第百五十二話『ゴーストハウスのボス』
「どこ?どこ?」
と当たりを見回しながらサラが言う。
「上だ!」
僕が言う。
「これはまた、強そうなの出てきちゃったなぁ」
と僕が笑った。
そして、ゴーストハウスのボス戦が始まる。
「わっ!赤いドラゴンだ!!」
と、サラが僕に言われて上を見て言う。
そして、赤いドラゴンはじっとこちらを見ている。
「うわ、でかいドラゴンやなぁ」
と珊瑚が言う。
今まで視界に入らないのが不思議なほど大きなドラゴンだった。人間の感覚とはそういうもので、集中していると、意外に気がつかないものだ。一回気がついてしまえば無視することは難しいが。
「室内でドラゴンかぁ」
と、僕が呟いた。
いままでのドラゴンはだいたい、屋外に登場した。
それとは異なり、室内でのドラゴンの登場だった。
「え?室内だと何か違うの?」
と、サラが言う。
「うん、空から、この室内全体に炎を吐かれたらこまるよね」
と僕が言う。
「あ、ジュンさんそんなこと言ったら・・・実現しちゃいます!」
と奈緒子が言う。しまったフラグだった。
そう、お話でのフラグの基本『やってほしくないことをキャラクターが言ったら、だいたい起きる』だ。
「あ、やばい!」
と僕が言う。
レッドドラゴンが大きく息を吸っている。
「うわ、これはまずい」
このままだと、一撃でみんな黒コゲだ。
ドラゴンに向かって走ったほうがいいか?
でも僕の脚力だとその途中で燃えてしまいそうだ、と思った刹那。
「みなさん集まってください」
と奈緒子が皆に言う。
「リフレクション!」
と奈緒子が、反射魔法を唱えた。
炎や魔法などの遠隔攻撃を跳ね返す魔法だ。
前回もそれでかなり助かった。
奈緒子がドラゴンのモーションを読み取って、先に発動させていたのだ。
今回も同様に、全員を囲ったリフレクションがいつものように炎を跳ね返した!
だが、『レッドドラゴン』は上空にいたので、ダメージを与えることができなかった。
その直後。
キイィィィィィィン
僕がリフレクションと炎が途切れるのを待ってスキルを発動させた。
『疾風』
SSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」につく最強のスキル、目が届く範囲に光の斬撃を飛ばす疾風を発動させた。
ズバァァァァァァっと光の斬撃が飛んで行く。
しかし、ドラゴンに当たらず、後ろの壁を破壊しただけだった。
そう、その攻撃は当たらなかった。
「まじか・・・」
と、僕が言う。
そして、このパターンはすでに体験済みだ。
「え?消えたの??」
とサラが言う。
「消えたねぇ・・・『白いお化け』と一緒だ」
と僕が言う。
「『透明移動 - インビジブルムーブ』ですね」
と奈緒子が言う。
「炎も吐くし、消えもするのか・・・こりゃ厄介だ・・・」
と僕は笑った。
「ゴーストレッドドラゴン」
魔法使いの美少女、瑠璃が呟いた。
そう、それがこのゴーストハウスのボスの名前だった。
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