分岐点の死神様

@stardust

プロローグ

「ねぇねぇ、あの『噂』知ってる?」


とある夕方、何処にでもいるような女子高生が雑談をしている。


「えっ、噂?」は

「そ!『死神様』の♪」


彼女たちは『死神』という物騒な話題を持ち上げていた。


「あー、知ってる知ってる」


二人ともケラケラと笑いながら会話をしている。


「あれでしょ?メールで相手の名前を入力して、死神様宛てに送ったら名前を書かれた相手が死ぬってヤツ(笑)」

「そーそー(笑)」


それは都市伝説のような話。通称『死神メール』

かつて『相手の顔と名前が分かれば、特殊なノートに名前を書くだけでその相手を殺せる』という漫画が流行ったことで出回り始めたふざけた遊びだ。

噂の出所は不明だが、ストレスが多い現代社会で妄想の果てに生み出されたこの悪ふざけは人知れず広まっていた。


「スマホのメール画面を開いてぇー」


二人の女子高生の内の片側がスマホを取り出し、操作を始める。


「新規作成から、本文に相手の名前を入力してぇー・・・あんたの名前でいっか?」

「ちょっと!私でやるのやめなさいよ!」

「まーまー!良いじゃない!」


二人はじゃれあいながらも、ススッと手早く操作をしていく。


「送信先のアドレスを、ローマ字で『shinigamisama』とだけ入力して送信するとぉー!」


彼女の携帯画面に表示されるのは『メールを送信できません』の一文。


「まぁ、そりゃそうよねぇ」

「大体こんなの、本気でやるバカいる訳ないでしょ?」

「当たり前じゃない。それに実際に送信できたなんて話、聞いたことないし(笑)」

「まー、そもそもこんなのはゲームみたいなものだからねー(笑)」


『アハハハハッ♪』と女子高生たちの笑い声が響く中、二人はそれぞれ自分の家へと帰っていったのだった。

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