すべては店長のために編⑦
班長になって数ヶ月、ホールを走り回った。
遅刻欠勤によるペナルティーをなくしたが、遅刻欠勤はなくならなかった。
遅刻欠勤が出る度に店長が僕を怒る。
「ペナルティーなくして、従業員がたるんどるんやないか!」
そのたびに僕が替わりに怒られ、従業員には直接僕から怒り、店長からの直接攻撃を防いだ。
そして、親睦のために一般社員たちとご飯を食べに行った日。
僕は耳を疑う。
社員たちから僕への不満が続出しているというのだ。
「原田班長はね、頼んないんですよ。」
「そうそう。別にフォローいらんときにフォローくるしね。」
「僕の方が全然コース見れますよ。」
何を言っている?班長になって数ヶ月、まだまだ僕も未熟なのだからと、必死にこらえた。
「最近事務所におる時間長くないですか?」
「そうそう。ホール出えへんのやったら、人増やすか、募集かけて動いてもらわんと。」
これでも必死にホールに出ているのに。前の店の班長を君らは知らんのやろが!
挙げ句の果てには遅刻をして庇ってきた数名の社員たちから言われる。
「店長に話して、ペナルティーの残業なくしたらしいですが、あんなの上司として当たり前の事ですよ!」
「そうそう。今でさえ、5分の遅刻で1時間の残業って、それもおかしいしね。」
「手腕のみせどころですね。原田班長!」
・・・・・ふざけやがって。
・・・遅刻ばっかりしてるお前らを、庇ってやったのに。
・・・・・ふざけやがって。
・・・・・どれだけ店長に怒られたと思っている!
声には決して出さないが、必死になって怒るのをこらえたが、それでも我慢ならない。
好き勝手に言う部下たち。
そして、僕は少しずつ、ダークサイドに堕ちていく。
少しずつ。
最もなりたくなかった、あんな上司には。
そのダークサイドに堕ちていった・・・。
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