第二十一話『料理人見習い - クックアシスタント』
「もちろんよ!!」
食堂のおばちゃんは、胸に手をドンとやって、僕らが最強クラスのモンスター「ドラゴノス」を倒して手に入れた、「竜の肉」の調理を引き受けてくれた。
「ただ、あれなのよぉ!私達でも調理できるのだけど、もし『料理人』のスキルがあれば、さらに料理の幅が広がるわ、私達だけだったら、例えばステーキはできるけど、しゃぶしゃぶができなかったりするのよぉ」
と説明する食堂のおばちゃん。
「え、しゃぶしゃぶって、薄く切るだけなのでは?」
と僕が、たずねる。
「おいしくなる切り方があるんだよ!」
意外にも、格闘家のサラが言った。
「え、サラちゃん、お料理するんですか?!」
魔法使いの少女、奈緒子が食いついた。
「おにいちゃんがいるからね、たまにつくったりするんだよ。料理というほどすごいものじゃないんだけど」
「そうなんですね、すごい!私も見習わなくちゃ!」
と、少し焦ったように言う奈緒子。
「へー、逆っぽいけどね。」
元気少女のサラと、おとなしめの少女奈緒子からくる感想を何気なくつぶやいた。
「そう?」とサラ。
「・・・・・・」と顔を赤くする奈緒子。
「ジュンさんは料理が上手な女の子の方が好きですか?」
奈緒子は、赤い顔を隠すためか、手の甲で口元を隠しながら聞いた。
「え、うん、まあ。ごはんが美味しい方が楽しいよね。」
特に何も考えずに、ぼくはそう言った。
「がんばらなきゃ」
ぼそっと、奈緒子がそう言った。僕にはぎりぎり聞こえない声だった。
「その料理人のスキルがあれば、いろいろな、料理ができるの??」
と、話を戻してサラが、食堂のおばちゃんに聞いた。
「そうだね。『料理人』のスキルといってもいろいろ、あるんだけど、それを持っている人を連れて来てくれたら、レパートリーは増えるよ。せっかくこんな上物の『竜の肉』をもってきてくれたんだから」
というおばちゃん。
「そっかー。広場でそういうスキルを持っている人を探して、お願いしたらいいのかな」
「もしかしたらいるかもしれないね」
せっかくなので『料理人』のスキルを手に入れられないかと考える。
「コックさんぽい人??ファンタジーでそういうスキル持ってる人いるの??戦いに関係あるの??」
「わりと関係あって、それこそ、今回みたいな『竜の肉』をドロップしやすくなったり、するから、わりと格闘系の武器にもついてたりするんだよ」
僕が説明する。
「へー、そうなんだー。『料理人』のスキルねー。やっぱり、お願いして誰かにやってもらうのは、違う感じがするよねー。私達が出来るようになったときに、また、お肉を手に入れた時になるのかなー」
と、考えるサラ。
「そういえば、最近『料理人』の文字をどこかでみたような。」
「そうなんですか?!どこででしょう?」
考えこむサラ。質問する奈緒子。
「かなり最近、みたような・・・」
「『料理人』スキルをもった友達がいるってこと??」
僕もたずねる。
「うーん。」
なやむサラ。
「あ!!」
と、慌てて、ステータス表示を確認するサラ。
サラの手前にステータス画面が表示され腕の項目を確認した。
腕:ふつうのリストバンド [スキル]料理人見習い - クックアシスタント
「あ!!私が持ってた!!」
とサラが微笑んだ。
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