第六十八話『宝石箱』

僕らは、いろいろな犠牲を乗り越えて、ついに「大龍 - ワイバーン」を倒したのだった。

「おおおおお、やったぞ!!」

僕は柄にもなく叫んでいた。


「大龍 - ワイバーン」を倒したことにより、HPが0だった、サラと奈緒子の拘束が解かれた。HPは1になっている。


「サラちゃん回復してあげる!」

「ありがと!!」

奈緒子がサラに、杖を掲げながら言い、感謝の言葉を返すサラ。


「リカバリー!!」とサラに回復魔法をかけた。

そして奈緒子は奈緒子自身にも回復魔法をかけた。全体回復も覚えているのだろうけど、ダメージを受けすぎているので、順番にやったのだろう。ステータスバーが赤から緑に戻った。


「いきかえったー!!」

とサラがいつものように、ぴょんぴょん飛び跳ねた。あんなことがあったのに元気だ。


「死んじゃうとあんな感じになっちゃうんだね。なかなかつらいね。死にたくないね」

「死にたくないですね」

と女子二人は見つめ合ってうなずいていた。


すると、「大龍 - ワイバーン」が光り、そこから宝石が飛んでくる。


「おおぉぉぉぉ、きたぁぁぁぁ!!」

サラのテンションがマックスになる。


チェックポイント毎に手に入れてきた宝石。最終チェックポイントの宝石が飛んできた。


「これで最後だ!!」

最後の宝石を手に取り、『D級英雄の宝石箱』の最後のスロットに宝石を入れる。『D級英雄の宝石箱』は更に大きく光りを放っている。


しかし、それ以上のリアクションはないようだ。


「あれ??何も起きない??願いを叶える龍とか出てこないの??」

「なんでも一つ願いを叶えてくれるドラゴンさんですね?」

サラの冗談に奈緒子がつきあった。


「うーん、そういう感じじゃないみたいだ。なんだろう。ここで何か起きるわけじゃないのか。」

「誰かに持って行って渡すイベントかもしれないですね」

「なるほど、その可能性が高いね」

と、RPGトークを繰り広げる僕と奈緒子。


「なになに??どゆこと、どゆこと??」

RPGに詳しくない、サラが僕ら二人に尋ねる。


「こういう、レアアイテムを探している、村人がいるものなんだよね、ゲームだと。いままでそういう人に会わなかったということは、もっと先で会う人なのかもしれない。」

「あー、なるほど」と奈緒子が頷く。


「元、A級の珊瑚たちでも倒せない相手だ。もっと先のクエストなのかもしれない?」

「つまり??」

話についてこれなくなりつつあった、サラが要約を求める。


「すごいお宝かもしれないってことだ」

と、わかりやすく説明した。


「やったー!!でも、それかわいいから、その人をさがさないで、私がずっと持っててもいいけど!!」

と、『D級英雄の宝石箱』を掲げて、くるくる回った。


そうこうしていると、「D級英雄ランク戦」のクリアボーナスのレア宝箱が現れた。


「待ってました!!」

『D級英雄の宝石箱』を掲げたまま、サラが笑顔で言った。

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