第百九十五話『鬼王アルバート』

「なるほどなるほど!手強いのは、この格闘家の少女だけではないということだな!」

と『鬼王のアルバート』は炎の消えてしまった自分の手元を見ながら呟く。そして、おもしろい・・・と付け加えていた。


「よろしい!では、順番に倒すことにしよう!」

と、サラに背を向けて、『鬼王のアルバート』は走りだした。


「奈緒子!!」

と僕が叫ぶ『鬼王のアルバート』は僕でもサラでもなく奈緒子の方に一直線で向かった。

『鬼神の籠手』にかけたスキル『炎化武器 - ファイアライズ』を『ダブルウインド』でかき消したからだ。

放っておくと、あとあと困ると思ったのだろう。


『鬼神走脚 - キシンソウキャク』


と『鬼王のアルバート』は筋肉を増強させ高速で走るスキルを発動させた。

そして、禍々いオーラと共に・・・。


『鬼の形相』になる。


そう、それはまさに鬼。

普段は丁寧な口調の『鬼王のアルバート』だが、やはり本質は鬼。


「グオォォォォォ」


と、今までの紳士的な話し方からは想像もできない、唸り声を上げながら『鬼王のアルバート』は飛び出す。


そして、『鬼神の剣』を抜いた。


「えっ!」

と奈緒子の声が響く。


ザクッ!


と、何かを貫く音がする。


貫いたそれは、奈緒子の心臓がある左胸。


そう、それはつまり弱点。


ザクリと『鬼神の剣』が、弱点に突き刺さる。


「ジュン・・・さん・・・」

と言いながら奈緒子は倒れる。


HPバーがググーっと下がり、HPがゼロになった。


そう、それはクリティカル。


『鬼王のアルバート』はしっかりと、一撃で人間の急所を狙ってきた。


そして、奈緒子は行動不能になった。


「こぉぉぉぉぉぉぉのぉぉぉぉぉぉぉ!!」

と、サラがその様子を見て、逆上して走りだしていた。

『雷迅 - ライトニング』を脚にまとい高速で『鬼王のアルバート』に近づく。


「ふふふ、良い怒りですな!」

と、『鬼王のアルバート』は振り向いて言った。


「しかし、感情に任せていては、私には勝てない」

と、そのままサラの心臓がある左胸を貫いた。


ザクッ!


と空中から攻撃しようとしていたサラの左胸に『鬼神の剣』を突き刺したのだ。


ギューッと高速でHPバーが縮み、0になった。


そして、

「ジュン・・・ごめん・・・やられちゃった・・・」

とサラが言って行動不能になった


「そんな・・・一瞬で・・・」

と僕はその光景を見て、呟いた。


良い戦いをしていたと思った僕らだったが、本来の鬼の形相を取り戻した、『鬼王のアルバート』によって、一瞬で奈緒子とサラがやられてしまった。


「さて、お一人になられましたな・・・」

と『鬼王のアルバート』が言う。


「つよい・・・つよいけど・・・」

と僕は、呟く。


そして。


「サラと奈緒子の仇はしっかりとる!」

と、僕はSSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」を構えた。

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