1-7 実はトランスセクシュアルなんです(誤用)
日は頂点に昇りつつある。
本日も快晴だ。
街道を歩きながら、彼女―ゾフィーの掲示を見る。
名前:ゾフィーリア・ローネンブルク・クセノス
種族:人類
所属:オルドア
位階:奴隷※
※シンシア:上等契約者
生命量:2000
魔力:2400
固有特性:魔族の種子 鍵
後天特性:従属者
基本技能:生存技能10
生活技能5
学術技能10
魔術技能15
戦闘技能7
突出技術:
技能に関して言えば、俺より生命量が高いということを除けば、おそらく年齢相応なのだろう。
『固有特性というのは誰にでもあるのか?』
『10人いれば3、4人いるくらい。内容は色々。いいのも悪いのもあるからあればいいってわけじゃないかな。今回はその例よ』
『どのあたりが?』
『一見、能力としては王族や貴族が受ける教育に、魔導教育過程の途上ってところね。ごくごく普通』
『なあ、シアは教育を受けたんだよな』
『うん』
『魔法は?』
『さあ。散歩?』
トンチンカンな反応を寄越してきた。
つまり、基礎分野では普通以下だったのか。
『と、とにかくおかしいのは、固有特性の魔族の種子よ』
『やや物騒な名称だけど、具体的には?』
『知ってるけど、せっかくだし、本人に聞きなよ』
やや不貞腐れている気もするが、それもそうだ。
「ゾフィー、魔族の種子ってなんだ?」
『直球ね』
ちょっと唐突過ぎたのか、ゾフィーは訝しげにこっちを見やった。
「ずいぶん平和な冒険者。知らないの?」
「ああ、だから教えてくれ」
本当に俺が知らないことがわかったのか、ゾフィーが冷笑の形をつくる。
「魔族の種子。それは、魔人となる可能性」
「それはつまりどういうことを示す?」
俺が特に驚くことがないのに、目を細めつつ、説明をするゾフィー。
「人類ではなく魔族になる。それは生まれ変わりに近く、人類の鎖を断ち、人に恐れられる存在、魔族として対立する」
人類の鎖とな。人嫌いなのだろうか。
「うーん、掲示内容も変わって、人の社会じゃなくて、魔族の社会に生きるってこと?」
「ええ。人からすれば、問題なのは私は将来の人類の敵ということ」
可能性ではなく、既定路線で魔人になるようなもの言いだ。
「そういうことか。理解した」
現状、他人に彼女の固有特性を見られるのは、主人としても避けるべきか。
「ねぇ、あなた。わたくしが言っていることわかってるの? 魔人になれば、奴隷主従も消える」
俺があっさり納得したのを見て慌てるゾフィー。
全く理解してないと言わんばかりだ。
掲示内容も変わることで、奴隷でなくなるのも予想できた。
「ああ、将来魔族になる可能性が高く、その後はゾフィーは自由になる。ただし、人を害する存在になる」
「ええ。そう。それで、怖くない? 嫌じゃない?」
「そう言われてもねぇ。魔人に会ったことないし。ゾフィーは?」
実際、平民として普通に生きてたら、おそらく会うことも少ないだろう。
だから、魔人が恐れられる原因は、印象の大部分が被害に基づく話が多いためだろう。
「……ない」
「じゃ、恐れる前に会ってみなきゃ。例え敵と呼ばれても」
大事だよ。噂で判断しないで実際に見てみることは。
『シンならそう言うわよね。先立つ印象もないし』
『まぁ先入観がないのが大きいな』
まるで態度が変わらない俺から目を逸らし、ゾフィーは顔を前に向けた。
「変な人」
なかなか彼女と仲良くなるのは難しそうだ。
妙な間ができてしまったため、もう一つの固有特性について聞きそびれてしまった。
『ということで』
『私って、やっぱりこういう役回りなのね』
『いや、純粋に頼っているんだ』
『なんかこう、ありがたみが薄くて』
『面倒なら端からシアの記憶を漁ってもいいけど』
『それも今となっては遠慮したいなぁ』
色々と気になるところがあるのだろう。
『そういうこと。それで、鍵っていうのは、そのままよ。何かをするために彼女が必要となるの』
『確かにそのまんまだな。具体的になんのことかはわからなそうか?』
『そうねぇ。宗教国家に帰属していた領主の娘だったんだから、結構重大なことかも』
『そうだな。故国の財宝だとか』
『素直に考えるならそうね。人為的に与えられるものがほとんどだから、それが近いかな』
『落ち着いたら調べてみるか』
『そんな余裕があればね』
●
やや曇り気味な空は、湿気を集めている。
夕焼けが雲に映されぼんやりと赤く染まるが、層の厚い雲が覆い隠していく。
雄大に広がる大地で街道を目印にまだ見えぬ、トラシント公国を目指す。
ゾフィーは文句も言わず淡々とついてくる。
だけど、それ以外も喋らないため、いささか寂しい。
向かえども、全く人の往来もない。
あったとすれば、国境警備隊と関所の役人用の食糧移送。
挨拶もなく、俺たちが街道の端に寄って空いた道を駆け抜けていった。
往来が少ないと聞いていたが、まさかここまでいないとは。
いつからあるか知らないけど、石畳の街道が泣いているぞ。
おまけに魔物もいない。
アルマーを助けた際の大型の魔物がいなくなったせいなのだろうか。
いやはや、平和が一番だ。
しかし、あまりオルドア-トラシント間の交易は盛んではないのか。
必需品はオルドア本領で賄えるとケルニムが言っていたっけ。
『雨降りそうね』
『ああ。できれば屋根が欲しいな』
そうは言っても、遮ってくれそうなものはなく、荒れた砂地が広がっているだけだ。
「今日はここまで」
「わかった」
本日、ゾフィーとの初めての会話です。
先日までは、いろいろと質問したのだけれども、
「知らない」「答える必要ある?」「それは命令?」
などなど、あまりに素っ気ない。
本当に必要なことは答えてくれるが、雑談に延長すると、パタリと口を閉じてしまう。
正直言って愛想がない。
経験上そうそう簡単に人から好かれることは、あまりないが。
ルイナさんはこう、何かあったのだろう。
だからゾフィーとすぐに仲良くなるとも思っていない。
彼女が話したくないのなら、どうしようもない。
気長に待とう。
路外に出て、野営の準備をする。
薄皮の小さな天幕を張り、雨除けにする。
ゾフィーに皮でできた寝袋を手渡し、敷き終わると干し肉とパンを渡した。
パンの湿気り具合がそれほどでもないため、空間魔法での保存は物が劣化しないようだ。
もう少しバリエーションのある食料を買っておくんだった。
『文句はないけど、やっぱり街にいた頃より食事が恋しいわね』
俺自体に食への関心が薄いため、最低限の栄養価で満足しがちだ。
加えてこの身体は魔力が有り余っている。消耗もしない。
『だからって食事を疎かにしなくても済むならしない方がいいわよ』
『それもそうか』
せっかくだ。俺も食事を楽しむようにしたい。
どちらにせよ、今居るのは俺とシアだけではない。
ゾフィーは見た目以上に体力魔力があるが、夜は休むべきだし、食事は2回以上はほしい。
朝になると雨は止んでいた。
「そういえば昨日は身体を拭いてなかったな」
天幕の四本の柱のうち二本だけしまい、即席の仕切りにする。
桶を取り出し、魔法で水をつくる。
「はいよ」
清潔な布をゾフィーに渡すと、仕切りの向こうに移動した。
バシャバシャと聴こえる水音はたぶん服を洗っているのだろう。
俺に何も言わないので、そのまま着て乾燥させるつもりなのか。
彼女はボロい布切れなような服しかないし、俺の服はぶかぶかだ。
次に買える機会があったら是非見映えする服を買いたい。
明け透けな今の服もある意味で、良いと言えなくもないが、醜い男の私情だ。
俺のシャツやズボンを簡単に縫い付けて、サイズをゾフィーに合わせた服を置いておき、洗った服を乾かすために焚き火を用意しておくと、濡れた髪が重そうなゾフィーが仕切りから出てくる。
「着替えあるから、今着ているのは乾かして」
微かに頷いて応えるゾフィー。
入れ替わりで、俺も身体を拭い、髪も洗う。
『ふぁぁ。ねぇ、ちょっと水浴びしていい?』
眠そうなシアが、声をかけてきた。
昨日の昼間寝ていたシアは一晩中周りへの警戒をしていた。
『仕切りあるし大丈夫か。じゃ服の洗濯もよろしく』
『あいさ』
俺は裏に回る。
『ふぅー。さっぱりぃー』
服を脱いだシアは、桶に入り手で身体に水をかける。
『ちょっと少ないかな。増量増量』
魔法で水を出すが、出し過ぎたのか、桶の容量の数倍の水がドッパァーと、溢れていく。
結構な量が、天幕の向こうまで流れていった。
「ちょっと。焚き火消える……え?」
焚き火まで水が及んだのか、ゾフィーが指摘しようとして、仕切りから顔をのぞかせた。
「え、え? 女? 似ているけど別人?」
「…………」
不用心なのがいけないが、見られてしまった。
『おい、どうするんだ』
『任せて』
任せても何も、シアの不注意じゃないかな。
『ごめん。気をつける』
まだ魔力が出過ぎる癖が残っているのかもしれない。
「いいえ。私はシンシアよ。ほら見てみて」
ゾフィーに掲示を見せる。
奴隷は掲示を相手からでなければ見ることができない。
「……本当のようね」
「そう。ちょっとした病気みたいなもの。よろしい?」
年長者が子供をたしなめる体。
実際はゾフィーの方が年上だ。身長は同じくらいだが、身体の一部分で見れば、やはりゾフィーに軍配が上がる。
堂々と裸体で腰に手を当てるシアには申し訳ないが。
「変な人」
スッとゾフィーは幕に消えた。
せっかくだからシアが表に出るようにした。
眠気も飛んでしまったらしい。
『やっぱり、雌雄入れ替え説は無理があったかな?』
『いや、それしかないんじゃないか』
他にもっともらしい言い訳もない。
実は最初からいましたでは、あやしい以前に無理がある。
『そうね。大して疑ってる様子もないし』
あれは、意味不明さに呆れてるか、興味がないだけな気がするが。
変な人、の一言で済ませられるくらいだし。
「あ、あれかな関所って」
遠くに見える石造りの家屋をシアが指をさして、ゾフィーに言う。
が、当のゾフィーは軽く頷いただけだった。
シアの指が萎えたようにへにょりと曲がる。
『一緒に喜べとは言わないけど、返事してくれてもいいじゃない』
『そうは思うけど、人間が好きじゃないみたいだからな』
その理由だってあるだろう。
関所といっても、通行料を取られるわけでもない。
緩やかな警備施設だった。
何せ国境を遮るものは無い。街道を避ければ、無視できる。
主な仕事は馬車列を引いた商人からの関税だろうけど、そもそも往来がない。
「ふんふん。シンシアさんは冒険者なんだね。この辺じゃ珍しい。まぁだから、出て行こうとするんだわな。しかし若い女の子だからなおさら珍しい」
「そうみたいね」
警備兵が気さくに話しかけてくる。
歩哨に立っているのは一人しかいない。
「そういや、最近あっち側が騒がしいのを知ってるかな」
聞いてもいないのに多弁に話してくる。
暇なんだろう。
「なんでもここから40セグ先、北西にある森林地帯に魔物が巣をつくっているらしく、討伐の依頼が人気だそうだ」
冒険者だから教えてくれたみたいだ。
「稼ぎ時じゃないか。遅れないようにしないとな、シンシアさん」
ということは、立ち寄る予定の伯爵領の街には、冒険者が多いのだろう。
何か不都合が無ければいいが。
国境を越えると、途端に街道の質が落ちる。
土を固めたただの道で、トラシントがあまりこの街道整備に熱心でないことが、窺える。実際あまり使われてないしな。
『というよりもオルドアが積極的なのよ。そういう事業に』
利用する限りは、インフラの重要性は高いからな。
確かに、排水機構もしっかりしていたし、街も賑やかだった。
すぐにトラシント側の関所を通る。
オルドアと比べて、国境の監視は充実していた。
国境に沿って一定間隔で監視哨があるのが見えたし、関所に詰めている兵士も多く、気抜けしていない。
「シンシア三等冒険者か。まるで子供のおつかいのようだな」
「そう見えても、おかしくはないわね」
ちょっとむっとした気持ちを抑えて、しょうがなさそうに笑みを浮かべる。
「気をつけたまえ。若い女に若い女奴隷。程の良い獲物に見られかねない。魔物にではない、冒険者からだ。特に四等以下は荒くれ者が多い。危なそうなら掲示で見かけ次第逃げるんだな」
「ありがとうございます。気を付けます」
『偉そうな兵士だけど、案外心配してくれてるのね』
そういう趣味をお持ちなんだろう。
『失礼ね。十人いたら七人は可愛いと言うとも』
『まぁ好かれる性格はしてそうだな』
『でっしょー』
外見に言及していないことに気付かないシア。
『それは将来の話よ』
そうしておこう。
入国すると荒地に緑が増えてくる。
街道を外れた遠くでは、農地も見えた。
『小屋があるよ』
街道傍にポツンと遊びのないただの木の小屋がある。
ノックをしても、反応はない。
小屋には鍵もなく、扉を開けると、何も無い板張りの家だった。
『たぶんここは、旅人の休息所ね。今日はここで休んじゃいましょ』
『住んでいる人はいなさそうだし、一日くらい大丈夫か』
今日はゾフィーとは一言も話さなかった。
最早倦怠期突入した夫婦のようだ。
『普通、奴隷があんなんでやっていけるのか?』
『ちょっと珍しいかなぁ。明らかに嫌々従っているのがわかるし』
奴隷は、主人に全てを依存するため、尽くそうとし、余程扱いが悪くなければ、好意すら持つことが多いという。
単に口下手ならいいけど、彼女の場合は、話したくないといったご様子。
それはやっぱり、居心地がいいとは言えない。
『街に着いたら、何か買ってあげなよ』
『それで、態度が軟化すればいいけど』
どうにも買収ごときで、変わるだろうか。
『ま、様子を見ましょ。それじゃ特訓ね』
『始めるか』
夜、時間を見つけては、魔力の入出力を中心に色々と試している。
寝ているゾフィーはかわいいなと思いながら小屋を静かに出る。
月明かりと空間把握術を頼りに特訓を始める。
まず、魔力の糸を張り巡らして、周囲の魔力波動を検知する。
これはパッシブ用で、指向性の高いものか、強い魔力か、余程近くないとわからない。当然、熟練度によって精度は変わる。
静かな夜だ。緩く吹く風に魔力が乗っているだけだ。
『一応脅威はなさそうね』
続けて、アンテナのような形状の針を何本も構成して、全周に魔力を放つ。
魔力波動は極力水平に飛ばし、地表への衝突を避け、上空へ向かわないようにする。
そして、集中した魔力や魔力を持つものにぶつかると、跳ね返ってくる。
それをそれぞれの針が拾って、各針の強弱により、方角と距離を検知する。
今の技術的に距離の限界は10キロ。しかも、平坦な地形に限られる。
『西方から北方に感アリ。精測しよう』
『まず西に向けましょ』
西だけに強めの魔力を出す。
クラッタが多すぎる。動植物や鉱物まで拾ってしまった。
魔力を調整しながら、周囲を捜索する。
『西方は人ね。冒険者かなぁ。波動の跳ね返る時間が一緒だから、移動はしていないと思う』
『北方はおそらく魔物がいくつも点在しているけど、バラバラの動きだ。明日、狩ってもいいな』
特訓の最初は、リスクヘッジも兼ねて、魔力波動を用いた索敵を行う。
装置としては原始的なもので、感知自体は俺やシアの感性依存だ。
何となくアタリをつけながら、推測していくだけ。
PPIスコープ程度にはわかりやすく感知したい。
魔力感知能力が高いと、そもそも補助装置のアンテナもいらない上に、対象の特定も可能だろう。
魔力波動にも、おそらく周波数もあると思われる。
その違いで特定できるが、技能の習熟が足りなすぎる。
次に魔力具現化を試す。
魔刃を片手から伸ばし、重さのない特有さから有効な取り回しを考えていく。
長すぎると抵抗が大きく、消費も大きい。
片手剣に準じたサイズをデフォルトにする。
片腕だけシアに任せて、二刀流まがいのこともしてみる。
複数を個別対処をするにはいいが一個を相手にする場合はまだ連携が難しい。
一人で二本扱うほどの器用さもない。
シアが俺の肩あたりから腕だけ自分のも出して、四刀流とかやってみる。
不気味だ。
魔力による盾、防殻は常に出していると、減衰が甚だしい。
基本的に相手の攻撃に合わせて、守ることになる。
体内でも形成できるが、その場合体表は守れない。
よって、一番危険なのが、不意を突かれたときだ。
魔力感知と千里眼、空間把握術などで先に知っておかなければならない。
ボリス、ルルファと戦ったとき腕から魔力の杭を飛ばしたが、かなり面倒だ。
まず腕が内圧迫され飛散しないように、腕の内部に硬度ある魔力で筒を作ってから、杭の後方の魔力を希薄化させて押し出す。
どの操作も結構な魔力を使う。
要は腕を魔力の扱いやすい場所として、内部に鉄砲を作成しているものだ。
他に銃のような構造があれば代用可能な工程もあるだろうけど。
特に腕への負担が心配ではある。
結局のところ、魔法で岩の礫だとか氷だとかを飛ばしているのと同じだ。
魔法を知らず、技能が低いため、使わざるを得ない状況だ。
次に魔法各種。
完全に一定のものもあるが、織り込んだ魔力により規模が変わるのもある。
水魔法を筆頭に、どれも必須の魔法だけど、今のところ戦闘に使うものは、各空間魔法や土の壁、風の暴風ぐらいか。
最後に薬剤調合を行う。
魔物の核を取り出し、生命核と魔力核を分割する。
それぞれが、生命と魔力を回復させる主材料となる。
よって、魔物が強ければ強いほど、回復量が高まる。
どんな魔物でも、精製可能なのは、練習も容易で助かる。
鉢に生命核を放り込み、魔力で作った棒で砕いていく。
通常は木の棒を使うが、こっちの方が、回復量が1割ほど増える。魔力が遷移しているのだろうか。
粉に近くなった核に、水を注ぎながら、水に魔力を注ぐ。
しばらくすると、上澄みの液が青くなる。
その部分が、回復薬となる。
元の魔物や回復量から考えて、低級のものだろう。
売っても商売にはならなそうだ。
しかし、結局魔力によって精製される薬によって、生命も回復されるということは、魔力が人にとって、生命よりも重要になるのだろうか。
『あんまり研究する人がいないのよね。両方大事ってされているけど』
魔力核でも、回復薬を精製する。
ひと通りの練習が終わると、一息ついて、空を見上げる。
月が煌々と輝くが、星々が見えない。
この世界には星がないのだろうか。
いや、そもそも、ここは宇宙という空間の中の一つの星ではないのかも。
もしかしたら、天動説がまかり通る世界かもしれない。
適当に思いを巡らして、立ち上がる。
『そろそろ休みましょ』
『そうだな』
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