光の射さない

 人気ひとけのない夜道、ひょんなことから化け物に追われている。逃げても逃げても後をついてくる。もう走り疲れた。捕まるのも時間の問題だ。


 だが気が付いた。奴は街灯や自販機があると大きく避けている。どうも光が苦手らしい。

 スマホのライトを点け、前後左右上下にぶんぶん振り回してみた。振り向いて確認したら、奴は戸惑ったように立ち止まっている。

 いける! 無理やり力を振り絞り、スマホを振り回しながら自宅まで全力疾走。


 玄関に駆け込み、電気を点けた。良かった、もう追いかけてこないみたい。

 ほっと安堵し目を閉じる。瞼の裏の暗闇。化け物の笑顔。

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