第2波【波の滴】

さざ波から抜け出した足に残った・・・


一滴だけ流れ落ちない波のしずく


小指の爪にそっと寄り添い・・・


それは翌朝には薄青いガラスとなって半分爪に沈んでいた。


不思議と痛みはや違和感は感じない。


困惑を抱えつつ見つめていると、


それは小刻みに震えていた。


そして小刻みに輝いていた。


静かに・・・・小さく・・・・


まるでこちらを見て、何かを伝えたがる子供のように。


堅い体を前のめりに屈め、やっとの事で小指に耳を這わせ・・・




わずかに聞き取ったしずくの言葉・・・



「・・・・・・・・・・・・・・・。」




そして身を起こし、何事も無かったかの様にソックスに手を伸ばし、


そっと足を差し入れる。




何も無かったかのように。





早まる鼓動を気づかれないように・・・

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