ユーゼ魔創工房のお茶会

葉桜 イチカ

プロローグ

 魔法が日常にある世界、アディアガ。

 数ある国の中のひとつ、ダンリュ。首都ニズレは、魔法技工を国の産業中心地として発展していた。

 特に魔工人形生産においては、他国にない独自の技術進歩がある。

 人間の魔導術式の相棒として創作される魔工人形は、身体的特徴として、瞳の色が黒色、髪型は主に短め。そして、乳白色で丸形のピアスとのどものにチョーカーを装備品として身に着け、これらを隠すことを禁じる国の法律がある。

 見た目での差別化をしないと、人と見分けがつかないほど精巧に作られ、人間のように感情もある。

 そのため、人の日常生活の一部になるのも早かった。

 人間と同数の魔工人形がいる都市の西、主要街道から外れた裏路地に、一軒の店がある。

 ユーゼ魔創公房。

 人型の魔工人形創作や修復、部品の販売を手掛け、都市ができた頃からある老舗店だ。

 公房の創設者、リィーザン・ユーゼは、魔工人形製作において「神の手」と賞賛されるほどの作り手ながら、変わり者としても有名だった。

 現在は、創設者の曾孫にあたる4代目が公房を継ぎ、魔工人形の更なる進歩を目指して日々勉強の毎日だ。

 しかし、4代目には最近悩み事がある。

 ユーゼ魔創公房では、創設時から続くとある茶会だ。

 初代リィーザンが、己が作った魔工人形を「我が子」と呼び売られた後もメンテナンス以外でも会いたいが為に、店舗の一角に憩いの場を設けたことが始まりだ。

 これは、茶会での魔工人形の日常と、工房を引き継いだ新米店主の物語。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ユーゼ魔創工房のお茶会 葉桜 イチカ @hazakura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ