第1話

綺麗だな。と思った。

その声も、

温かい手も、

びっくりするような優しさも、

強さも、

皆を惹きつける雰囲気も、


全て、綺麗だと思った。


~~~

私が今年入学する学校には、ブラジル人が多い

理事長がブラジルに住んでいたらしくて、日系人が日本の事を忘れてはならないとか何とかで、この学校が出来たらしい

まあ、理由はどうあれ、良いでしょう。私が此処に通う事となった理由とは関係ないのだから。

私が此処の学校に入った理由は、スペイン語が日本でも勉強できるから

私も一応日系人という部類に入るらしく、父親は成人するまで、南米の、どこだったかは忘れたけれど、兎に角そこに住んでいたらしい

だから、私もスペイン語を学ぶべきだと、

でも、どうやら私を一人で、名前を忘れた国に行かせるのは不安だったらしくて

丁度、この学校を見つけたらしい

この学校は寮制度で、聞いた話だと、三人一部屋だったり、二人一部屋だったりするらしい、稀に一人部屋があるとか、

まあそう言う事で、私はその学校に入学する事となったのだ、


「さて、そろそろ行かないと、」


一人呟いて、大きな荷物をガラガラ引きずり、学校へと向かった

今年造られた学園では、何人かのブラジルに住んでいる日系人が、今日やって来るらしい、14歳から16歳まで、色々。

今日はそのブラジルの人やらの日系人(まあ、私も日系人だけれど)と一緒に部屋を教えてもらったり鍵を受け取ったりするらしい

少し憂鬱になりながら、私は家を出た。

…4歳の時に引っ越し、8年間を過ごした家を、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

失恋準備 @Len

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る