ピーノと魔法とへんてこ島
犬野のあ
第1話 プロローグ
その島は遠い遠い南の海の端っこにありました。
ある人はパルーフ島、またある人はツレンレ島と呼びました。でも1番有名な呼び名はへんてこ島でした。
この島がへんてこなのは形だけではありません。
季節も、住んでいる動物も、島を訪れる人によって毎回違うからです。
25年前にオーストラリア人がたどり着いたときは毎日毎日吹雪でした。マンモスが住み、怖いヒョウまでいました。
やっとの思いで帰ってきたとき、その人はあんな怖い島にはもう二度と行きたくないと言いました。
11年前に島にたどり着いたロシア人は毎日毎日ご馳走だったそうです。
朝起きると鳥の丸焼きや豚の丸焼き、チョコレートケーキ、フルーツケーキ、サンドイッチにハンバーグなどが、なぜか砂浜に並んでいたのです。
お酒を飲みたいなあ、と思えば井戸水がお酒に変わるし、コーラやソーダだって、雨のように降り注ぐんです!
彼は、二度と帰りたくないと思ったのですが、週末に奥さんに誕生日プレゼント買って帰る約束を思い出して、いやいや国に帰りました。
「夢のような毎日だったからまた行きたい」と彼は言いましたが、その後、島は二度と見つけられませんでした。
そう、へんてこ島はあるかないかわからない、怖いのか素敵なのか、はたまたワクワクするのかドキドキするのか誰にもわからない、とても不思議な島だったのです。
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