第三百九十七話 『神技』

「オーケイ、じゃあ、ここで待ち伏せしよう!」

サラのワクワク鷹捕獲作戦がはじまる!


===

「しー!」

サラは皆に言った。

声を殺して、鷹を待つ作戦だ。


「サラじっとしてることできるの?」

僕は笑って聞いた。

じっとしてまちぶせるという行為はサラにはこの世で一番向いてなさそうであった。


「しー!」

サラはもう一回僕に言った。

彼女は気合が入っているようだ。

新しい武器も試せるし楽しいのであろう。


「わくわくしますね!」

小さい声で奈緒子が言った。

そう、僕たちは声を殺して、鷹を待つ。


「あ、あれ鷹?」

サラはずっと森の方を見ていた。

空中に点のように黒いものがあった。

それが高速で近づいてきているようにも見える。


「まだ見えないなー」

僕は言った。

現実世界でも目が悪いのであの距離のものを見て正確に捉えようとするくせがついてない。


「あとすこし!」

サラは言う。

もう少し近づいてくれれば、判別できる距離にきそうだということだ。彼女は現実世界でも目が良さそうなので、そういう訓練が普段からできてそうだ。


「はや!」

僕は言う。

ぐんぐん近づいてくる。


「鷹ですね!」

奈緒子が言う。

彼女は見慣れているのか、素早く判別した。


「よーし、よーし、鷹ちゃんきたね!さぁ、このきつねさんを狙うかな?」

サラがワクワクしながら言う。

彼女は鷹の視線の先を確認する。


「よし、狙ってる!」

彼女は天然でそういうことができる。説明を聞くとなんとなくガッてなってバッてやったというのが返ってくるが実際にはきちんと視線とかをみて予測しているのだ。


「ふっふっふ。鷹ちゃんにきつねさんはあげないんです!」

サラはそういって走り出した。

クラウチングスタートして、超高速で走り出した。

僕にはあんな速度で走ることはできない。


「すごいタイミング!」

奈緒子が驚く。

そう、サラは鷹をギリギリまでひきつけていた。


「鷹がきつねをみつけ、めがけて飛ぶことを確認して到着する瞬間を予測して出発したのか。すごすぎるでしょ」

僕は驚く。

とにかく自分も動いて相手も動いている状態でなにかをするというのは難易度が高い。


「いただきまーす!」

サラはそう言いながら、狐をがしっと捕まえ、そこを通り過ぎた。その少し後鷹が狐を捕まえに来た・・・がそこにはもういなかった。


「グエェェェェェェェェ」

鷹が大きな声でないて飛んでいった。

驚いたのだろう。

捕まえたはずの狐がいないのだ。


「神技!」

僕は驚く。

そもそもへたをすれば自分ごと持っていかれる可能性もあるのに思い切りが良すぎる!


「さぁ、取り返しに来なさい!鷹ちゃん!」

サラが鷹に向かって叫んだ!

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