第二十二話『サラのレストラン』

「あ!!私が持ってた!!」

サラがステータス画面を見て、 [スキル]料理人見習い - クックアシスタントを持っている事を確認した。


「え!いつから持ってたの?」

僕は誰もが思うであろう、疑問を格闘家の少女サラに投げかけた。


「うーん、わからない!!最初から持ってたかも。これ、見方がよくわからなくて・・・・・・」

と、RPG初心者のサラが、ステータスバーを指さし、記憶をたぐる。


「たしかに、RPGのステータス画面って見るの難しいよね。情報がたくさんあって、慣れるまでなかなか理解らないかも。」

「そうなんですよね〜。私も昔、苦労しました。」

と、僕の感想に、魔法使いの少女、奈緒子も同意する。彼女はサラと違って、RPGをいくつかやっているようなので、最初の頃にやっていた、ゲームを思い出しているのだろう。


僕も8ビットのゲーム機の頃はかなり難しかった記憶がある。彼女がそんなに昔のゲームをやってるとも、思えないけど。そういえば彼女はいくつなんだろう。今度タイミングがあった時に聞いてみよう、と思った。


「さっき、たくさんレベルが上がった時に覚えたわけじゃ、なさそうなの?」

「うん、たぶん。さっきのレベルアップより、前に、ステータス画面を確認したときに、『料理人』って見たような気がする。料理人ってなによ!って思った記憶が、かすかに・・・」

僕の言葉に、記憶を紐解き、笑うサラ。


「次からは、そういう時、聞いてくれていいからね!じゃぁ、『竜の肉』もサラの「料理人見習い - クックアシスタント」のスキルでゲットした可能性が高いね!」

「え?!ほんと?!じゃあ、この料理、私からのプレゼントってことでいいの?」

「プレゼント??」


「『ドラゴノス』を倒して助けてくれた、お礼よ!!あの時、ほんとに怖かったんだぁ」

と、対ドラゴノス戦を思い出す。あの時のサラは突然後ろに現れた、巨大な竜によってヘタすれば食べられてしまうところだった。


「え、そんなのいいのに!」

と答えながらも、嬉しいな、と思った。


「いいの!いいの!やらせて!料理嫌いじゃないし!じゃおばちゃん、私も手伝うよ!」

おばちゃんに言うサラ。


「ほんとかい?!助かるよ!そのスキルがあれば、すき焼きでもしゃぶしゃぶでもステーキでも焼き肉でもできるわよ」

「ほんと!!やった、すごい!!」

おばちゃんの説明に喜ぶサラ。


「どれにするかい??」

「全部!!」

おばちゃんが、今晩のメニューを聞いてきたとき、間髪入れず、サラが答えた。全部食べるつもりらしい・・・・・・そんなに食べられるかな、と思ったが言うのはなんとか留まった。


そして、厨房に入っていく、サラとおばちゃん。

僕と、奈緒子はここで見ていることにした。


「おばちゃん、なにを、やればいい?」

「そうだね、硬い部分を切り分けたりして欲しいわね。」

「力仕事ね!りょうかいです!」

ビシッと敬礼して返事をするサラ。


「なるほど、だから格闘家にこのスキルがつくのかな」

と言いながら、サラは楽しそうに料理を始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る