第百二十七話『『大龍 - ワイバーン』の滑空』

「おおおおお!すごいすごい!ドラゴンすごいよ!!」

と、高速で移動する『大龍 - ワイバーン』に乗ったサラは喜んだ。


もちろん振り落とすつもりの『大龍 - ワイバーン』がまた「グオオォォォォォ」と吠えた。


サラと『大龍 - ワイバーン』のロデオの第二ラウンドが始まる。


『大龍 - ワイバーン』はサラを振り落とそうと、高速で飛行することにしたようだ。

自分の体を浮かせるために、大きく翼を大きくはためかせた後、キッと前を見た後、大きく翼を羽ばたかせた。


ブォン、ブォン、ブォンと大きく三回翼を羽ばたかせた。


「うわー、速い速い!」

とサラががっしり龍に掴まりながら言った。


通常、鳥は最低限の速度がでるまで、しっかり羽ばたき、ある程度の速度がでたら、滑空に入る。

大きい鳥の方が、空気抵抗の影響をうけて減速する割合が低いので滑空に向いている。逆に小さい鳥はずっと羽ばたいく必要がある。


「うわー!!めちゃくちゃはやいんですけどー!!!!」

とサラがしっかりと、龍に掴まり、髪を風で揺らしながらながら、叫ぶ。


龍はもちろん通常の鳥より遥かに大きいので、空気抵抗の影響を受けづらく、二、三回の羽ばたきにより、いきなり最高速度になるのだろう、そこから一気に滑空状態に入っていた。


「高速飛行する姿も美しいねぇ」

と、僕が呟いた。いちいちフォルムがかっこいいのだ。こんどデザイナーさんの名前を調べてみよう、などとのんきなことを思っていた。


「そんなこと言っている場合じゃないですよ!サラちゃん振り落とされちゃいますよ!!」

と、魔法使いの美少女奈緒子が僕をたしなめた。


『大龍 - ワイバーン』はサラを振り落とすために大きく旋回していた。そして、結果的にグルーッと、一周して戻ってきた。そして、『大龍 - ワイバーン』はまだサラを落とせないことに苛立っているようだった。


戻ってきた『大龍 - ワイバーン』に乗ったサラが僕らの前を通るときに大声で僕に聞く。

「ねぇ、ジュン!!なんとかして『大龍 - ワイバーン』ちゃんをおとなしくさせる方法ないの??」

と。


「スタンさせるとかかな?」

と僕は呟いた。


「ええええ!スタンってなにいいぃぃぃぃい!あと、もっと大きな声で言ってええぇぇぇ!!」

とサラがそのまま、『大龍 - ワイバーン』に乗って通り過ぎていった。また同じように、ぐるりと回って『大龍 - ワイバーン』が戻ってきた。


通り過ぎる、サラに奈緒子がスタンを説明する。

「簡単に言うと気絶させたりすることです!!」

と、僕の代りに奈緒子が大きな声でサラに伝えた。 


「気絶?!なんだ!!そういう意味かぁ!!ジュンのいうことは難しいんだよ〜」

と言うサラ。


「それなら、簡単じゃない!!」

と、サラがアイデアを思い付いて、それを実行するための構えを取った。


サラの反撃が始まる。

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