悲恋を装うカドリール
粟花夜鷹
まえがき
01 FOREWORD
お初にお目にかかります。
本日はお忙しいところ拙作をご観覧するためのお時間を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。
しかしいきなりで恐縮ですが、まずはお客様にお聞きしなければならないことがございます。
「あなたはいま、幸せですか?」
答えが「はい」なら、この物語から離れることをお勧めします。
「幸せ」なあなたは決して下を見ないが故に、誰のことも理解していない。
あなたの「幸せ」のために犠牲になった誰かの手によってその日常が壊されるときまで、「幸せ」を謳歌すると良いでしょう。
答えが「いいえ」でも、この物語から離れることをお勧めします。
「不幸せ」なあなたは決して上を見ないが故に、誰のことも理解できない。
あなたの「不幸せ」があなたの心の中にしか存在しない可能性に気づけるときまで、「不幸せ」の海で溺れていれば良いでしょう。
「どちらでもない」、「そんなこと決められない」と匙を投げてしまった方は、そのやるせない怒りを収めてください。
この物語は、そんな魂の苦悩に囚われるあなたにこそお送りしたいのですから。
この世は希望に満ちていると信じてやまないお客様も、浮き世は絶望で溢れていると見下げ果たしているお客様も、もしもご覚悟めされたのであればどうぞこの先へお通りください。
これより語られるのは、とある少年たちの決意と信義の行く末。
あるいは、悲哀を纏った者たちが舞い踊る軌跡について。
――もしくは、そんな彼らがやがて手に取る、ささやかな救いの物語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます