金縛りって卑怯だよな
中井友希
プロローグその1
俺は高校の1年の夏休み前最後の登校日の朝、うっかり死んでしまったようだ。
まさか、ノリの缶の食べてはいけませんって奴をうっかりフリカケと間違えて食べてしまうなんて思っても見なかった。
気を失う瞬間に、気が付いたよ。
いやぁ、我ながら馬鹿なことをやってしまったな~。
・・・いやそんな訳あるか。
そんなことくらいで死んでたまるかよ。
きっと、目覚めたら、家のベットか、病院のベットの上って展開だろう。
と言う訳で、目を開けるとするか。
そうすると特に何もない真っ白な部屋にいた。
そして、なんか、気品が高そうな服、神々しい翼を生やした変なのがいた。
「ふふふ、目覚めましたか。乾燥剤をうっかり食べたうっかり者、改めどんな物でも勇気を持って食べた勇者よ。」
「あなた、だれです?後、別に勇気があったから、あんなものを食べた訳じゃないし、うっかり者でも・・・ないですよ。」
「まぁいいわ、うまく目覚めることはできたようね。」
「そりゃあ、生きているんだから目覚めるよ。」
乾燥剤を食べたと言っても、一口だけだ。
そんな、一撃で死ぬなんてありえないよな。
「そんな程度で死んだのよ。」
「え・・・ああ言う乾燥剤って、うっかり赤ちゃんとかが口に入れても大丈夫なくらいには安全に作ってるんじゃないのか。」
「さぁね、多分メーカー側も乾燥剤をフリカケにして食べるなんて想定外、だったんでしょうね。」
「まぁ、かっこ悪い死に方で死んだ。
その事実を受け止めて諦めるしかないのか。」
イロイロと、未練や後悔があるのは事実だが、諦めて天国に行くしかないのか。
漫画の続き気になるな。一繋ぎのDの意味なんだったんだろう。
「じゃあ、ここは天国なんだな。」
「いや、違います。
地獄の一歩手前よ。」
「え、何でだよ。
俺そんなに悪いことしてないはずだ。」
俺がやったことのある、悪いことって、なんだろう。
信号無視をやったかな。
ごみのポイ捨てをやったかな。
そんな、レベルの悪事だ。
そんなレベルの悪行で、地獄に落としては天国にいける人など、居なくなってしまうだろ。
「別に悪いことを多少したくらいでは、地獄行きにはならないわよ。」
「じゃあ、俺が地獄に落ちるのはおかしいじゃないか。」
「あなたは、乾燥剤を飲んで自殺したことになってるから。
自殺は大罪扱いなのよ。だから、あなたは地獄行きなのよね。」
「いやいや、あなたが女神なら俺がそんな事をしないってわかるでしょ。」
「まぁここで、話している限りそうじゃあ無さそうね。
なんか、さっきから話ている感じ、間抜けぽいし。
本当にうっかり死んでしまったようね。」
「それが分かったなら、天国に連れて行ってください。
私は、自殺なんかしない、幸福で完璧な市民だったんです。」
「完璧なら、そう簡単に死なないでください。
それにね自殺って判断したのは、私の上司なのよ。
上司は面倒臭がりな性格で適当な調査しかしない。
それに一度下した判定は早々変えないわ。
そんなに、一人一人ちゃんと確認してないし。」
「ひどい話じゃないですか。
そんな、いい加減な奴のせいで俺は地獄行きになりたくないです。」
「しょうがないから私が、天国でも地獄でもないところに連れて行ってあげるわ。」
天国でも地獄でもない。
もしかして、もしかして生き返る事ができるのか。
「それって、どこなんです?天国と地獄でもないとすると、もしかして地球ですか。」
「ハローワールドよ。」
「・・・なんですか、その適当に付けましたって感じの名前の良く分からない場所は。」
「上司がプログラムに、はまってるときに付けた世界の名前よ。
ほかの世界も割と適当に名付けてるから気にしないで。
ちなみにあなたがいた世界はヘンテコワールドって私たちは呼んでるわ。」
「それ、なんか悲しい事実だ。
そういえば、地球に転生って出来ないんですか。」
「そんな事できるわけ無いじゃない。
死んだ人間は絶対によみがえらないってルールがあるのよ。
知ってるでしょ、ヘンテコワールドでも、子供でわかる常識になっているでしょ。」
テンテコワールド=地球である事を認めたくないな。
「じゃあ、俺はそのハローワールドで生まれ変わることが出来るんですね。」
「生まれ変わると言うより転生って言う方が近いかしら。今ある肉体をコピーして修理して魂つめて、ハローワールドに飛ばすって感じかな。」
まぁ、子供時代を送りなおせないのは少し残念だが、それでもいいか。
「で、そのハローワールドってどんな感じの世界なんです。」
「そうですね、簡単に説明するとアニメとか漫画でよくある剣と魔法と、異種族がいる、それなりにワクワクするような世界よ。」
「わたし、剣も魔法も使えないんですが。」
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