写真を撮ろうと彼女は言った

陽乃 雪

俺と彼女

写真を撮ろうと彼女は言った。

今までずっと嫌がっていたのに、どうして。

尋ねる俺の声を遮るように、早くと俺を急かす彼女。

カシャ

それが最後のシャッター音。


次の日、彼女は忽然と姿を消した。

わかっていた。あれが俺達の別れを意味していたことも。彼女が写真を拒んでいた理由も。写真に写ろうとした彼女の心の内も。

ポストに封筒。昨日の写真が入っていた。


──写真の中、俺の隣には誰もいない。

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