第三百二十七話 『負けず嫌い』
「グオオォォォォォ」
『キングウォーゴーレム』は唸り声をあげながら消滅した。
「すごい・・・一瞬で・・・あの『キングウォーゴーレム』を・・・」
僕は呟いた。
「これが僕達の戦い方だね!」
タカヒロはこちらを向いてにっこり微笑んでいた。
---
「ここまで、来たんだからね、君たちもこのぐらいできるんだろう?」
敵チームのリーダーっぽいタカヒロが僕らに対してそういった。この長い戦いをくぐり抜けてきた自信があるのだろう。
「できるといえば、できる・・・かな」
僕はそうつぶやく。
たしかにここまで勝ち抜いてきたし、前回倒した敵なので、倒せるはず。しかし、あそこまで手際がいいかは正直自信がない。それぐらいに彼らは手際が良かった。
あの珊瑚達を倒した『キングウォーゴーレム』を一瞬で倒してしまったのだ。
「ふっふっふ!そう言われちゃ、やってみるしかないよね!」
サラがメラメラと闘志を燃やしてそう言っていた。
「ああ、負けず嫌い魂に火をつけちゃった」
僕はサラの方を見てそう言う。
僕らは彼女のその負けず嫌いでいろいろな戦いを乗り越えてきた。
「奈緒子ちゃんできるよね!?」
サラは美少女魔法使いの奈緒子に対してそう言った。
「が!がんばります!」
奈緒子が両手を前にもってきて可愛く頷く。
「整理しよう・・・」
僕はそう呟いて、さっきの光景を思い出す。
「妹さんのルルさんが、スローダウンで『キングウォーゴーレム』の動きを止めて、お姉さんのララさんが、攻撃、そこにタカヒロさんがグングニルで攻撃」
と僕が説明する。
「うんうん。できるできる!」
サラが根拠のない自信で、満面の笑みを浮かべる。
「これ、僕の負担が大きいような・・・」
僕はつぶやく。
最後に『キングウォーゴーレム』に近づいて、一撃で仕留める。
そんなことが僕にできるだろうか・・・
タカヒロさんはSSクラスの武器を持っているだけではなく、かなり身体能力も高い。
それに対し僕は運動が得意ではない・・・。
「できるできる!ジュンならできる!」
サラがニッコリ笑いながら言う。
「また、適当なこと言って・・・」
僕はそう言って笑う。
サラのポジティブオーラに負けて、覚悟を決める。
「とはいえ、そろそろそれぐらいできないと、前に進めないか・・・」
僕は更に覚悟を決める。
そう、ここはC級英雄ランク戦の大詰め。
これに勝てばB級になる。
B級になれば、もう上位だ。
いつまでも初心者というわけにもいかない。
「よし、ジュンの覚悟も決まったね!」
サラがにっこり笑う。
「私も大丈夫です!」
魔法使いの奈緒子も微笑む。
「そう、あなた達の実力見せてもらおうじゃない!」
双子の美少女の姉ララがそう言う。
「楽しみですね、姉様、タカヒロさん」
妹のララも頷く。
「うん、楽しみだ」
タカヒロがそう言う。
「よし、今度は僕達の番だ!行こう!」
僕はそう言うと、サラが走り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます