セカンドライフ・スーパーハード
@ose
プロローグ 三月二十七日(金)
「そこを何とか、もう一回だけ!」
両手でおがみ倒す学生服の少年。
テーブルの上に広がるタロットカード、その向こうには金髪の美女。
一見すると、どこかの占いの館といった
さらに、部屋中に
テーブルのむこうに座る金髪美女は、
「あのね~、いっつも言っているけど、タロット占いってのは、望む結果が出るまで何度も占い直す様なもんじゃないの」
「だって……このままじゃ、二年は
シャーリー
「まぁね、
「だから、そこを何とか、泣きの一回ということで」
少年は顔の前で手を合わせ、もう一度、
「僕はこの学園に来る時に、もう一生何があろうと禅とは敵対しないって誓いを立てちゃったんだ。クラス別れたら、一年間色んな学校イベントでぶつかっちゃうでしょ? それが嫌なんだ、ね、この通り、一生のお願い!」
テーブルに
「やれやれ、あんたの気持ちも分かるけどさ、運命って物は、ある程度最初から決まっちまってる物だからね、残念だけど、何回占っても似たような結果が出るだけだよ」
「そんな~」
少年は
「コイツとコイツが悪いの? コイツらが反対向きだったら良かったの?」
「そうだね、そいつらは引っくり返ると意味が逆に──」
「えい! こうしてやる!」
少年はその二枚、魔術師と愚者のカードを
「ギャッ! な、何て事すんの!」
シャーリー
「あ、あれ? 予想を超えるリアクション。冗談のつもりだったんだけど、なんかヤバい事しちゃった?」
「ヤバイも何も、あんた! 今、運命をねじまげたんだよ!」
「またまた、
「普通のタロットカードならね、コイツは特別製なんだ、『伝説の魔女』オールド・ドロシー・クラッターバックのサイン入りなんだよ!」
「す、凄さがイマイチ伝わって来ないけど……つまりは、どうなるの、何が起こるの?」
「さあね、自分の願望の為に運命をねじまげたんだ、生じた
「やだな~、怖がらせようとして──あ、でも、てことは、逆にいえば僕、禅とおんなじクラスにはなれるって事だよね、ね? ね?」
少年はそう言って、うれしそうにテーブルに身を乗り出す。
「何を
「あはは、大丈夫、大丈夫、禅はとびっきりに頑丈だから、それ以外の連中の事なんて、それこそ知ったこっちゃないしね、えへへ~」
うれしそうに笑う少年の優しげな口元に、一瞬だけ邪悪な
それを見た彼女は眉をしかめ、
「──忘れてたけど、あんた、そういうキャラだったっけ」
言われた少年は、
「やれやれ、先に言っておくけど知らないよ、身内にどんな不幸が起こっても、あたしゃ責任取らないからね」
「心配性だな~、大丈夫、大丈夫。皆ちょっとやそっとじゃ死なない連中ばかりだから。あ~、でも良かった、これで安心して眠れるや、じゃあね、アリガトね、
「ホントに知らないよ──あ、ちょっと!」
引き留める
部屋にひとり残されたシャーリー
「ま、いっか、あたしも知~らないっと」
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