家主

 その廃屋は心霊スポットである。


 毎日深夜の決まった時間になると、天井から下がるボロボロのロープと、それで首を吊る白髪の老人――かつての家主の姿が現れるとあって、一部のマニアの間で密かに人気を博している。


 ただ一つ、あまり知られていないが、奇妙な事実がある。

 家主の死因は、自ら包丁で腹を刺したことによるものである。

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