その161 とりあえずレベル上げ
兎にも角にも、レベル上げ……ということで。
”王”との戦いで悔いを残さないためにも、ここで出し惜しみはできません。限度いっぱいまでスキルを取ることにします。
もっとも、春菜さんからアドバイスをもらっていたこともあってか、事前に何を選ぶかはある程度決めてたんですけどね。
大きく息を吸って。
吐いて。
ではまず、安牌の、
「《攻撃力Ⅴ》、次に《魔法抵抗Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ》を」
次に、
「《攻撃力》から派生した《雄叫び》、《体当たり》、《魔人化》、《防御力》から派生した《刃の服》、《魔法抵抗》から派生した《口封じ》、《魔力吸収》、《魔力反射》……」
――おめでとうございます! あなたは“戦士”のジョブスキルをコンプリートしました!
――現在、あなたがクラスチェンジ可能なジョブが 四つ 存在します。
――あなたの称号が変化しました。
――今後あなたは、”流浪の戦士”から”終わらせるもの”となります。
と。
ここで近接戦闘系のジョブを(私には不要っぽい《格闘技術》系を除いて)コンプリート。
せっかくなので、”クラスチェンジ”とかいうのも少し試してみたい気持ちはありましたが。
『もし、手に入れられるスキルが余っても、焦って上級職には行かないようにね☆ ――あのへんのスキルって、ものすっごいクセがあるから……』
上級職には、いつだったか”精霊使い”さんが持っていた《狂気》みたいに、「何かを得る代わりに何かを失う」タイプのスキルが多いのだそうで。
そうなると、ここに来て妙なリスクを負うわけにはいきませんな。
残りのスキル枠は、
「《水系魔法Ⅲ》と《Ⅳ》、《Ⅴ》。《雷系魔法Ⅲ》と《Ⅳ》を」
と、こんな具合にしておきました。
いやはや。
ここにきて、ねんがんの《水系魔法Ⅴ》をゲットですよ。
《水系魔法Ⅴ》というのは、いつでもどこでもシャワーを浴びれるようになるという、夢のスキルです。いつだったか、百花さんが使ってたやつ。
――では、スキル効果を反映します。
「…………よーし」
予定通りに作業を終わらせて、ひとまず安心。
これで、私が取得しているスキルは、
”終わらせるもの”
レベル:68
○基本スキル
《剣技(上級)》《パーフェクトメンテナンス》《必殺剣Ⅰ~Ⅹ》
《自然治癒(強)》《皮膚強化》《骨強化》
《飢餓耐性(強)》
《スキル鑑定》
○魔法系スキル
《火系魔法Ⅰ~Ⅴ》
《水系魔法Ⅰ~Ⅴ》
《雷系魔法Ⅰ~Ⅳ》
《治癒魔法Ⅰ~Ⅴ》
○ジョブ系スキル
《攻撃力Ⅴ》《雄叫び》《体当たり》《魔人化》
《防御力Ⅴ》《鋼鉄の服》《刃の服》《イージスの盾》
《魔法抵抗Ⅴ》《口封じ》《魔力吸収》《魔力反射》
《精霊使役Ⅰ》《精霊の気配Ⅰ》《フェアリー》
○共有スキル
《隷属》《奴隷使役Ⅴ》
と、こんな感じになりました。
んで、仕上げとばかりに、
「実績”マスターダンジョンマスター”のアイテムを」
――実績” マスターダンジョンマスター”の報酬を選んで下さい。
――1、火の指輪
――2、水の指輪
――3、雷の指輪
――“火の指輪”は、装着することで強力な耐火属性を取得します。また、《火系魔法》によるダメージを“攻撃力”に変換します。
――“水の指輪”は、装着することで、水中でも呼吸可能になります。また、《水系魔法》によるダメージを“防御力”に変換します。
――“雷の指輪”は装着することで雷を身にまとうようになり、自動的に周囲の敵を攻撃します。また、《雷系魔法》によるダメージを“素早さ”に変換します。
「そんじゃ、”火の指輪”で」
――では、アイテムを支給します。
例によって空中から降って湧いたように出現した指輪を手にした私は、さっそくそれを装着。
“火の指輪”を選んだ理由は、……ただ、なんとなく。
熱への耐性って、何気に応用力が高い気がするためでした。
コレに加えて《魔法耐性》もあることだし、今の私はもはや、鉄壁の魔法防御力と言えるのかも知れません。
「じゃ、オレサマは”水の指輪”にしとこう」
指輪を手に入れた”賭博師”さんも、準備完了のご様子。
《スキル鑑定》したところ、彼女の現状は、
ジョブ:賭博師
レベル:69
スキル:《銭投げ(神業級)》《幸運Ⅴ》《自然治癒(強)》《皮膚強化》《骨強化》《飢餓耐性(強)》《スキル鑑定》《カルマ鑑定》《実績条件参照》《火系魔法Ⅰ~Ⅴ》《水系魔法Ⅰ~Ⅴ》《雷系魔法Ⅰ~Ⅲ》《治癒魔法Ⅰ~Ⅶ》《運命の操作》《交渉術(死神級)》《夢幻のダイスロール》《逆転の切り札》《ルーレット・ショット》《コイントス》《ペテン(上級)》《命より重い金》
以上。
相変わらずこの人のスキルって、パッと見ただけではわけわからんものが多いですねえ。
「ではでは……」
「ああ……」
いざゆかん、戦場へ。
……と、その前に。
「”賭博師”さん」
「なんだ?」
「そろそろ、ネタばらししてもいい頃合いとちゃいます?」
「なんで関西弁なんだよ」
特に意味はないですけど。
場が和むかな、と思って。
「……えーっと。結局、なんだったんです、例の”全てのプレイヤーの敵”とかいうアレ。両馬さんが話してたやつ」
”賭博師”さんは、視線を宙空に彷徨わせつつ、
「気になるか?」
「ええ。奥歯にものがはさまった気分。気になって戦闘に集中できないかも」
「……そうか」
小柄な友人はそこで、ふーーーーー、と、長いため息を吐きました。
「まあ、いいぜ。約束だからな」
そこで私は、ちょっと彼女らしくないものを目にします。
なんでか“賭博師”さんの瞳が、少しだけ濡れている気がしたのでした。
「けど、一つだけ理解してほしい。……もしこれで、オレサマと
袂を分かつって。
えっ。
なにそれこわい。
「秘密にしていたのは、――とあるスキルの効果だ。そしてそれは、”賭博師”というジョブの
そして、――この二ヶ月半もの間、寝食をともにしてきた友人は、語り始めます。
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