○全力で生きる
「わかるよ。だって俺はお前だから」だって?
「ああ漫画とかで良くある、もう一人の自分だ。
だから
……
「さて話を戻すぞ?
お前が生きることに全力じゃない根拠はまだある。なぜ今までボックスを使わなかった?
あれに様々なものを入れていれば大抵の状況は打破出来るだろ?」
……確かにボックスに食料を入れていれば今こんな状況にはならなかった。
「そして全力を出さないこのままだと、お前は餓死で本当に死ぬ。
お前は今まで凡ゆるものを疫病神に奪われてきた。家族、恋人、友達、青春とかな。
悔しくないのか?悲しくないのか?」
そんなの本当に僕ならわかってるだろ!
「ああ、わかってるよ。悔しいし、悲しいし、羨ましいし、憎いし、殺したいんだろ?
だから転生した。
だけど、そこからはどうした?
疫病神を殺すための策をいくつか用意して、それなりに修行した。
自分にあまり自信を持てない俺ですら、これなら殺せるって思える策を思いついたろ?
なら、もういいじゃないか……
自分のやりたいことをやりたいようにする。
時期が来たら疫病神を殺せばいい。
御誂え向きの力は既に貰ってるじゃないか」
そうだ、僕はまだまだやりたいことが色々ある!僕は絶対にこんなところで死なない!
「それでいい」
黒い靄のようで見えなかった顔が晴れていった。見えた顔は笑顔の僕だった……
「そりゃ、お前自身だからな」
なあ、僕が全力を出せばここから脱出出来るみたいなことを言ってたけど、どうすればいいんだ?
「それは教えてられないな」
はあ!?なんでだよ!
「くくっアホと話す以外で本心を出せるようになってきたな。なんて単純なやつなんだ俺は」
うるせえ!
「そう焦るな、教えてる時間や教える意味がないから言わないだけだ。もうすぐこんなとこから出られる。ほら、俺の姿がだんだん消えていってるだろ?」
目の前の僕の言う通り徐々に色合いをなくし消えている。
「俺が完全に消えたとき、お前はここから出られる。最後に俺からの忠告だ。
お前は今まで他人に頼れない状況で過ごしてきた。これからは他人を頼り、利用すらしてやれ」
そして完全に目の前の僕が消えた。
同時に僕の意識が途切れた。
いや、意識が戻ったと表現すべきなのだろうか。
目の前にはカイオスがいた。
周りを見渡して見ると、暗闇に行く前に修行をしていた場所のままだ。
「これは一体?」
◇◆◇◆◇
カイオスの話だとカイオスの魔法で自分の精神世界に意識を飛ばされていたらしい。
その魔法は自分の悩みなど自覚し自分なりにどうやっていくかを決めれば解除されるようになっていて僕を追い詰め、僕の潜在意識を呼び出して早く自覚させるために精神世界なので喉が渇くはずないのに喉が渇くよう錯覚させたりしたという。
「こんな魔法が使えるとか敵なしじゃないか」
僕は思ったことをそのまま言った。
だって、その間は絶対に無防備になるし色々精神世界内を弄れるってなると永遠に意識を奪うことだって可能かもしれない。
「この魔法の発動条件は色々あって相手が自分を信頼して手を差し伸べるとか敵対するやつだと100%発動出来ない魔法だからな。
それに発動中、俺も動けなくなる」
「なるほどな」
かなりデメリットのある魔法だったのか。
「さて、じゃあ戻ってきて早々だが修行をするか?」
「今までの僕じゃないところを見せてあげるよ」
「ははっ自信満々だな!
よし!魔法抜きとかいう制限もなしだ!
さあ、どこからでもかかってこい!」
「なら遠慮なくやらしてもらうよ!」
刀を出して肉薄する。
カイオスは片手で受け止める気でいる。
カイオスに当てる寸前に『ライトボール』を出した。魔法はそのまま爆発して刀を止めるために目をしっかり開けていたカイオスの視界を奪う。
「なっ!?」
どうせ殺す気でやっても殺せないだろうから本気でやる。僕は『グラヴィティ』を発動した。
「ぐあっ!」
カイオスが急激に増えた重力により地面に埋まり、そのまま出来たブラックホールに吸われ始めた。
「くっ!」
カイオスは転移で逃げたからブラックホールを『ダークボール』を爆発させ魔法無効の効果でブラックホールを消した。
「やっぱり強いな」
「お前もな。俺は魔法を使う気がなかったんだけどなあ……よし、じゃあ1対1の修行はここで一旦中断だ。魔族式の剣術とかを教えてやる」
僕はここで更に力をため、疫病神を殺す確率を上げて自分のやりたいことをする。
せっかく神から貰った命だ、自由に生きてやる。
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