フェイズ2「デスゲームはじめました」
その47 レベル上げ回
という訳で、フェイズ1終了、と。
つまり、……こっからは、フェイズ2ってこと?
よくわかりませんが。
途方に暮れつつ、とりあえずレベル上げを済ませときましょう。
――実績”魔物狩り”の報酬を選んで下さい。
あー。
そんなんありましたな。
たしか、今回上がったレベルは5。解除した実績は3つほどだったはず。
わー。
これ、ちょっと大変ですよ。
――1、狩人の肉焼きセット
――2、狩人の罠
――3、狩人の砥石
はいはい。効果効果。
――”狩人の肉焼きセット”は、血抜きしていない肉でも美味しく焼くことができる肉焼き機です。また、肉を焼いている間、楽しいBGMが鳴ります。
――”狩人の罠”は、動物用の万能罠です。罠にかかった対象は、その大小を問わず身動きがとれなくなります。ただし、ある程度の知能を持つ生き物であれば、簡単に解除することが可能です。
――“狩人の砥石”を使うと、一度だけ刃物の切れ味を新品同様にすることができます。
…………んん?
っていうかこれって、ひょっとしてモンハ……いいえ。止めときましょう。
いよいよ幻聴さんが持ってくるアイテムの基準がわからなくなってきました。
考えてみれば、私に与えられたスキルの力も、ゲームっぽいっていうか。パロディっぽいっていうか。そんな感じですよね。
何か意味があるのでしょうか。
「肉焼きセットで」
ここは直感で、あんまり深く考えずに答えます。
――では、アイテムを支給します。
教室の真ん中に、ごちゃごちゃしたバーベキューセットみたいものが現れました。
……ってか、いきなりこんなの渡されても、かさばるばっかりで邪魔にしかならないのでは。
私の場合、ちょうど有効活用できそうなタイミングだったから良かったものの。
あぶねえ。
今後は、持ち運びできるかどうかも視野に入れてアイテムを選んだほうがいいかもしれません。
という訳で、次。
どんどんレベル上げていきましょうねー。
――では、取得するスキルを選んで下さい。
――1、《剣技(上級)》
――2、《パーフェクトメンテナンス》
――3、《格闘技術(初級)》
――4、《魔法スキル選択へ》
――5、《自然治癒(強)》
――6、《皮膚強化》
――7、《スキル鑑定》
……ふむ。
飢餓耐性はどうやらカンストしたと考えてよさそう。
とりあえず《スキル鑑定》とやらの効果を。
――《スキル鑑定》は、取得することで自分以外のプレイヤーのスキルを参照することができます。
へー。そういう系ですか。
ま、今んとこは保留で。
これから旅に出なければならないことは確定しているので、その辺を視野に入れてスキルを取得していかなければなりません。
そう考えると、選択肢は限られていました。
これまで、ずっと取るのを躊躇ってきた《皮膚強化》。
今後、学外へと繰り出すことを考えると、万一”ゾンビ”に噛まれてしまった時の保険が必要だと思いました。
幻聴さんの話だと、“ゾンビ”もちょっと強くなったらしいですし。
念のため、もう一度効果を確認。
――《皮膚強化》を取得すると、皮膚の強度が上がり怪我を負いにくくなります。また、全裸でも寒さに耐えられるようになります。
とのこと。
……うーん。やっぱりちょっとだけ怖いですが。
でも、死ぬよりはマシですよね。
岩みたいな見た目にならないことを祈りつつ。
「ひふきょうかー」
しばらく、どうなるものかと思ってどきどきして待っていましたが、そーいやスキルって最後に一括で反映されるんでしたね。
次行きましょう、次。
――では、取得するスキルを選んで下さい。
――1、《剣技(上級)》
――2、《パーフェクトメンテナンス》
――3、《格闘技術(初級)》
――4、《魔法スキル選択へ》
――5、《自然治癒(強)》
――6、《骨強化》
――7、《スキル鑑定》
今度は骨かぁ。
――《骨強化》を取得すると、全身の骨が鋼鉄のような強度となり、骨折などの怪我を負いにくくなります。
鋼鉄て。
ターミネーターのシュワちゃんみたいになるってことでしょうか。
……うう。
ええい、ままよ。
「ほねー」
もともと、上がったレベルのうち、半分は防御系に割り振ると決めていたのです。
――では、取得するスキルを選んで下さい。
――1、《剣技(上級)》
――2、《パーフェクトメンテナンス》
――3、《格闘技術(初級)》
――4、《魔法スキル選択へ》
――5、《自然治癒(強)》
――6、《スキル鑑定》
「しぜんちゆー」
すると、
――規定のレベルに達したので、ジョブチェンジが可能です。
聞き慣れぬ幻聴さんのお言葉。
言われてみれば、豚を倒した時、ジョブがどうとか言ってた気がします。
――あなたのカルマは”中立”です。
――あなたのジョブは、”市民”です。
――あなたがなれるジョブは、以下のものになります。
――1、戦士
――2、射手
――3、獣使い
ほうほう。
ふうむ。
……ふむ?
よくわかりません。
「カルマって……?」
返事はなし。
相変わらず、微妙に痒いところへ手が届きませんなあ。
ゲーム脳を最大限発揮してその正体を想像してみるに、カルマというのは、「善人か悪人か」の大まかな指針、ということでしょうかね。
それによって、選択できるジョブが違う、と……?
うーん。
「職業の特性……は、教えてもらえるんですか?」
――“戦士”は、オーソドックスな戦闘職です。防御力・生存能力を高めるスキルが多く、一部の魔法を無力化します。
――“射手”は、射撃に特化した戦闘職です。攻撃の命中率・回避率を高めるスキルが多く、脚力が強化されます。
――“獣使い”は、動物と、一部の“敵性生命体”を従属させることに特化した専門職です。
うう。
おおおおおおお。
おももももももも(奇声)!
よくわからない。よくわからないんですけど。
こういうのって、大抵”戦士””僧侶””魔法使い”とかじゃありません?
そこに”武闘家”と”盗賊”が加わる、とか。
FF・ドラクエ脳で申し訳ありませんが、私、てっきり”魔法使い”的なジョブが選べると思ってて、そのつもりでいたんですけど。
ひょっとして、私のカルマが“中立”だから、選べないということでしょうか。
あるいは、最初から”魔法使い”なんてジョブはない、とか?
それなら諦めもつくんですけど。
っていうかこんなの、攻略本でもないかぎり、手探りで選ばずをえないじゃないですか。
ぐぬぬ。
やむを得ません。私は、第二候補でもあったジョブを選択します。
「“戦士”で」
――あなたの称号が変化しました。
――あなたの称号は、”流浪の民”から”流浪の戦士”となります。
はあ。
流浪。
……流浪?
まあいいや。
――では、取得するスキルを選んで下さい。
――1、《剣技(上級)》
――2、《パーフェクトメンテナンス》
――3、《格闘技術(初級)》
――4、《魔法スキル選択へ》
――5、《ジョブスキル選択へ》
――6、《スキル鑑定》
よしよし。《自然治癒》もカンスト、と。
そして新たに登場するジョブスキル。
……ですが、ちょっとした思いつきがあって、念のため魔法スキルを確認します。
――では、取得する魔法スキルを選んで下さい。
――1、《火系魔法Ⅳ》
――2、《水系魔法Ⅰ》
――3、《雷系魔法Ⅰ》
――4,《治癒魔法Ⅰ》
おっと。
ダメ元でしたが、治癒魔法が追加されましたか。
《自然治癒》を取得したことあたりが条件だったのでしょう。
一瞬、私の脳裏に「もしこの魔法を先に取得していたら……」的ネガティブ思考がよぎります。
………。
………………すー、はー。
大きく深呼吸。
立ち止まることは。
立ち止まることだけは、決してしてはいけません。
きっとそれは、誰も望んでいないことですから。
「……ジョブスキルの詳細を」
――では、取得するジョブスキルを選んで下さい。
――1、《攻撃力Ⅰ》
――2、《防御力Ⅰ》
――3、《魔法抵抗Ⅰ》
おお、これは効果がわかりやすい。わかりやすいのはいいんですが……。
……こっからさらに、他のスキルへ派生するんでしょうね、これ。
うおごごごご。
さらに選択肢が増えるんですか。もう、頭がパンクしそうです。
今のところ、効果のよくわからないジョブスキルは保留にしときましょうか。
重要なのは、これからの長旅に耐えうる、安定した戦闘力です。
「《剣技(上級)》をお願いします」
――実績”修復”の報酬を選んで下さい。
――1、バックラー
――2、ガントレット
――3、戦士の盾
「一応、効果……な? わかるよな?」
もうこのへんはさくさくいっちゃいましょう。
――”バックラー”は、小型で扱いやすい鋼鉄製の盾です。
――”ガントレット”は、腕にはめる鋼鉄製の篭手です。
――”戦士の盾”は、円形の盾です。重量があるので、非力な者には向きません。
「”ガントレット”でお願いします」
目の前に現れたるは、頑丈そうな黒い篭手。
今思いついたんですけど、わざと”ゾンビ”にこれを噛ませて、空いた方の手を使って仕留める作戦とか、どう?
あとでみんなに提案しときますか。
で、次に取得するスキル。
「《パーフェクトメンテナンス》で~」
これで、剣技関係のスキルは全て取得したことになるかな?
そして緊張の瞬間。
――では、スキル効果を反映します。
果たして、《皮膚強化》の効果はいかに。
恐る恐る鏡を見ます。
……………。
あー。
なんか、見た目は変わってない感じ。
試しに、はぐはぐと腕に噛み付いたりしてみますが、あんまり変化は感じられません。
これ、大丈夫?
念のため、手持ちの包丁でちょっと切ってみようかとも思いましたが……。
怖いので、また今度にしましょう。
――実績” フェイズ1終了”の報酬を選んで下さい。
これでラスト。
――実績” フェイズ1終了”の報酬を選んで下さい。
――1、ホビットの飲み薬
――2、エルフの飲み薬
――3、ドワーフの飲み薬
なんぞー、それー。
――“ホビットの飲み薬”は、飲むことで種族がホビットに変化します。身長がかなり縮みますが、魔力・筋力共に増強されます。
――“エルフの飲み薬”は、飲むことで種族がエルフに変化します。魔力が増強され、筋力が低下します。また、耳が長く、ブロンド髪の白人に変化します。
――“ドワーフの飲み薬”は、飲むことで種族がドワーフに変化します。筋力が増強され、魔力が低下します。また、背の低い、赤ら顔の白人に変化します。
……もう、何が出ても驚きませんけどね。
ホビット、エルフにドワーフですか。
正直、どれも「もらっても困る」感じのラインナップ。
さすがに人間辞める気にはなれません。
でも、選ぶなら「エルフ」かな?
この中では、一番見た目が変わらなそうなイメージ。
運命の人がエルフ萌えなら、これを飲むこともやぶさかではありませぬぞ。
――では、アイテムを支給します。
ぽよんと渡される小瓶。
”どくけし”と似たような形の瓶ですね。
とりあえず、間違って飲んだりしないように、机の中にそっと閉まっておいて。
「……ふう」
嘆息を一つ。
これにて、一通りやるべきことは終了。
お疲れ様です、私。
……さて。
これから、どうしようかな。
レベル上げ作業に追われて、しばらく忘れてましたが。
私、途方に暮れてるんでした。
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