第百話『高級買い物ツアー』

「よーし、次は奈緒子ちゃんの『木目調の食器棚ね』!」と言うサラ。

やった!と胸に手を持ってきて、喜ぶ奈緒子。


三人は、奈緒子のお気に入りのお店に向かっていた。

「ふふふ、楽しみです!」

奈緒子が楽しそうに腕を振るねいつも大人しい彼女にしては珍しい、ほんとに楽しそうだった。ウキウキという効果音が聞こえてくるレベルだ。


「そだね、結構たいへんだったもんね〜」サラが言う。

「いろいろありましたね。土地を買ったり、お家を買ったり、『ゴールドゴーレム』を倒したり、これで素敵なマイホーム生活が出来ますね!!」

という話をしていると、目的の家具店に着いた。


こないだの家具の前に向かって行き

「これいただけますか?」と聞く奈緒子。

「かしこまりました」と店員が言って、奥に行って作業をしているようだ。


「うわー、ドキドキしますね!!」

と、手を振る奈緒子。それもそのはず、この『木目調の食器棚』は116万ゴールドもするのだ。超高級家具だった。


そして、店員がやってきて、一言二言、奈緒子に確認する、それに頷く奈緒子。小さく丸を作って、こちらに微笑みかける。購入成功したようだ。


「お家に送ってくれるそうです!」と僕に伝える奈緒子。

「お家についたら、もうあるそうです!わああぁぁぁ、嬉しい!!」と胸の前で手を軽く振る奈緒子。


よかった、よかった、女の子が喜んでいたらワシも嬉しいのじゃよ、と何故か老紳士口調で思った。


「よかったね~!!」とサラも大きく笑顔になる。


「次はサラちゃんのベッドですよ!!」

「よっ!待ってました!!」

とよく分からないけど、オジサマ口調で奈緒子に言うサラ。


ベッド売り場に行って、開口一番

「これくださーい!」と言うサラ。

ささっと店員さんがやってきて、いろいろ確認している。お姫様ベッドの天蓋の細かいオプションを確認しているのだろう。


「それで大丈夫です!!よろしくお願いします!!」

というサラの声が聞こえてきた。

みんな115万ゴールド前後の高級な買い物をして、ドキドキしているようだ。僕もだが。


「よし、じゃぁ、家に帰って、見に行ってみよう。」

と僕が提案する。


まずは僕の家にみんなで来た。

「バンドマニア」が稼働している様子を見て

「ふおおぉぉぉぉぉ、きたああアァァァァ」

と取り乱す僕。


「ヤバイ、やばい、ヤヴァイ!!」

とテンションの上がり続ける僕。


「ヤバイのはジュンだよ!」と笑うサラ。


「よし、見たから次!!」と、次に行こうとするサラ。

「え、プレイしないと!!」抗議する僕。

「やり始めたら止まらなそうだから、却下!!次、奈緒子ちゃんち!!」

と、サラに却下され、奈緒子の家にやってくる僕ら。


「あぁっ!!ありますね!!素敵!」

と、家具を目の前に、うっとりする奈緒子。


「はっ、いけない!!」

とそこで正気に戻る奈緒子。みんな同じだった。


「ちゃんと届いているのを確認したので、サラちゃんのおうちにいきましょう!」

「うん!」とサラの家に向う


着くやいなや

「うひょょょおおお」とお姫様ベッドに向かってダイブする。

そして、ビシっと親指を立てて、「最高」と報告するサラ。

「サラも一緒じゃん」と笑う僕。

みんな普段のキャラまで崩壊している、買い物恐るべし。


「みんな買えましたね、次何しましょうか?」

と聞く奈緒子。

「そうだね、なにしようか?」と僕がそのまま返してしまう。


「ふっふっふ、次は空じゃないですか?みなさん??」

ベッドの上で手をバタバタと、振りながらサラが提案した。

「空??」

「空ですか??」

二人が聞き返す。


「私は、竜に乗りたいです!!」

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