第十五話『覇竜の宝石』

「た、倒した・・・!?あの『ブラックドラゴン』を・・・」カナデが言う。それは、信じられないことなのだろう。確かに尋常じゃない強さだった。


「『ブラックドラゴン』を倒した・・・。」

僕が呟く。鼓動が聞こえる。心臓が凄まじいスピードで鳴っている。しばらくして、竜の返り血がとまる。


そして実感する。そう、僕らは『ブラックドラゴン』を倒したのだ。ファンタジー世界最強のモンスターを。

このちいさなナイフで。


あ、キョウちゃんにお礼を言わなきゃ、と思った。

そして、いつもどおりのテンションで言った。

「キョウちゃんナイス!」ビッと親指を出す僕。

「コータもよくやった!」とキョウちゃんが僕に合わせて、グッと親指を出した。

そのなれない様子がまた可愛かった。


「すごいすごい!!」

と、言いながら、カナデが抱きついてくる。

僕わ中心に一周回転してしまいそうな勢いだった。

よほど嬉しかったのだろう。


「血まみれだから、やめたほうがいいよ!」と笑う僕。

「そんなの気にしないわ!」と喜びを隠さないカナデ

「せっかくさっき、お風呂入ったのに!また入り直した時に覗かれるよ!」と僕が笑う。


「はっ!!」

と、気がついて、バックステップして、胸を隠すポーズをするカナデ。「また覗く気なのね!!」と言う


「うそうそ」と手を振りながら、笑う僕。


「ところで、キョウちゃん!このドラゴンの素材なにかに使えないの??」と僕が聞く。彼女はアイテム使いなので、多分そういう知識もたくさん持っているだろう。そういえば僕のスマホにも興味をしめしていたのは、アイテム使い故だろうか、と思った。


「もちろんつかえる。この大きさだと、一人で回収できない、手伝って欲しい。」

と、素材回収に取り掛かろうとしていた。キョウちゃんはそう言った。キョウちゃんのちいさな体では、大変すぎるのでもちろん手伝う。

「オッケー」と僕は言った。


「これだけ、あれば、剣も盾も防具も薬も作れる。凄すぎる・・・」

と表情からは、わかりづらいが、相当喜んでいる様子。


「これはあのお店で、売れる。これは、当分の食料になる」

と目を輝かせている!!とても嬉しそうだ。


「あ、これなんだろう?」

と、僕が斬りつけたところに光るものがある。


「キョウちゃん、これ何??」

と落ちていた、光るものを見せる僕。


「すごい!!これは『覇竜の宝石』!!」と信じられない物をみたという表示用のキョウ。

「え、すごいの!?」と僕が聞く。


「すごい」と頷き、続ける。

「『覇竜の宝石』には、信じられないような魔力があると言われる。『神の力』を得られる。それはコウタが身に付けるといい。」

と、彼女は、道具箱から、紐を取り出し、ささっとネックレスを作る。それをつけてもらった。


確かに、力がみなぎってくるような気がする。

そのくらいに思っていた。

そう、僕はその時『覇竜の宝石』の力をまだよくわかっていなかったのだ。

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