コイスルサカナ、夢をみる。

コイスルサカナ、夢をみる。

広い川の橋を渡る。

河川敷にこいびとが集う。


「愛された記憶があるひとは」

ふりかえる

「後年に渡ってぞんざいに扱われることはなくて、それが永遠にサカナを守り続ける」


サカナはだいじにされる

おとこのこはみんなサカナに恋をする

それはサカナが愛されたことのあるひとだからです。


ダイーブして

ばしゃんと落ちても

手をさしのべられる

守られている


「きみは」

「鏡を見たらどんなこと考えるのですか」


「鏡すら見なくなったな」

サカナはサカナに見られるより

誰かの見るサカナを見る方が、ずっと救われる気持ちになるから


サカナはサカナ

コイスルサカナ

誰も傷つけるひとはいない

かわいそうだねと

抱きしめてくれる存在があったから

嫉妬するんだ

僕がサカナを傷つけたら

サカナは他の誰かに

抱きしめられに行くから


見えない腕が

サカナを迎えにくるから

そいつを殴ることも

サカナの肩からはがすこともできないから


だから同じように恋をする

すきしか、適わない


水面にうつるのはイデア

つかみようのない月

サカナはサカナ。

コイスルサカナ、夢をみる。

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