第29話「パペット・インシデント(中編)」

 此処は高級ホテルのスイーツルーム、褐色の肌に金髪翠目のイケメンの青年がソファーに座り傍には大男が仕えている


「今回の失敗した事に付いては何か言い訳は有るか?」


『イヤ、無いな相手がどの位の反撃をするのか見たかったジャブ見たいな物だ!大した問題では無い!』


「反撃で、米軍横田基地の一万名の命と多数の施設や機材の消滅が起きたのが大した問題では無いと!」


『ああ、そうだ米軍だろうと日本人だろうと誰が犠牲になろうと私の知ったことでは無い!仕事は続ける、所で成功報酬は払えるのか?』


「払えるとも勿論!だが、君が成功●●すればの話だがな!出来るかな?」


『勿論、私はプロだ!成功させる!では、また連絡する』


 虚ろな瞳で会話をしていたルームサービスの女性の瞳に光彩が戻りカートに置かれて居た皿をテーブルの上に置き銀色のクロッシュを取ると部屋から出て行った。青年は冷えたワインを取りグラスに入れ、更に置かれた肉をフォークで取ると目の前に持ってきながら


「まあ、アレはダメだ…カルロス、奴が駄目に成ったら事を考え証拠を処分しておけ方法は任せる」


「分かりましたマイプリンス、其れでは出かけて来ます」


 大男が部屋から出て居なくなるとイケメン青年は情報端末ウォッチを見て輸送品の位置を確認しながらワインを口に含むと優雅に肉を放り込むので有った。


***


 此処は食堂の中庭、大地には落ちたピンク色の花びらが絨毯の様に成り桜の木の下では少年カレと少女達と《ナナ&ブラウ》と幼女人形ヨウコが昼飯を食べている


「陽子ちゃん何を食べているの?」


『さふらのはなびら』


「ちょ!会長、陽子ちゃん桜の花びら食べちゃっているよー」


「奈々さん桜の花びらは有機栽培オーガニック料理でも有名で塩漬けにする方法が有って…」


「其れは塩漬けして殺菌等をしている訳でこの子は生で食べちゃっている」


「大丈夫だと思う、この子何でも食べれると思う。さっきは、木に止まってたうぐいすを食べてたよー」


「止めなさいよ!」


『桜も鶯も!美味しかったです!朝に食べた、うぐいすパンってパンに鶯を練って入れたからアンナに美味しんですね!』


「陽子ちゃん、ウグイスパンは鶯を練った物じゃないよー。あと、拾い食いをしたらダメだよ!さてと二人共此れをお食べ」


 少女ナナは弁当箱からだし巻き玉子を幼女人形ようこ少年カレの口に放り込んだ、その光景はまるで子連れの夫婦が花見をしに来ている様な微笑ましさが有った


「奈々さん、美味しい!」


『お母さん、美味しいよー』


 二人の声が聞こえ少女ナナも思わず笑顔に成って居たが横ではパリパリと桜の木が凍り始めている発生元は彼女ブラウだ、3人と1人形で食事をして居たのだが今のこの家族的アットホームな状況がお気に召さない様だ。だが、彼女ブラウも負けずに豚肉煮込みアイスバインを二人の放り込む


「溶けるような肉の美味しさだねブラウさん」


『ブラウお姉ちゃんのお肉、さっぱりしているの!』


「マスタードもつけると美味しいわよ?」


『ますたーど?』


「すこし辛いけど、スパイスが効いてとても美味しいわ」


 彼女ブラウは紙皿の端に黄色いマスタードをぽんと置くと幼女人形ようこはお肉に少し付けて口の中に入れた


『あまりーからいーあまりーお肉から出る、にくじゅうがとろけりゅうーー』


 幸せそうな声を上げて笑顔を彼女ブラウに向け互いに笑顔に成った時だった、ベキベキと音がし桜の木が倒れ始め少年カレが柄を持つと桜の木は急激にボロボロに成り風が過ぎると咲いていた花びらだけが残り後は灰に成ってしまった。


「何奴!?」


 彼女ブラウ喧騒く海神の槍さんざめくポセイドンを向け問う先には蛍光灯らしき物を持った男子生徒が居た


「蛍光灯?」


 少女ナナが声を発すると同時に男子生徒は蛍光灯をブンと音を立てながら少年カレへ向かって飛び掛った。


***


 昼休み中庭、此処は先程まで憩いの場で有ったが今は戦いの場に成って居る、ザキュン、ジッと高熱の物体同士が合わさる音まるで映画で光の棒ライトセーバー同士がぶつかり合っている音の様だ。

 だが、現実は非常で蛍光灯ライト・ランプ光る割り箸ライト・チョップスティックが戦って居るのだ、其処には光の正義騎士ジェライトの高潔さなど存在などせず、弁当を左手に持った少年カレ蛍光灯ライト・ランプを両手に構える男子生徒と光る割り箸ライト・チョップスティックを使って向き合っている庶民的シビックで超シュールな風景が其処に有る。

 男子生徒の方は蒼い光で少年カレの方は赤い光で有り知る人はどうみても男子生徒がジェライト少年カレの方が暗黒面ダークサイデンスだと思ってしまう。だが、少年カレ自堕落的ルシフェストで有りながら未来を思いより良い結果を生むためには自然的な必要な行為ナチュラルネセサリーアクトを行う賢者ワイズマンでも有る。つまり、某240年前の映画で言うとベールを被った顔色の悪い銀河皇帝バルルパティーン翠色の小さい老人ヨータを足したみたいな精神構造をしている感じ有り無敵だ!

 話は逸れたが、少年カレは持って居た弁当を上に投げると光る割り箸ライト・チョップスティックを其々一本ずつ持ち二箸流ダブルチョップにし男子生徒へ圧倒的な速さで攻撃を行い蛍光灯ライト・ランプ二箸光流ダブルチョップライトを抑えた所で少年カレは思いっきり男子生徒の腹を蹴飛ばすと男子生徒は校舎の壁にぶち当たり当たった壁を全て壊した後に不幸にも教室で読書をしていた生徒を巻き込んで止まった。其れにより男子生徒は意識を失いメンタル・ギアの蛍光灯ライト・ランプは消えた。


 一方、少年カレは降りて来たお弁当を取ると笑顔で箸を持ちながら


「さて、あともう少しで昼休みが終わっちゃうよー、お弁当上に投げたら一回凍ってまた落下時に熱でジューシに焼けてる」


『お父さん凄い!』


 笑顔で弁当を食べたが、少女達ナナ&ブラウはこのシュールな状況から良識が回復するには暫くの時間が掛かった。尚、男子生徒は全身を強く打って重傷で有ったが意識は有り、有機ナノエレクトロンのお陰で暫くして快方に向かって行った。


***


此処は警視庁地下資料室こうあんかんししつ


「今日は、朝から米軍横田基地が消滅…陰謀論者が湧きそう」


『そうだな、世論的には米軍が開発していた新型爆弾の誤動作により消滅した事に成るらしい』


「珍しいな米国が何も反論をしてこない何て…何時もなら、自由と平等を侵害する敵からの攻撃を受けた!我が国と国民は一致団結して敵を撃滅粉砕する!的な事を言うのがアメさんだと思いますけど」


『その方が、米国に取って都合の良い真実なのでしょうね?』


「何故ですか?」


『例えば、米国空軍の指揮系統外アウトオブコントロールの攻撃機が[M]の乗っているヘリに攻撃を仕掛けて撃墜された挙句に反撃で基地ごと破壊されましたって言える?』


「言えないですね、そんな事言ったら彼等は5年前の北京事変チャイナシンドロームと同じ様な事を起こす様なもんですからね!G8からフルボッコと下手したら日米安保に対して懐疑論が出てきます。大局的には、謎の爆弾を持っていてポシャりましたが民間人には被害が出ない安全でクリーンな兵器を作ってます、犠牲に成った兵士達の愛国心パトリオット・ソルジャーよ星条旗の元で永遠なれってアピールした方が良いですからね。」


『一応、[M]はズヴィッダーzvezdaで米国大統領と日本国首相に映像付きの画像をフルで送っているみたいだわ、さっき首相のアカウントハックして持って来た』


 さらりと凄いことを言って女性がディスプレイを操作すると画面に現れるのは米軍の最新鋭戦闘機らしき機体が旧式の米空軍A-10サンダーボルトモドキの姿の機体から大量のミサイルと弾幕を受け爆発しながら地面に墜落して行く映像だ。

 次はミサイルで追尾されている機体が森の木の中を高速で移動し大木の間をすり抜けて木にミサイルが当たり爆発するというハリウッド映画顔負けのアクションをしている光景が映った。

 そして、最後は軍事映画で良くある悪い敵の要塞に必殺の一撃を放って終わり的な感じで猫の様な顔をし虎のような大きさの物体が米軍横田基地の方へ飛んでくる風景で終わりちゃんとクレジットまで入っていた。


「此れが、最新のリアリティ映画と言われても実感しちゃいますね?」


『ああ、そうだ!だが此れは実際に有った事だ、恐ろしい事だが現実リアルだ』


トゥルトゥルと女性の机の電話が成った、通話を終えると


『先程、[M]が男子生徒に校内内で襲撃され男子生徒はフルボッコに有ったそうだけど[ライター]からの報告だと男子生徒は何者かに操られて居たような虚ろな瞳だったそうだわ』


 机のディスプレイを表示すると先程までの映像が変わり今度は学園の映像が映る、虚ろな瞳の男子生徒が[M]と呼ばれる人物に襲い掛かり最後は吹っ飛ばれされた光景が映っている


「足で、腹を思いっきり蹴るヤクザキックをして全身を壁ドンさせるとか鬼ですか?壁が幾つあっても足りないというか躰が幾つ有っても足りない」


あくまで●●●●賢者ワイズマンらしいわ、名前の通り魔王匡央でもいいんじゃないのかな?』


「男子生徒の休日と此れ迄接触した人物に調査する様に手配します」


『出来の良い部下を持つと上司は幸せね』


「ええ、出来が良く成らざるを得ない部下も幸せですね」


『「 HAAHAHAHAHAHA! 」』


彼等は互いに目を笑わず笑顔でディスプレイの前で笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る