脱出教室
なかの
第1話『脱出教室』
「ここは・・・どこだ・・・」
僕は目を覚ました。
さっきまでなにをしていたんだったかな。
と、思い出す。
最後の記憶は思い出せない。
「教室だよ?」
と女の子の声がした。
僕の『ここはどこだ?』という質問に律儀に答えてくれたらしい。
「ん?教室?」
と、目をこする。
確かに教室だ。
でもなにかが変だ。
そう思っていると、声の主が顔を近づけて来た。
「起きた?コウくん。」
そう僕の名前はコウ。高校二年生だ。
この学校も間違いなく僕が通っている高校だった。
彼女の事ももちろん知っている。
「如月さん?」
「うん、そうだよ!」
と、僕の呼びかけに、笑顔を見せる如月さん。
彼女は僕のクラスの委員長。如月さんだ。
「あかなーい!!」
委員長とやり取りをしていると別のところから、大声が聞こえてくる。
彼女は陸上部の沢谷さんだ。
「え?何が?」と僕は聞いてしまった。
「ドアがあかないのよ!あなたも起きたなら手伝いなさいよ!力仕事は男子の仕事でしょ!」
力仕事?男子?いろいろ気になるところはあったが彼女の言うとおり、僕も教室のドアを開けることを手伝う。
もちろんこのクラスのドアは横にスライドさせるタイプのものだ。
「あ、開かない!」
僕が扉の取っ手に力を行けて開こうとするがまったく開く気配がない。ピクリともしない。何かで抑えられているというレベルの力ではない気がする。
「だから言ったでしょ!全然あかないのよ!何かが異常なのよ!」と沢谷さんが言う。
「たしかに、これは、おかしい・・・そういえば外が暗いし・・・」
と、僕が最初の違和感に気がつく。
そう、教室にいるのに、外が暗いのだ。
学校には、基本的には昼間しかこないので、教室からの風景が真っ暗ということは基本的にはありえないはずだ。しかも、僕は帰宅部だから、日が落ちる時間に学校にいるなんてことはまずない。
「なにか特別な空間にいると、考えるほうが自然ね、まるでアニメみたい」と委員長の如月さんが言った。アニメ?と僕は思った。彼女が深夜アニメを見てるとは思いづらいから、子どもの時に見た、魔法少女のアニメなのかな、と思った。
「そのタブレットだけ、今までこの部屋になかった」
本を読みながら、さらにもう一人の少女が言った。
彼女は図書委員の佐倉さん。
ここにいるのはこの、僕、如月、沢谷、佐倉の四人らしい。
四人がこの夜の教室に閉じ込められているらしい。
「タブレット!?」と
僕が教卓に目をやる。
そして、近づいていき、取り合えずタップする。
すると、画面が光り出し、可愛らしい、アニメのキャラクターが喋り出した。
「やぁ、こんにちわ!」
「ぬお!喋った!!」僕が驚いて一歩下がった。
そのタブレットは、皆から見えるように立てかけてあった。
「キミタチは今から一時間以内に脱出しないと全員死にます!」
その笑顔のキャラクターは、元気よくそう言った。
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