。


「うん、だって子どもは風の子だからね!」


──あはは、その通りだね!



──すごいね……何でそんなに……浮いているの……?


「うん、だって子どもは風の子でしょ!」


──……。


「風の子じゃないの?」


──……。


「……うそつき」


──あ、消えてった。

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