第六十九話『報酬』
そうこうしていると、「D級英雄ランク戦」のクリアボーナスのレア宝箱が現れた。
「待ってました!!」サラが笑顔で言った。
「お、きたね!前回はなにをもらったんだっけ?」
と、前回の『森の道』のボス戦のことを思い出していた。
このラスト・オンラインはボスを倒す毎に、レア宝箱がもらえる仕組みになっている。
私は、この『格闘家の籠手』よ、籠手をアピールして、シュッシュとシャドーボクシングをする。
「ああ、それにすぐスキルがついたんだったね、サラにぴったりな、Aクラスのスキル『雷迅 - ライトニング』が」
「そうそう、手に入れた『格闘家の籠手』でこんな感じで素振りしてたら、すぐ覚えたの。」そこからの『雷迅 - ライトニング』によるサラの活躍ぶりはめざましいものがあった。
僕はこの、「神の鎧 - ゴッドメイル」だった。とコンコンとたたく。
そして、僕のレア宝箱を開ける。
「神の脚具 - ゴッドメイル」を手に入れた。
「まじですか!!おおおぉぉぉぉぉ」と興奮する僕。
「これはすごい・・・。ほんとに「神衣 - カムイ」シリーズが全てそろってしまうのでは・・・、いったいそれはどんな確率なんだ!!」とまた軽くパニックになる僕。当たるはずではないものが当たると、人は想像以上に興奮してしまうようだ。
「あいかわらずのすごい引きですね」と奈緒子が言う。
「ほんとだね、こわいくらいだよ」と僕が答える、実際手が震えかけている。なれてきたとは言え、価値を考えると、冷静ではいられない。
「ズルしてるんじゃないの。ズル!!」
ぶー、と頬を膨らませるサラ。
「いやいや、してないって・・・たぶん」
「たぶん・・・てなによ!!私にもその運を頂戴よ!!」
あまりにも当たりすぎていて、自分でも確証が持てない・・・。
「サラも十分良いと思うんだけど。いつもぴったりのスキルがついてるじゃないか!」
「そうですね、サラちゃんにはいつもぴったりのスキルがついてますね」
「あら。そう???」とまんざらではない表情に変わる。
「どれどれ、私はなにが当たりましたかね??」
とレア宝箱を開けるサラ。
『格闘家の靴』を手に入れた。
「『格闘家の靴』だって!!ほら、また普通な感じじゃん!!」
と、いいつつ、早速履き替える。
シュッシュと、蹴りのシャドーをこなすサラ。
「あ、でも、悪くないかも??」と更にシャドーに熱が入り、大きい蹴りを繰り出す。
「ん?この光景、見たことあるぞ??」
「見たことありますね。」
と二人には予感が走っていた。
「え、ジュン、奈緒子ちゃん、なに??」
とそのとき、サラの靴からピロンという音がした。
サラの『格闘家の靴』にAクラスのスキル『雷迅 - ライトニング』がついた。
CPUの無機質なアナウンスが流れる。
「また、ぴったりなスキルがついたね」と僕は予想通りの展開に微笑む。『格闘家の籠手』だけではなく、『格闘家の靴』にも電撃のスキルがついたのだった。鬼に金棒、サラに電撃、と密かに思った。
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