第22話 リベリオン・フォートレス決戦
二日後、リベリオン・フォートレスにレジスタンスの全戦力が結集する。
「妙ですね」
それを確認した聖が呟く。
「何が妙なんですか?」
「この二日間、奴等に動きがなかったことです、奴等はこの世界に来てから直ぐに我々の動きを察知し、仕掛けてきた。にも拘らずレジスタンスの集結については何も手を下していない。
もし此が何らかの意図があって仕掛けてきているのだとすれば・・・」
希有の問いかけに返答する聖に
「やはり何らかの奇策を討ってくると言うことでしょうか?」
「仮にそうでも正面から打ち破るだけです!!」
生花も疑問を話し、あくまで正面からぶつかろうとするロザリー。その心中はやはり穏やかでは無かった。
その直後、リベリオン・フォートレスに警報が鳴り響く。
「警報!?と言う事は・・・」
その懸念通り、ソルジャが部屋に飛び込んできて
「皆さん、魔王軍の大部隊がこちらに接近しています!!」
と叫ぶ。
「ついに来たわね、行きましょう!!」
ロザリーがそう言うと一行は指令室に向かい、状況を確認する。
指令室のモニターには魔王軍の部隊、そして其を迎撃する為に出撃したレジスタンス部隊の分布図が表示されていた。
「今の所はレジスタンスの方が少なくとも数の上では上回っているか・・・」
分布図をみてその詳細を口にするテレサ
「うん・・・でも、当然別動隊って線も考えられるから予備戦力は残しておかなきゃいけない。それがどう響いてくるか・・・」
そうチュアリは警戒と不安を募らせる。
「私たちも向かわなくていいのですか?」
「私達はまだこの世界の武器すら扱いきれていない素人です。今慌てて飛び込んでいってもレジスタンスの足手まといになってしまう可能性が高いでしょう」
生花達が焦った行動に走らない様釘を刺す聖。
その後もレジスタンスと魔王軍の攻防は一進一退が続き、被害も徐々に出始める。
「一体魔王軍の戦力はどれくらいいるんだよ!!」
「それだけ大規模な戦力を投入していると言うことか・・・どうやら奴等もこの決戦の大事さは把握しているみたいだな」
ソルジャの顔に焦りが滲む。
「今の所進行は食い止められてる。このまま押し返すことが出来れば!!」
そうロザリーは呟くが直後、部隊右側の前方にあったレジスタンス反応が突如として消失する。
「何だ!?右側の部隊が・・・応答しろ!!」
ソルジャは急いで通信を繋ぐがその先は
「何だこいつら・・・うあああああぁつっ!!」
と言う叫び声が聞こえてくるのみだった。
「一体何が起こったんです!!」
「子供が・・・子供が・・・」
チュアリの呼びかけに辛うじて返答する通信先の声。状況が劣勢である事は容易に想像出来た。
「子供!?もしかしたら・・・魔王軍の反応の中にこれまでと違う反応が現れたわ。これはあの子供達よ!!」
ロザリーがそう叫ぶとその場にいた全員の顔色が変わる。特に生花達にとっては実子が別世界に進行しているという事を意味していた。
「その映像は出せるか!!」
ソルジャはそう叫び、映像を確認しようとする。だが
「駄目です!!ジャミングがかけられていて・・・」
「ジャミング!?でも音声は拾えるわよ!?」
映像のみを遮断するジャミングに阻まれ、映像を映し出す事が出来ない。
「と言う事はつまり・・・音声を態と拾わせているのか?」
そう呟く聖はその意図を考えていた。
その通信先交戦地域では命が
「皆、行くよ!!」
と号令をかけ、その場にいる魔王軍が一斉に突撃を仕掛けていた。
「子供!?だが・・・」
そう口にするレジスタンスを命達は次々に手にした銃で撃っていく。そしてそれで撃たれた構成員はその場から消えてしまう。
「それは何なんだ?」
物珍しそうに見る魔王軍の兵士に
「一日ちゃんが作った転移銃だよ。これで対象を撃つと指定された場所まで物体を動かせるんだ。まあ、そこがどこなのかは一寸言えないけどね」
「どこかは言えない場所に飛ばしているのか?」
笑顔で開設する命。その兵士が疑問を口にすると命は兵士に銃口を向ける。
「お、おい!!悪戯は止めろって!!」
兵士がそう言った次の瞬間、命は引き金を引き、兵士の後ろに居たレジスタンスを撃つ。
後ろを振り返り、それに気付いた兵士に
「雑談しながらでもいいですけど・・・体を動かしながらにしてもらえませんか?」
「あ、ああ・・・そうだな」
と周囲への警戒を促す命に兵士はただ頷くしかなった。
別の場所ではヒリズが
「ロザリー・・・ここで決着を付けたいところだな。そして、あの忌まわしい組織の・・・」
と言い、リベリオン・フォートレスに向けて部隊を率いて進撃していた。その直後、リベリオン・フォートレスの周囲で爆発が起こる。
「リベリオン・フォートレスの側面方向、及び背面方向より爆発です!!」
「爆発と言う事は、そちらにも敵が居るという事か!!」
チュアリが叫び、希有が思考する。
「爆発があった方向に防衛戦力を!!」
そう叫んで待機させていた防衛戦力を向かわせるソルジャ。
「レーダーには反応が無いのに爆発が・・・」
「反応を隠すシステムを開発したのかもしれませんね・・・レジスタンスもその雛形は持っていましたから」
困惑する望に冷静に説明するロザリー。
「先日の襲撃の際にそれが奪取されたって事か・・・」
「ええ・・・予備戦力も限られてる。向かってきている部隊の数がそれに対処出来るか・・・」
「大丈夫だよ。爆発の規模から言って戦力自体は大した事は無い。大部隊なら大規模で起こして気を引く方が有効な手だからね」
ロザリーの発言から強気な気持ちが消えかけている事を察した聖。彼女の為にあえて強気な発言を持ちだすのであった。
要塞前方では更にシオン、木の葉、言葉、回帰、神消が加わり、レジスタンスを圧倒的に劣勢へと追い込んでいく。
「もう直ぐ要塞の入り口ですね」
「そうだね、急ごう。一日の為にも」
「ああ、一日とヒリズの約束の舞台を作る為にもな!!」
シオン 回帰 神消はそれぞれ決意の言葉を口にする。
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