第4話


箒を持ったマリーに家から追い出された男は着替えもせず眠ったせいで昨日のままのしわしわの萎れた服で外に出た。外はすっかり日が昇り中天に差し掛かる。


急に腹がぐーと鳴り、空腹が襲う。腹を擦った男は「さて」と食事を済ませることを考える。胸元に軽く手を置いて財布があることを確認して、馴染みの町並みを一望する。今日はどの店で食べようかな。


いくつかの店の料理をリストアップして、その目に使い魔であるカラスのような黒い鳥を写す。


まったく人使いの荒いことだ。行こうと予定していたレストラン料理ではなく、道に並んだファストフードの出店のもち歩きができる屋台料理に急遽、昼食を切り替えて適当にフランクフルトのようなものを注文して受け取る。ついでに飲み物も選んで男はそれを歩きながらかぶ付いた。


「うまい」


結局、男は美食家などではなく腹はある程度満たせて食えれば満足な男だった。


肩にとまった黒い小鳥に男の主人たる男の家へと向かう。


男の主はすぐに男が来ることをお望みのようだ。そうでなければこの使い魔は来ない。


耳元に小鳥の声ではない人の男の声がささやく。それに男はパンを一気に喉奥に飲み込み。飲み物で流し込むと「はい」と了承した。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る