第二百五十四話『根性』
「すごい、『五月雨矢 - サミダレ』の最後の一発はしっかりと角度をつけて、『エリートダークウィザード』を狙ったのか」と僕が言う。
その矢が刺さった直後にサヤカのHPも0になってしまった。
「そう、サヤねぇーさまはすごいんです!」
とアスカは言う。
「そして、エリカおねぇーさまも!」
とアスカが言って大弓のエリカを見た。
「行くわよ!」
と大弓のエリカが弓を構えてそういった。
「また、一気にいくつもりか・・・」
と僕は呟く。
そう、彼女のスキル『貫通弓矢 - ハイスピードショット』で前回は三体の『ダークウィザード』を一撃で倒したのだ。
「ただ、前回とは違って下準備ができてない・・・」
と僕が呟く。
「下準備??」
とサラが聞く。
「そう、前回は、アスカが『二張弓矢 - デュアルアロー』で全体的に敵のHPを減らしていたし、さらにサヤカが『五月雨矢 - サミダレ』で減らしていたんだ。その上で止めに『貫通弓矢 - ハイスピードショット』を使っていた・・・」
と僕が言う。
「なるほど、今回はそれがないのね!」
とサラが言う。
「問題無いわ!何度でも!当てるわ!サヤカの分も!」
と言いながらスキルを発動させた。
『貫通弓矢 - ハイスピードショット』
キィィィィィンと、エリカの大弓に光が集る。
「あ、いつの間にか2体同時に狙えるところに移動しているね」
と僕が呟く。それねアスカとサヤカの作戦だろう。二人で引きつけて、大弓のエリカをフリーにした。
「そう、アスカとサヤカがくれたチャンスよ!」
と言いながら、エリカは大弓を離して矢を発射した。
ビュン!!っと凄まじい速度で飛んで行くスキル『貫通弓矢 - ハイスピードショット』を使った矢。
「グオォォォォ」
と呻く『ダークウィザード』。
まずは手前の『ダークウィザード』に当たった。
ガンッ!
そしてその矢はさらに『ダークウィザード』を貫通して『エリートダークウィザード』に向かった。
「グオオォォォォ」
と『エリートダークウィザード』も唸る。
「倒した??」
とサラが聞く。
「いや、足りない・・・あと一発か二発当てないと倒せない・・・」
と僕が言う。
「もう一度当てるわ!」
と第二撃目の用意をする大弓のエリカ。
その時
『ファイヤーショット』と手前の『ダークウィザード』が炎の弾を発射する魔法を唱えた。
「まずいな・・・」
と僕が言う。
「え?あれでやられちゃう??」
とサラが言う。
「いや、大弓は打つのに時間がかかる・・・せっかく溜めたちからが、『ファイヤーショット』によってやり直しになってしまう」
と僕が言う。
そして『ファイヤーショット』がエリカに当たる。
普通はその衝撃が腕にはしり、矢を離してしまうのだが・・・
彼女は根性で離さなかった・・・
「ここで離すわけにはいかない・・・」
と、衝撃を耐えて、言った。
そう、ここで離してしまうとサヤカがやられたのが無駄になってしまうからエリカは痛みに耐えた。
それがほんとに成果を出している本物の体育会系のエリカの力。
「行くわよ!」
とエリカは大弓を構えた。
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