放課後は今日もペン字の稽古
井崎冬樹
春——出会いの季節
みかるの入学
ごあいさつ
拝啓――、いまを盛りと咲き誇った桜も新しい季節を前にして、花びらをしきりにふらせています。花びらは枝から、ふりつもった地面から、風にあおられるまま舞って躍るものだから、学校へと向かう路は一面桜色の渦につつまれて、それはそれは見事な美しさ、ついつい見惚れてしまうほどでした。桜を眺めながらの通学路、これから送ることになる学校生活を想像すると、うまくやっていけるかと少し不安も浮かぶのだけれど、景色の見事さのおかげでしょうか、嬉しい気持ちの方がずっと大きくふくらんできて、はやく、はやくとせかされるみたいに先を急いだものでした。住宅地を、並木の路を抜けて、ぱっと開けたそこは正門前。見上げた空の青さもまぶしくて、晴れ晴れとした気分で門をくぐったその時に、はっきりと胸に思うものがありました。
――私、今日から高校生です。
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