第二百七十四話『高速剣戟 - ハイスピードスラッシュ』

「あんたの相手は私よ!」

とサクラが言う。


「グエェェェ!」

とダメージにより正気に戻ったのか、『固定残像 - スクリーンデコイ』が偽物の敵だと気がついて、サクラの方に敵意を向ける『ハイスピードリザードマン』


「さ、剣士同士たのしくやりましょう!」

と、サクラはニコッと笑って剣を振った。


「はいっ!はいっ!」

と言いながら、反撃してきた『ハイスピードリザードマン』の剣戟を受け太刀して、凌ぐ。


「しっかりと相手の剣が見えてるんだ」

と僕が呟く。


「おー、サクラちゃん凄い!」

とサラが言う。


「そうだね、速攻じゃなくても普通に剣士として強いんだ!」

と僕が言う。


「ちょっと!聞こえてるわよ!ジュン!普通にってなによ!私の事弱いって疑ってたわね!!」

と戦闘中のサクラから抗議の声が聞こえてくる。


「いえいえ、めっそうもございません・・・」

と僕が呟く。


「とはいえ、『ハイスピードリザードマン』は盾と剣だから、なかなか、正面から向き合ったらダメージ与えられないね」

と僕が言う。


そもそもFPSゲームというものはそういうものだ。

正面から向き合ったら、圧倒的な力の差がない限り、運の要素が強い。相打ち狙いを避けるのがかなり難しいからだ。


だから基本的には横や後ろから狙う。


というのが基本的な戦い方になる。


「そうね!普通だったらね!」

と剣士のサクラは微笑む。


「なるほど、サクラは普通じゃないってことか」

とぼくが呟く。


「そうよ!私こう見えて強いんだからね!」

と微笑むサクラ。


そう言いながらも、『ハイスピードリザードマン』との剣の打ち合いは続く。


キィン、キィン、キィン。


「はい、はい、はい!」

とサクラは言いながら『ハイスピードリザードマン』の剣戟をかなり正確に弾く。


「すごい・・・すごいけど・・・」

と僕が呟く。


『ハイスピードリザードマン』の攻撃を丁寧にさばいているが、これでは防戦一方だ。

盾があって攻撃できないとはいえ、このままでは、相手のラッキー剣戟があったら、やられてしまう。


「ふふっ、そろそろ『イライラ』してきたんじゃない?」

と剣士のサクラが笑う。


「グエェェェェェ!」

とその言葉が通じたのか『ハイスピードリザードマン』が大ぶりの一撃を放とうとする。


「はい、私の勝ち!この時を待ってたのよ!」

と大ぶりになった、剣に向かってサクラが構えてスキルを使った。


「え?」

と僕が思うまもなく、サクラの体が光りだす。


『高速剣戟 - ハイスピードスラッシュ』


とサクラが言うと同時に、『ハイスピードリザードマン』の剣が飛んだ。


「すごい、『ソードブレイク』だ!」

と僕が呟く。


そう、サクラは、おおきく振りかぶって的が狙いやすくなった『ハイスピードリザードマン』の手元に向かってスキルを使った高速の剣戟を放ったのだった。


「よし、みんな行くわよ!」

と、サクラが仲間に合図した。

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