第二章・きょじん

だい6にゃ・す、すごく大きいです……

 今、馬車の中では、全裸にローブ姿のショタと、金髪ばぁいんばぁいんなお姉ちゃんが絡み合っていた。


『ぺち、ぺち、ぺち』


 暇なので馬車に揺らされながら、自分のタマの入ったフクロも揺らして、金髪お姉ちゃんに打ち付ける。


「ふん! ふん! ふん!」

「にゃん! にゃん! にゃん!」


 たとえ立たなくとも! 入っていなくとも! 気分だけは味わえる!


「ふん! ふんぬぅ! ふふんぬぅぅ!!」

「にゃん! にゃ! にゃぁぁー!!」


 ばぁいんばぁいんなメロンに顔を埋めながら、腰を振るというのが、これほどまでに素晴らしかったとは……。


「あぁ、そうだ。今日から君の名前はメロンお姉ちゃんだ!!」(ドヤ)

「にゃぁん」(ぽっ)


 見詰めっていると、馬車が急に止まった。


「フベ!」

「にゃー」


 御者台から黒い猫耳少女が、顔をこっちに向けて鳴いていた。

 金髪お姉ちゃんもその鳴き声を受けて、僕を外に下ろす。


「え? おりるん?」


 外に降りるとそこは荒野だった。周りに見えるのは赤茶の土と岩や山ばかり。

 かなり遠くの方に高い山がつらなった連峰が薄っすらと見えている。

 後ろを振り向くと、ジャングルが見えた。

 今までの光景がジャングルだったから、こっちから来たんだろうな。


 す、捨てられるわけじゃないよね?


「にゃー」

「にゃぁー」


 二人の猫耳少女が、近くにあった大きな丘を指さした。


「……なに?」


 何にも見えん。いや、さっきも言ったけど、赤茶の土と岩と山は見える。


『ずぅぅーん……ずぅぅーん……』


 あれ、なんか遠くから聞こえる気がする?


 金髪のお姉ちゃんが、僕の背中を押して先へ進ませた。


「え? ええ? ほ、ほんとに捨てられる訳じゃないよね? ね? ねぇ?」


 二人の猫耳少女たちは馬車付近から動こうとなしなかった。


「…………」


 僕は泣きそうな目で、猫耳少女たちを見る。


『ずぅぅぅーん、ずぅぅぅーん』


 響くような音も近くなってきた。


 少しすると、僕をすっぽり覆うように影が出来ていた。


「ん?」


 後ろを振り向く。


「え、まじ?」


 僕の目には、大きな岩の巨人が見えていた。

 全長は20メートルくらい、目は三つでゴツゴツした岩のような体。


 三つ目の巨人と見詰め合う事数秒。


「た、たすけてーー!!」


 走って猫耳少女の許へ向かう。

 すると、黒い猫耳少女が、馬車に置いたままだった杖を渡してくる。


「にゃぁーにゃぁ」


『ポン』と肩を叩かれる。


「……え?」

にゃぁーにゃぁがんばってにゃ


 なんだか、幻聴が聞こえた気がする。


「い、いや。……まさか……」


 僕は元の世界では賢者だった。いや、正確には魔法使いだった。

 もしかして、魔法を使えるのか?


 杖を見る。


「な、なんだか出来そうな気がする!」


 僕は巨人に近づいて行くと、杖を掲げる。


「ふっはははははーー! 偉大なる賢者様に勝てると思うなよ!」


 僕はローブをなびかせ、ついでに股間に付いてるのも靡かせながら、杖を向ける。


「ッフ。……消し炭になるがいい。『ふぁいあーぼーる』!」


「…………」

「…………」


『ずぅーん、ずぅーん』


『がし』とケツを掴まれる。


 な、なぜ。魔法が出なかったんだ!? 僕は賢者なのに!?!?


 巨人は僕の事を『ぎゅ』っと握る。いやいや、『ぎゅ』なんて可愛らしいものじゃない。『ギュチ』ぐらいだ。


「い、イ゛ダイ゛!! は、はなしてぇ~!」


 巨人は僕をマジマジと観察してから、今度はクルっと回して僕のケツを観察し始めた。

 僕の視界には、下から見上げる二人の猫耳少女が手を振っていた。


 巨人はおもむろに、もう片方の手でケツを撫でた。


 僕の背中には凄まじいほどの悪寒がした。


「ま、まて! ま、まさか!? はやまるな!! ま、まって!?!?」


 極太の、とてもじゃないが、こんな小さい穴に入るとは思えないほどの大きさの指が。穴の周りを撫でていた。


 このままではヤバイ! ヤバすぎる!!


「あ、ら、らめ! まって! らめなの! あぁ、あ、でも、うっふ。ちょっと気持ちい――なわけあるかぁーー!!!! たぁぁすけてぇ~~~!!」


 押し込まれようとする指を、全身全霊の力を使ってケツを引き締めて阻む。

 だが、巨人とショタ。とてもじゃないが力であらがえることなど出来ない。


「こ、このままじゃ! う、うぅ。あぁ、あん!」


 びくんびくん。


 僕はさらにありったけの力をケツに籠めた。


 すると……。


『ブブブーーー!!』


「と、飛んでる!」


 僕はケツから勢いよく放たれた何かに、突き飛ばされて宙を舞った。(へ。ではないよ)

 猫耳少女たちが手を広げて、受け止めようとしているが。僕は猫耳少女たちの頭上を越えてジャングルの木にディープなキスをする。


「ぐべぇぇ!!」


 木が倒れる時の独特の音を立てながら、木と一緒に僕は倒れて行った。


「はぶ……」


 起き上がって直ぐにケツを触る。


「よ、よかった……」


 血は出ていなかった、僕の処女は守られたらしい。


「うぅ、ううう。よかったーー!! ――っは! そんなことしている場合じゃない!」


 僕は杖をもって再び巨人と対峙する。

 あの時にケツから噴射されたものはガスだけどガスではない。あれは魔法だ!

 そう、今の僕にならきっと使える。魔法が!!


「ふっふふふ。お前の命運もここまでだ!」


 魔法の使い方が分かった今の僕に敵は居ない!!

 僕は杖を掲げる。


よ! 太陽よ! 僕にその輝ける力を分け与えよ! 我に、その熱き火を! 煮えたぎる怒りの炎を! 我は放つ! 『ファイアーボォォーール』!!」


 僕の杖の先から、真っ赤に燃える火の玉が現れた、それを巨人に向けて放つ。

 ちなみに、詠唱えいしょうはいらない。ただ想像すれば魔法が使えるって、飛んだ時に分かった。


 親指ぐらいの、真っ赤に燃える火の玉は。


『ひょろ~』と、飛んで。


『ぺちっ』と、巨人に当たって、


『じゅっ』って、消えた。


 勿論もちろん、巨人は無傷だ。


「…………」


 僕は、黒い猫耳少女と金髪メロンお姉ちゃんを見て言う。


「……帰るよ」

「……にゃ」

「……にゃぁ」


 僕達は馬車に乗って宮殿に帰って行った。


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