盆倉高校軽音部の絶望的なバンド事情/藍藤遊

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町内バンドグランプリ

第1話 口は災いのもとエヴリデイ

「音楽ってえのは、そうだな。俺に言わせりゃ"心そのもの"……みたいなものかも、しれねえな」


 ぽろろん、とギターの弦をゆっくりかき鳴らしながら、龍次は遠い眼をしてそう言った。


 ニヒルな笑みを浮かべて、組んだ足にギターを載せたその姿。コメントも合わせればまるで有名バンドマンがインタビューにでも答える時のような、斜に構えながらも熱意を湛えた風貌。


――ボエ~……ボエェエエエ……――


 ナカノワックスの三番でナチュラルにキメた黒髪の一束を視界から払うように決めるサマは、言動と実績が伴っていればそれなりにカッコよくも見えたかもしれない。


「俺の指先が一本一本の弦を弾く度に聴こえてくるんだよ。ハートっていうのかな。今の気分やくだらない感情や無意味な雑念を打ち砕いて、心の底の律動と、衝動と同調するような心地のいい音色が……もっと響いてくれ、もっと歌わせてくれって」


――ボエエエエエ! ボエエエエエエエエエエ!!――


 ギターの弦が震える、凛としたのびやかな音色に合わせて目を閉じて。

 自分自身に陶酔した彼は、そっとギターのネックに手を乗せて、労わるようにそっと撫でつけたあと。誰もいない虚空に向けて笑いかけた。


「だから、歌わせてやるのさ。こうして――」


『ボエエエエエエエエエエエ!! ボエエエ!! ボエエエエ!! ボォエェェエエェエエ!!』


「――人がせっかく自分の世界に浸ってる時に限ってご機嫌に法螺貝吹きまくるのやめてくれませんかねえ!?」


 部室の隅のパイプ椅子に腰かけていた龍次は思わず転げ落ちた。


 次いで、出陣の合図宜しく部室中央のテーブルの上で、まるでステージ上でソロパートを披露するトランペット奏者のように気持ちよく法螺貝を吹き鳴らす少女を睨み据える。


 小柄で猫っぽい外見のその少女は、一心不乱な演奏を龍次の一喝で終わらせると。

 ほう、と息を吐きながら彼の方を見て満足気に問いかけた。


「……最後のビブラートどうだった?」

「どうでも良かった!!」

「そっか。えへへ、ありがと。龍次も……気持ち悪かった、よ?」

「言葉とシチュエーションが欠片も一致してねえから無意味に頬とか染めんのやめてくれる!?」


 照れくさそうに言い放つ少女は、テーブルからぴょこんと飛び降りる。

 あまり広くはない部室だから、部屋に居る限りはお互いがどこに居ても容易に声は届くのだが。

 彼女は龍次とはロングテーブルを挟んで反対側の椅子に腰かけると、大きく伸びをして。


「……まどかたちだけ?」


 と、他のメンバーが揃っていない様子に周囲を見やる。

 龍次はといえば、むしろいつ少女――まどかが入ってきたのかすら知らなかったのだから他の部員たちにまで気が回るはずもない。学生鞄にしたって龍次のものとまどかのものしかテーブルに置かれていないのだから、"まだ来ていない"ということで結論付けて良いだろう。


「パッと見はな。ぶっちゃけ優子はともかく葉寅はとらがいつどこから出てくるかなんて分かったもんじゃねえし、正直分からん。もしかしたらお前の足元に既に居るかもしれねえし」

「葉寅……何者……?」

「転校してきたばっかの俺が知るかよ」


 肩を竦めた龍次の服装は、このブレザー制服の学校にあって一人だけ学ランだ。

 突然転校してきたかと思いきや、廃部寸前だったこの部活にギター一本で転校してきた彼。


『ジュニアバンドグランプリで優勝した俺がお前らをトップに連れてってやるぜ!』


 そう言い放った次の瞬間、部長の優子に「琵琶担いで出直してきなさい」と追い出されたのは数週間前とはいえどもう懐かしい思い出としてまどかの中に残っている。


 なんだかんだで結局龍次はギターで頑張っているし、実際"軽音部"としてはこちらの方が正しいことくらいはまどかにも分かった。彼女は彼女で、法螺貝が好きなだけである。


「ぼえー。ぼえぇぇえぇえ~……」

「なあ。なんでお前法螺貝吹いてんの?」

「……好き、だから?」


 手持無沙汰に法螺貝を吹き始めたまどかを、テーブルの反対側で龍次がじとっと眺める。別にどんな楽器を使おうが自由だと思っていた彼女がきょとんと首を傾げると、龍次は崩れ落ちていた。

 いじけたようにテーブルを指でなぞりながら、頬杖ついて嘆息する。


「俺さぁ……前のガッコの奴らに啖呵切っちゃったわけよ。無名校からお前ら倒してやるぜって。そうやって飛び出してきた俺にとって、まどか達の存在は一筋の麗しきライトニングだったわけよ。わかる?」

「一筋の麗しきライトニング」

「ごめんなんでもねえそのフレーズは忘れろ」

「……ん。龍次が前の高校の人に何を言おうが、自由」

「いやそうじゃなくてな? みじめになる前提で話進めるのやめない?」

「大丈夫。いつもみじめ」

「この後輩まじで容赦ねえ」


 がっくり肩を落とす龍次に、相変わらずまどかは無表情に疑問符を浮かべるだけ。

 いつものことと言えばいつものことだが、回数を重ね過ぎたせいか龍次の表情には若干の疲労がにじんでいる。この高校に転校してからもうしばらくだが、その間ずっとこの展開を繰り返しているのだから世話がない。


「……龍次」

「どうしたよ」


 耳にかかった髪を繰りながら、彼女は相変わらずのぼうっとした目で見つめていた。


 どこか心配そうなその瞳に、つい龍次も見つめ返してしまう。この後輩、こうして淑やかな雰囲気を出してさえいれば可愛らしいのだ。だからこそ、余計に――


「大丈夫? まだ生きる?」

「オススメは死!?」

「そうまでは言わないけど、なんか今かわいそうだったから」

「死んだ方がマシなくらいに!?」

「……あ、ちょうちょ」

「会話をしろよぉ!!」


 部室の外にモンシロチョウを見つけたまどかは、がらりと窓を開けて枠に足をかけた。

 二階だというのに気にせず飛び出していく彼女。

 もういつものことなので気にしない。


「行っちまいやがった……俺の心のカンバスは血塗られたぜ」

「――心のカンバス、と。今日も龍次の冥言が生まれたね」

「おぅわっとぅ!?」


 爽やかで親しみやすいアルトボイス。だけなら良いのだが、それが耳元から聞こえてきては龍次も無様に飛び跳ねるしかなかった。

 冷や汗と共に振り返ると、にこやかに笑うショートカットのクラスメイト。

 「や」と快活に手を上げて挨拶したはいいが、龍次の汗が飛び散って、貼り付けた笑みを湛えたまま制服の袖で顔を拭った。


「……葉寅お前、今日は男子制服なんだな」

「うん、女子制服は洗濯中だからね」

「なんで二着持ってんだよっつかお前性別どっちなんだよ……」


 黒髪を耳元で切り揃えた中性的な風貌の人物――葉寅はとらは、男子用制服のズボンの太もも部分を軽くつまんではにかむ。

 龍次が転校してきてからの謎の一つに、この葉寅の存在があった。


 男子なのか女子なのか分からない。日によって制服が変わる。どちらの性別からも告白される。


 そんな彼とも彼女ともつかない不思議人間に対しての当然の疑問にも、にこにこと表情だけで返す葉寅。無理やり脱がしてみて女だったら収拾がつかないし、かと言って男であっても嫌な噂が立つだけだ。半ば諦めながら、ふと気づく。


「お前さっき名言っつった?」

「はは、まさか。冥言って言ったよ?」

「……うん? イントネーション違うくない?」

「まあ、冥土でも呆れられそうな言葉だからね」

「地獄ですら鼻つまみ者なの俺!?」

「さあどうだろう。……試す?」

「二人連続で殺意高ぇな!」


 冗談だよ、と肩を竦める葉寅。

 ナ、ナンダジョウダンカァ……と口元を引き攣らせて、ツッコミ切れない現状に龍次は嘆息した。転校してきてからこの方、毎日毎日扱いが粗雑になっていく気がしている今日この頃。


「――狭いコミュニティ内で、俺の立ち位置はカースト最下位のそれでした」

「感傷に浸っているところ悪いけど、そろそろお茶出してくれるかな?」

「その感傷の言葉に乗っかってナチュラルにパシリにするの辞めてくれる!?」


 ずず、とお茶をすすりながらパシリ扱いする葉寅に文句を言おうとして。


「ん?」

「ん?」


 ……。


「飲んでるし!!!」


 龍次はキレた。


「はい、龍次のも淹れたよ」

「いつ!? ありがとう!!」

「どんな状況でもお礼を言えるきみがボクは好きだよ」

「性別不詳から告白されても困るんだけど!?」

「馬鹿だなあ、友達としてに決まってるじゃないかボンクラ産業」

「ボンクラ産業」


 ひでえ言われようだ。こと、と置かれた湯呑を見て、龍次は諦めて座席につく。


「それにしても、まどかが出て行ってしまったね」

「居たならお前止めろよ」

「ちょうど来たところだったんだよ」


 さらりと責任を逃れる葉寅だが、真実は闇の中。いつだって、どこにでも現れるような人間なのだから疑わしさはどうやったって消えないのだし。

 そんなわけで振り回されながら、しかしどうにもなりはしない龍次であった。


「優子が大事な話があるとかなんとか言ってたから、まどかもすぐ戻ってくるといいんだけど」

「その優子はどうしたんだよ」

「たぶん、顧問と話しているんじゃないかな」

「嫌な予感しかしねえ」


 あのポンコツ部長に今度は何を吹き込むつもりだ。嫌な予感に口角をひくつかせる龍次を見て、葉寅は朗らかに言った。


「今回は大丈夫じゃないかな」

「その心は?」

「そろそろ活動方針と、あとバンド名を決めろって言われてただけだと思うから」

「バンド名の前にお前らの楽器のチョイス!!」

「ん? ボクがドラムでまどかがベース、龍次がギターで部長がキーボードでいいんじゃない?」

「え!? お前ら、とうとう真面目にバンドを組んでくれる気になったのか……?」

「体裁上は」

「だと思ったよチクショウ!!」


 机を殴りつける龍次を後目に、ポケットから帳面とペンを取り出してくるくると回し始める葉寅は、天井を眺めて何かを思考し始めた。


「"原始的なデクレッシェント"、"カウベルつけたミノタウロス"、"純粋無垢な俺という白い板"、"心のカンバスは血塗られた"」

「ねえなんのノート。ねえなんのノート」

「ん? いや、バンド名かーって」

「俺の公開処刑をみんなで背負うの!? オールフォアワンフルボッコ!?」

「ごめんちょっと意味が分からない」

「人の黒歴史処刑を公共施設みたいにしやがって。ゴルゴダの丘公園かよ」

「ゴルゴダの丘公園」

「忘れろ忘れろ忘れろぉおおお!!」


 船河ふねかわ龍次りゅうじ十六歳。オウム返しされると死ぬ。

 

「メモメモ、と。春学期は予定特にないけれど、秋学期は文化祭もあるし。やっぱりバンドとして活動出来そうなんだから頑張らなきゃ。ボクはそれなりに、きみの入部には感謝しているんだよ?」

「奇遇だな、俺もお前がまともなドラマーだったら感謝してもしたりなかったよ」

「金色と金色が重なり合い、凄絶ながらも流麗で波紋のように広がる音色。素晴らしいじゃないか、シンバル」

「お前の言うバンドは言葉の前に"ブラス"が付くんじゃねえのか」

「やだなあ、あんなに人数の多いところでボクがコミュニケーションを取れるわけがないじゃないか……」

「声が震えているんですがそれは」


 は、ははは。と陰気なオーラをまき散らしながら壁に頭を凭れる葉寅。

 思えば生粋の上がり症で、人数が多いところに居れば居るほどガチガチに硬直してしまっていたのを龍次は記憶している。同じクラスであったから、余計にだ。

 それなのに男女両方の制服を着てくるという訳の分からん暴挙に出ているせいで滅茶滅茶に目立ってしまっていることには気づいていない。

『そんな細かいことを気にするのはきみだけだよ』などとのたまっていたが、そんなわけがないだろう。


 周囲は気遣ってというか若干引いていて声が出ないだけだ。


「お前よくここのメンバーとはちゃんと話せるよな」

「あはは、さてなんででしょうか」

「いや聞かれても知るわけねえだろうが」

「そうか。うん、まあそうだよね」


 えへへ、と後頭部を掻きつつ曖昧に微笑むその表情を見ているとやっぱり女の子なんじゃないかと思ったり、それでも普段の言動がどことなく男っぽかったりともう葉寅については正体不明のそのままでいいんじゃないかと考える龍次である。


 と、そんなタイミングでがらりと開く部室の扉。


「あれ? 貴方たちだけ?」


 入口から中を見渡した、一人の少女。

 きつめに吊り上がった瞳をさらに細ませて絶望的に悪い眼つきで周囲を見据えた彼女は、気弱な人間が見れば勢いよく目を逸らしそうなその目のままで小首をこてんと傾げた。


「窓からまどかが逃亡した」

「龍次、駄洒落のつもりならそろそろ潮時なんだけど」

「なんの!?」

「ギターからウクレレに持ち替えることの」

「俺のギターを排斥しようとする運動まだ続けてんのお前!?」

「ハッ、ギタリストなんて所詮、ガンダムで最強機体しか使わないような奴の集まりじゃない」

「誰がSラン厨だこの野郎」

「でなければ、どのジャンルでも一番有名なものを好むタイプ。漫画もジャ○プばっかり」

「ワ○ピース最高じゃねえか!」

「これだからにわかは。私くらいになるとツーピース辺りに落ち着くもん」

「お前の方がよっぽどにわか晒してますけど!?」

「あたしジャ○プ以外にもさ、サタデー? とか好きなんだから」

「ボロボロじゃねえか!! 墓穴まっしぐらかよ!」

「墓穴まっしぐら……? あ、あ~、そんな漫画もあったかな? うん、あたし知ってる」

「お前の惨状を表現しただけだよ穴掘り名人め!!」

「やめてよ、あたしノーマルなんだけど」

「なんの話に飛躍してんだよド畜生が!!」


 盛大に机を殴りつける龍次。

 そんな彼を見て、一瞬きょとんとした彼女はちょっと誇らしげに口角を上げた。


「ふっ。勝ったわ!」

「人類史に残る大敗北に気付けよ!!」


 噛みあわねえとかいうレベルじゃねえ! との龍次の慟哭もどこ吹く風。


「まあ、とにもかくにも早いのね、二人とも。顧問からバンド名を決めるように言われてきたんだけど……まどかが居ないとちょっと厳しいかな」

「あー、うん、そうだろうね」

「納得いかねえ……」


 がっくりと肩を落とす龍次を後目に、通学鞄からノートを取り出すと。

 少女は可愛らしい筆箱を漁って、硯に墨を擦り始めた。


「しゃこしゃこしゃこしゃこ」

「擬音を口に出すところもツッコミどころ満載なんだけどよ、何で筆なんだ」

「昨日テレビで精神集中出来るって言ってたから」

「徹頭徹尾にわかかよぉ!!」


 あはは、と半笑いの葉寅はさておき。

 さっと筆を浸して、ノートにでかでかと何かを書くと優子は自信満々に机の上にそれを置いた。


『バンド名を決めょぅ』


「文字でかすぎて後半尻すぼみになってんじゃねえか!!」

「い、いいじゃん別に」

「あとうっすいんだよ!! ほぼ水!! 水分90%だよあと10%で勇気に到達するわ!!」

「やり切るしかないのは一緒ね!」

「上手いこと言ってんじゃねえよダボ!!」


 胸を張る彼女のお団子ポニーをスパーンと解く龍次。なんでそんな音が出たのか分からず笑顔のまま疑問符を浮かべる葉寅。


「ぁにすんのよおお!!」

「ツッコまざるを得ないだろがこんなもん! というかバンド名なんて今考えてる場合じゃねえだろお前のアコーディオンをどうにかしろよ!」

「あたしのアコーディオンは"盆倉のサザンクロス"って言われてるんだから!!」

「お前がアコーディオン伸び縮みさせながらV系宜しく頭振るから軌道が十字に見えてるだけだろ! 笑われてんだよいい加減気づけ!!」

「シェイドのシェイドに言われたくないんだけど!!」

「おっま人の黒歴史をえぐるのは反則だろおおおおおおおおお!!」


 超人気バンド"シェイド"に居ながら、メンバーの中で一番埋もれたためにシェイドのシェイド(笑)とバカにされていたのが、この船河龍次という男であった。


「いいもんバンド名"シェイド"にしてやるんだから!!」

「なんの嫌がらせ!? お前それ高校バンドでやったら全国への宣戦布告だからな!?」

「ちょっとギターが上手いからって調子乗ってる奴らをぎゃふんと言わせてやるのよ!!」

「シェイドのギター担当ここに居るんだけど!!」

「ごっめん影薄くて気づかなかったわおほほほほほ!!」

「なんって性格悪い女だ!」

「なによ!」

「あんだよ!!」


 あ、と葉寅は一人何かに気付いた。


 これ、いつもの流れだ、と。


 いがみあう優子と龍次。


 そして、次の瞬間。


「解散だ!!」

「解散よ!!」


 あー、やっぱり。葉寅はため息を吐いた。


 そして吐いた時にはもう争うように部室を出ていく二人の後姿。


「あー……ま、いっか」


 ぽりぽりと後頭部を掻いて、はにかむ。


「どうせ明日にはけろっとしてるしね」

「……葉寅」

「あ、お帰りまどか」


 窓の方からした声に葉寅が振り向くと。

 窓枠に捕まる少女の姿。


「……龍次は?」

「優子と一緒に出てった」

「……いつもの解散芸か」

「うん、いつもの解散芸。どうせすぐ戻ってくるよ」


 肩を竦めた葉寅に対してまどかも興味なさそうに頷くと、そのまま部室のテーブルの上に転がって寝始める。どいつもこいつも自由なことで、と微笑みながら、葉寅は廊下に響き渡る徐々に大きくなってくる怒鳴り声に。


 とりあえず二人分のお茶を用意しようとするのだった。


 お茶の作法など知らないから適当にそれっぽく濁らせて。


「だいったいねえ! 貴方そもそもなんでこの部活でギターなんかやってるの!?」

「軽音部でギター全否定とかお前これすらにわかかよ!!」

「はいはい、お茶でも飲もうよ」


 あたりまえのように戻ってきた二人に笑いかける。


 そんな、感じに。


 これはこの仲が良いのだか悪いのだか分からない、部活の日常の一ページの物語。

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