核に在る学園Ⅴ
再び生徒会室に戻ると、中に人がいた。
扉の開く音を感づき、全員がこっちを振り向いた。その中には、さっき会った生徒会長とあの赤髪の少年もいた。
他にも眼鏡を付けているダークブラウンの髪の少年と、一冊の赤い分厚い本をぎゅっと抱きしめている綺麗に輝くイエローブラウンの髪の少女がいた。
その人たちをじっと見ていると、横にいた琴音ちゃんが
「もう来てたんだ。相変わらず早いね、みんな。もしかして待たせた?」
そう尋ねると、本を抱きしめていたおとなしそうな雰囲気の少女が
「心配ないわ、あたしも今ついたところ。それにみんなじゃないから、霙がまだなの。日直の仕事のせいで少し遅れてる・・・それで横の人、だれ?」
じっと見られてわたしは困ってしまった。
そうしていると、赤髪の少年が彼女の頭をポンと優しく叩いて手をのせた。
「そいつは昨日、迎えに行った奴だよ。お前、図書館塔に居るとかって来なかっただろ」
「・・・あぁ、そうだったわね」
そういうとわたしに向かって近づいてきて手を差し出した。
「初めまして、中等部一年。
「ふ・・・藤咲 理架です。どうぞよろしく」
「年上ですよね・・・二年生ですか?」
その問いに頷こうとすると横から
「そうだよ、私や凜夜と同じ中等部二年生だよ」
琴音ちゃんが割り込んで言った。
「凜・・・夜、誰のこと、琴音ちゃん?」
そうすると琴音ちゃんは奥にいる赤髪の少年を指差した。
「彼のことよ、生徒会長の弟で同級生の凜夜」
そう発すると、腕を組んでいた手をほどき私に向かって
「
そうぶっきらぼうに言い放った。
そう言い終わると、凜夜の横にいた眼鏡をかけた少年が小さく呟いた。
「あの・・・名前は
その場にいた全員が挨拶し終わると奥にいた会長が
「あとこの場にまだ来ていないのは、
「うん。霙はたぶんもうすぐ来るよ」
確信をもって希零は言い放った。
その瞬間、後ろから足音が聞こえてきた。
「ちょっとーぶつかる、ぶつかるってばー」
っと、大声で叫びながら後ろの方からオレンジのショートヘア―の少女がスカートをたなびかせながら勢いよくわたしに向かって走ってきていた。そして止まる気配も見せずにわたしはぶつかると直感的に感じてしまい、とっさにわたしは体が動くままにふっと動かしてよけてしまった。そしてその瞬間、部屋の中の小さな段差で盛大に少女は転んだ。
そして持っていたお弁当の風呂敷が宙に舞い上がった。お弁当箱の落下地点に希零が向かい見事にキャッチした。
「よし、無事だよ霙」
「ありがろぉー、おでこ痛い・・・」
地面に平伏せながら彼女は泣きそうな声で答えた。
最後の一人が来ると、全員がテーブルに座りだした。わたしは琴音ちゃんに言われ、琴音ちゃんの横のあいているイスに座った。そして改めて会長が簡単に再び、自己紹介を始めだした。
「まず僕が最初にあいさつした通り生徒会長の城乃 聖夜、高等部1年。一応シュヴァリエコースの総代なんだ。次は学年順でいくと右横の二人かな」
そういい、横に座っている弟の城乃くんを見た。
「彼は僕の弟で君と同じ二年生、城乃 凜夜。僕と同じシュヴァリエ、中等部の中では成績上位だよ」
「兄さんに比べたら、ちっぽけな成績だよ・・・絶対抜いてやる」
と小言で呟いていた。
「そして同じく、亜月 琴音。ずいぶん仲良くなっていたね、彼女もシュヴァリエだ。そしてその横にいる三人が中等部一年生。さっき君にあいさつをした二人がプランセースで、今来た・・・」
そう言いかけるとと、私の正面に座っている少女が立ち上がった。
「わたし、シュヴァリエの詩奈 霙っ!。よろしくね理架先輩」
「えっ先輩・・・うん、よろしく」
突然の先輩呼びに私は戸惑ってしまった。けれど目の前の無邪気な彼女の笑顔をみて素直に嬉しかった。
そうすると横に座っていた二人が
「さっきあいさつしたので、しなくていいですよね先輩」
「あ、うん。そうだね」
そういい終わると会長がクスッと笑い、再びわたしの方を見て話しだした。
「ここにいる全員が、生徒会役員なんだ。あいにく、この学園は創立されて間もないから高等部一年生の僕が最高学年になっている。今現在、高等部の2・3年はここにはいない。まぁ・・・まだいないっていう方があっているかもしれない。この学園自体、今は中等部と高等部のみだから」
「・・・あの、ここっていったい何なんですか」
わたしはずっと疑問に思っていた、この学園のことを率直に会長に聞いた。本当にこの場所がわたしにとって、どういう場所なのかを知りたくて。
そしてその問いに、会長はまっすぐに真剣な顔でわたしを見て言った。
「この学園は、君のもとにいた世界の中心に存在する"世界の核"に在る学園なんだ」
「世界の・・・核・・・」
そうつぶやくと会長の隣に座っている城乃くんが小さなため息をつき
「信じていないならそれでもいい。だけど、お前のいるべき世界はここなんだ」
ハッキリとしたセリフにわたしはなぜか少し涙目になってしまっていた。その様子を微笑みながら見ていた琴音ちゃんはフッと笑い、会長に進言した。
「会長、理架ちゃんを連れていきましょう。信託の間に・・・」
そう全員に聞こえる世にわたしを見ながら琴音ちゃんが何だか楽しそうな笑顔でわたしに言った。
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