しっぽのいたずら

水円 岳

プロローグ

「ねえ、未由みゆ

「なに?」

「あんたの、それ……?」

「ああ、拾ったの。かわいいでしょ?」

「拾ったもん、携帯に付けるかぁ?」

「いいじゃん! そんな汚くないんだし。ほぁほぁでしょ?」

「げぇー。あたしゃ、あんたの感覚には付いてけん」

「ぶぅ!」

「で、それなに?」

「わたしも知らん。なんかのしっぽみたいだなーと思ってさ」

「あ、言われてみればそうだねん。キツネかなあ?」

「ウサギちゃうの? 毛ぇ細いし」

「は。なるほどねい。でも、握ってぬくぬくすんには小っさくない?」

「いいの、かわいければ」

「うけけ、かあいくないあんたに、魅力ポイントぷら3ってか?」

「あずさあ! 今度という今度は、もーお許さんっ!」

「百連敗中のあんたが言うこっちゃないね」

「ぎゃふん」

「もう負けてるし」

「ちぇー」

「あ、やば! 遅刻しちゃう!」


 ばたばたばたばたっ……。


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