第4話 閻魔様とのお話

「次の人、閻魔様に粗相のないようにな」鬼に促されて審判の場へ臨む。

閻魔「んー・・なんかお前の人生ってスカスカじゃないか」

私「えっと・・・そのすみません」

閻魔「なんか・・・年齢ごとのイベントが無さ過ぎだよ」

私「はあ・・・」

閻魔「人生の設計図・これで良く通ったね」

私「10回くらい書き直ししたら、受付の人が根負けして」

閻魔「こんな設計図初めて見たよ」

私「いやあ、そんな」

閻魔「褒めてないよ。そこは照れるところじゃないよ」

私「次回からは気をつけます」

閻魔「まあ、模範解答ってないんだけどさあ。それぞれ人生のアプローチっ   て違うと思うしね」

私「はい」

閻魔「でもね、こんなぺラ紙一枚じゃさ、困るんだよね。えーとお前の前に

   審判受けた人なんだけどさ、本当はこんなこと言っちゃいけないんだ

   けど、A4の紙に50枚書いていたよ。もう綿密にびっしりと。それ

   と比べちゃうと、お前の場合は問題あるなあと。ここんとこ小学生の

   時に犬を飼うっていうの・・前の人は犬種まで書いてたよ」

私「あの、そこまで書いちゃうと人生の可能性というか、楽しみな部分が無

  くなっちゃうかと」

閻魔「いいんだよ。書いても。生まれて出たら書いたことなんて忘れちゃう

   んだからさ」

私「その、想像力があまりないので」

閻魔「30歳までに結婚する・・・結婚すればいいわけ?なんか理想とかない

   わけ?」

私「できればいいかなと・・・」

閻魔「子供は2人・・・もっとさあ。こういう書き方されると子供の魂の派

   遣がさあ。」

私「問題になりますか」

閻魔「なるよ。誰の子供になろうかなっていう魂は、この設計書を参考にし

   たりするんだからさ。こんな抽象的というか雑な表現されると、怖い

   わけですよ。そこに行くのが」

私「すいません」

閻魔「まあ、雑は言いすぎたけどさ。中には乗る車のエンジン形式まで書い

   てくる人もいるわけだよ。そういうのと比べるとね。ちょっと気にな

   ったもんだから」

鬼が閻魔様に耳打ちをしている。

閻魔「えっ、そろそろ時間なの?まあ、特に事件も起こしていないようだし

   地獄行きってことないな。天国の平民クラスかな。次の人生では頑張

   って天国の上民クラスを目指してください」

私「はい、ありがとうございました」

閻魔「はい、次の人どうぞ」

鬼に促されて私は審判の場を後にした。

しばらくしたら、次回の人生の設計書を提出しなければならない。犬種とかエンジン形式には興味がないなあ・・・さりとて厳しい局面の多い人生だと、すぐにを弱音を吐きそうだしなあ。ヌルヌルの人生は、ある程度魂のステージが上がっていないと、審査パスしないんだよなあ。


寸評

丁寧に生きましょう。

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