03 ストライク・イーグルと天覇のアウトロー

 続いて、バンタム級王座決定トーナメントの第二試合目、鬼沢いつきと小笠原朱鷺子の一戦である。

 先の試合で熱狂した観客たちが、こちらの入場の際にも盛大な歓声を送っていた。


 青コーナーからは鬼沢いつきが、赤コーナーからは小笠原朱鷺子が入場する。前者は『アクセル・ロード』に招聘されており、後者は《アトミック・ガールズ》の看板選手ということで、戦前から大きな注目を集めていた一戦であった。


「これは、どういう試合になるんでしょうね。鬼沢さんも『アクセル・ロード』ではまったく持ち味を出せなかったようですが……その実力は、本物であるはずです」


「ああ。これは天覇館と武魂会の無差別級覇者同士の対戦でもあるからからな。MMAの実績は、小笠原さんのほうがまさっているんだろうが……鬼沢も、そう簡単にはやられないはずだ」


 後藤田成美は竜ケ崎支部の師範と、そのような言葉を交わしていた。

 東京本部の面々は、ただ無言でモニターを見守っている。そして、この時間だけ美香と高橋道子のセコンド陣が一名ずつポジションを交代していた。決勝戦に備えて、高橋道子陣営のサブセコンドがこの一戦を見届けようとしているのだ。


 鬼沢いつきは天覇館の同門であり、小笠原朱鷺子は来栖舞とひときわ交流を深めていた選手となる。よって、こちらの陣営も彼女たちがどれだけの力量を持っているかは十分にわきまえているはずであった。


(それでも今の高橋さんだったら、きっと優勝できるだろうと思っていましたけれど……まさか、香田さんとの試合であそこまで削られることになってしまうなんて……)


 それもこれも、香田真央が想像以上の成長を果たしていたためである。

 ならば、小笠原朱鷺子と鬼沢いつきも、こちらの想定を超える成長をしているかもしれない。美香は自らのタイトルマッチを目前に控えながら、手に汗を握ることになってしまった。


 選手紹介のコールを受けた両名は、レフェリーのもとで向かい合う。今さらながら、鬼沢いつきが《アトミック・ガールズ》の試合衣装を纏っているのが奇妙な心地であった。


 厳つい風貌をした鬼沢いつきは、にやにやと笑いながら小笠原朱鷺子の長身を見上げている。彼女は百六十六センチ、小笠原朱鷺子は百七十八センチであるため、身長差は十二センチだ。そして、もともとバンタム級で活動していた鬼沢いつきはしっかりリカバリーして頑強そのものの体格であったが、小笠原朱鷺子のほうはこれまでよりいくぶん細身に見えてしまった。


 美香はゴールデンウイークに、小笠原朱鷺子と合宿稽古をともにしている。昨年から、美香もそちらに参加するようになったのだ。さらに昨年と一昨年の夏には、赤星道場の合宿稽古にも参加していた。


 小笠原朱鷺子は、魅力的な人物である。美香にとっては、天覇館の外で初めて親しく口をきけるようになった相手であった。

 しかし鬼沢いつきとも、天覇館の公式大会の場で何度か顔をあわせたのち、北米の合宿所で数週間を過ごすことになった。それほど交流が深まったという感覚はなかったが、彼女もまた魅力的な人柄であった。


 しかし、試合に人柄は関係ない。

 美香は天覇館の人間として鬼沢いつきを応援する立場であったし、それで小笠原朱鷺子に申し訳ないと思うこともなかった。たとえどれだけ親しくしている相手でも、試合は試合として見届けるしかないのだ。それでどちらが勝利しようとも、美香の心には喜びと無念の思いが同じだけわきかえるはずであった。


 レフェリーがグローブタッチをうながすと、小笠原朱鷺子は落ち着いた面持ちで右手を差し出す。鬼沢いつきは不敵な笑顔で、上から振り下ろした鉄槌でグローブタッチを完了させた。


 そうして、試合の開始である。

 鬼沢いつきは、普段通り突進した。彼女は天覇館の選手としては珍しく、荒々しいインファイトを得意にしているのだ。


 小笠原朱鷺子は、長い足による前蹴りでそれを迎撃する。

 しかし、その一撃を右腕でガードした鬼沢いつきは、勢いをゆるめないまま突進した。

 蹴り足ごと押し倒されそうになった小笠原朱鷺子は軸足だけでステップを踏んで体勢を立て直し、今度は左ジャブを放つ。

 それをダッキングでかわした鬼沢いつきは、下からすくいあげるように右フックを繰り出した。


 空気に焦げ目がつきそうな勢いで、鬼沢いつきの拳が走り抜ける。

 それをかろうじて回避した小笠原朱鷺子はすかさずアウトサイドに回り込もうとしたが、鬼沢いつきはそちらに向き直ると同時に左フックを射出した。


 小笠原朱鷺子は、右腕で頭部をガードする。

 しかしその強烈な一撃で、小笠原朱鷺子の長身は頼りなく揺らいだ。

 パワーは、鬼沢いつきのほうが上である。この短い一幕で、それが証明された。


 鬼沢いつきはさらにぐいぐいと前進しながら、左右の拳を振るっていく。

 小笠原朱鷺子は何とか距離を取ろうとするが、鬼沢いつきの突進力のほうがまさっている。いったん懐にもぐられてしまうと、長い手足を持つ小笠原朱鷺子はひどく窮屈そうであった。


 小笠原朱鷺子が首相撲に持ち込もうとすると、鬼沢いつきは頭を振ってそれを回避する。そして、強烈なレバーブローを叩き込んだ。

 しかし小笠原朱鷺子も、何とか右肘でそれをガードする。そして、左の膝蹴りを狙ったが、鬼沢いつきは思わぬ俊敏さでサイドに逃げて、何度目かの右フックを放った。


 スウェーバックした小笠原朱鷺子のこめかみに、鬼沢いつきの右拳がかすめる。

 そして、脇腹を守っていた小笠原朱鷺子の右腕に、再びのレバーブローが突き刺さった。


 あの小笠原朱鷺子が、防戦一方である。

 パワーばかりでなく、スピードにおいても鬼沢いつきのほうが圧倒しているのだ。


《アトミック・ガールズ》の看板選手である小笠原朱鷺子が、一回戦目であえなく敗退してしまうのだろうか。

 美香がそんな想念にとらわれかけたとき――思わぬタイミングで放たれた小笠原朱鷺子の左のショートアッパーが、鬼沢いつきの下顎を叩いた。


 とっさに顎を引いたらしく、鬼沢いつきは倒れることもなく自らも攻撃を振るおうとする。

 その鼻面に今度は右ジャブが当てられた。小笠原朱鷺子は左足を引くことでスイッチをして、すぐさま右ジャブを繰り出したのだ。


 持ち前の頑丈さでその攻撃に耐えた鬼沢いつきは、さらに前進しようとする。

 その前足に、低い軌道の右ローが当てられた。

 鬼沢いつきがバランスを崩すと、その隙に一歩だけ引いた小笠原朱鷺子が打ちおろしの左ストレートを叩き込む。鬼沢いつきは危ういタイミングで、何とか防御した。


 つい先刻まで防戦一方であった小笠原朱鷺子の勇躍に、客席はわきかえっている。

 パワーやスピードは鬼沢いつきのほうがまさっているが、小笠原朱鷺子は持ち前のテクニックでそれに対抗したのだ。彼女は相手のリズムを読み、もっとも回避しにくいタイミングで攻撃を出しているのだろうと思われた。


(これはきっと……合宿稽古の成果なのでしょうね)


 小笠原朱鷺子は香田真央との対戦を想定して、その突進を受け流しながら自分の攻撃を当てる稽古に励んでいた。その応用で、鬼沢いつきを相手取っているのだ。

 小笠原朱鷺子は合宿稽古において、猪狩瓜子やメイ・キャドバリーに香田真央の役目をお願いしていた。鬼沢いつきの突進力は大したものであるが、踏み込みの鋭さはそちらの両名のほうがまさっていることだろう。そのときの感覚が、小笠原朱鷺子に大きな力を与えたのだろうと思われた。


(でも、猪狩さんたちと鬼沢さんでは、体格がまったく違っています。それでもすぐに微調整して、稽古の成果を発揮できるというのは……小笠原さんならではなのでしょうね)


 その後は、熾烈な攻防戦が展開されることになった。

 パワーと勢いで押し切ろうとする鬼沢いつきと、テクニックで迎え撃つ小笠原朱鷺子の、インファイトである。それは高橋道子と香田真央の一戦にも負けないぐらいの、激しい攻防であった。


 小笠原朱鷺子はウェイトダウンによっていくばくかのパワーを失ってしまったが、そのぶんテクニックには磨きがかけられている。それを相手に五分の攻防ができる鬼沢いつきも、大したものであった。


 時間が過ぎるごとに、攻撃を当てる数は小笠原朱鷺子のほうがまさっていく。彼女の攻撃は防御の隙をぬって、顔やボディにも何度かヒットした。

 いっぽう鬼沢いつきの攻撃はあらかたガードされているが、破壊力はこちらのほうがまさっている。それをガードする小笠原朱鷺子の両腕は、どんどん赤く変色していった。


 そうして決定的な場面は訪れないまま、第一ラウンドは終了する。

 第一試合に負けない熱戦に、客席は大いにわきたっていた。


「ふむ。鬼沢はやっぱり、動きの粗さが目立ってしまうが……しかし、これだけ動いてスタミナを切らしていないのは、大したものだ」


「ええ。彼女も天覇のトーナメントを勝ち抜いているわけですからね。ああ見えて、スタミナトレーニングにも不足はないのでしょう」


 天覇館のコーチ陣は、落ち着いた声でそのように語らっている。

 そんな中、美香はひとり胸を高鳴らせていた。


 小笠原朱鷺子の成長に関しては合宿稽古で実感していたが、鬼沢いつきの成長もこの場で思い知らされることになったのだ。彼女は明らかに、『アクセル・ロード』の際よりも動きがよくなっていた。


 きっと『アクセル・ロード』の一回戦で敗退してしまった彼女は、その無念を糧にしたのだろう。

 おそらくは、二回戦を負傷欠場した美香と、同じように。

 美香の脳裏には、敗退後のインタビューで落涙していた彼女の姿が、今もなお鮮明に残されていた。


 そうして粛然と、第二ラウンドが開始される。

 鬼沢いつきは、やはり突進のかまえであった。


 それを迎え撃つ小笠原朱鷺子は、早い段階からステップを使い始める。

 ひときわ長身である彼女は、やはり遠い距離で戦うことを得意にしているのだ。今度こそ、自分の庭場に持ち込もうという意欲が感じられた。


 しかし、鬼沢いつきはかまわずに突進する。

 そして、思わぬ攻撃を見せた。拳の一発も出さないまま、いきなり相手の足もとに飛びつこうとしたのだ。


 フェイントではなく、正真正銘の両足タックルである。

 生粋のストライカーである彼女がそのような攻撃を見せるのは、これが初めてのことであった。


 まだ距離が詰まりきっていなかったため、小笠原朱鷺子はステップワークでそれを回避する。

 鬼沢いつきはめげた様子もなく身を起こし、あらためて突進した。


 小笠原朱鷺子はいっそう力強くステップを踏んで、距離を取ろうとする。その挙動に、美香はわずかな違和感を覚えた。小笠原朱鷺子が、逃げに徹しているように見えてしまったのだ。


(タックルを警戒して、反撃の意欲を削られてしまったのですか?)


 だとすれば、危うい話である。第一ラウンドを見てもわかる通り、鬼沢いつきというのは下がる相手を追い込むことで波に乗る選手であるのだ。それを相手取るには、攻撃こそが最大の防御になりえるはずであった。


 美香の懸念を裏付けるように、鬼沢いつきはいいリズムで攻撃を振るい始める。

 小笠原朱鷺子は足を使いつつ、時には距離を詰められて、また両腕をしとどに叩かれることになった。

 さらに、鬼沢いつきも殴るばかりでなく、時おりタックルのフェイントを混ぜ始める。すると、小笠原朱鷺子はバックステップを踏み、いっそう反撃の機会が失われることになった。


 鬼沢いつきはいよいよ波に乗り、さらなる猛攻で小笠原朱鷺子を追い詰めていく。

 二分、三分と時間が過ぎても、試合に大きな変化は訪れなかった。

 さしもの鬼沢いつきもじわじわと動きが鈍っていくが、小笠原朱鷺子もそれは同様である。大きく動いているのは鬼沢いつきのほうであるが、自分のリズムで動けている分、スタミナの消耗は最小限に留められるのだ。いっぽう、相手のリズムに巻き込まれた小笠原朱鷺子は、実際の動き以上にスタミナを削られるはずであった。


 普段の小笠原朱鷺子であれば、ここまで追い込まれる前に戦法を変えるはずだ。

 だが、鬼沢いつきの猛攻がそれを許さない。迂闊にインファイトを挑めば、リズムに乗った鬼沢いつきが一ラウンド目よりも鋭い動きを見せるのだろうと思われた。


 小笠原朱鷺子の苦境に、客席からは悲鳴めいた歓声があげられている。

 やはり観客の大半は、《アトミック・ガールズ》生え抜きの選手である小笠原朱鷺子の勝利を望んでいるのだ。


 そんな人々の期待を打ち砕くかのように、鬼沢いつきは左右の拳を振り回す。

 そして――ついにその拳が、小笠原朱鷺子の顔面を捕らえた。

 フルスイングの右フックが、左頬にクリーンヒットしたのだ。


 小笠原朱鷺子は切り倒された大木のように、倒れ込んだ。

 鬼沢いつきは嬉々として、その上にのしかかる。彼女は生粋のストライカーであったが、グラウンドにおいては荒っぽいパウンドを得意にしていた。


 横合いからのしかかった鬼沢いつきは、相手の胴体にまたがろうとする。

 小笠原朱鷺子は何とか腰を切り、長い両足で相手の右足を捕らえた。かろうじて、ハーフガードのポジションだ。


 鬼沢いつきは小賢しいとばかりに、右拳を振り上げる。とっさに頭部をガードした小笠原朱鷺子の左腕に、強烈なパウンドが叩きつけられた。

 鬼沢いつきは、遠慮なく左右の拳を振り回す。

 レフェリーはマットに膝をつき、真剣な眼差しで小笠原朱鷺子の挙動をうかがった。これは打撃技によるダウンから生じたグラウンド戦であったので、早い段階でレフェリーストップをかけられる恐れがあった。


 歓声は、いよいよ悲鳴まじりになっていく。

 しかし美香は、小笠原朱鷺子の動きに目を見張ることになった。首をねじってパウンドをかわした小笠原朱鷺子が、空いた右手で相手の腰を押し、素早くフルガードに持ち込んだのだ。


 相手の右足だけをはさみこんでいた小笠原朱鷺子の両足が、今度は胴体をはさみこむ。

 エスケープするにも反撃するにも、一歩有利なポジションである。猪突猛進の鬼沢いつきは、それでもかまわずにパウンドを振るうかと思われたが――舌打ちをこらえているような面持ちで、相手の右足に手をかけた。きちんと寝技のセオリー通りに、まずは有利なポジションを取り戻そうと考えたのだ。


 その瞬間、小笠原朱鷺子が猛然と上体を起こして、右の肘を鬼沢いつきの下顎に叩き込んだ。

 普通であれば、苦しまぎれにしかならない攻撃だ。しかし、十二センチの身長差が活かされて、それなりの破壊力が生み出された。少なくとも、鬼沢いつきの動きを一瞬止めることには成功できたのだ。


 その一瞬の間隙で、小笠原朱鷺子は長い両足を振り上げた。

 鬼沢いつきの頭部が、左腕ごと両足ではさみこまれる。三角締めのアクションである。


 鬼沢いつきは、すかさず立ち上がろうとした。

 しかしその前に、小笠原朱鷺子の両足ががっちりとロックされる。足が長いために、そのロックは深かった。


 膝立ちの状態であった鬼沢いつきは、猛然と相手の上体にのしかかる。ここまで深くロックされてしまったら、あとはもう上体に体重をかけて相手の腰を折り、両足の拘束をゆるめるしかないのだ。


 すると、小笠原朱鷺子は相手が体重をかけてくる動きに合わせてロックを解除して、横合いに腰を切り、腕ひしぎ十字固めに移行した。

 鬼沢いつきの逞しい左腕が、真っ直ぐにのばされる。

 そして彼女が苦悶の雄叫びをあげると、レフェリーが小笠原朱鷺子の腕をタップした。


 試合終了のブザーが鳴らされて、歓声が爆発する。

 技を解除した小笠原朱鷺子は、精魂尽き果てた様子で大の字になった。


『二ラウンド、四分十四秒! 腕ひしぎ十字固めにより、小笠原朱鷺子選手の一本勝ちです!』


 美香の知る限り、小笠原朱鷺子が寝技で一本勝ちをおさめたのは初めてのことである。

 それは、ストライカーである彼女が寝技に関しても余念なく稽古を積んできた証であったが――逆に言うと、寝技で勝負をつけるしかないぐらい、鬼沢いつきが小笠原朱鷺子を追い込んだ証でもあるはずであった。


 控え室には、高橋道子が勝利したときと同じように厳粛なる拍手が打ち鳴らされる。美香もまた、激しく胸を高鳴らせながら、両選手に拍手を送ってみせた。


「あと一歩のところだったが、グラウンドテクニックに差があったな。これは、小笠原選手をほめるしかない」


「ええ。鬼沢も立派なものでした」


 コーチ陣は、そのように語らっている。

 すると、後藤田成美が美香のほうを振り返ってきた。


「小笠原さんも、あそこまで寝技の技術を磨いていたのですね。やっぱり出稽古の成果でしょうか?」


「は、はい。小笠原選手は、新宿プレスマン道場と天覇ZEROで、週二回ずつ出稽古をしていますので……その成果だと思います」


「なるほど。天覇ZEROには鞠山さんがいますし……新宿プレスマン道場は、桃園さんを育てあげた道場ですものね」


 後藤田成美もかつて数日だけ、桃園由宇莉と手合わせをした経験があるのだ。あれはパラス=アテナが悪辣なる人々に乗っ取られてしまった、一昨年の夏――他ならぬ天覇館東京本部道場において、決起集会を行った際のこととなる。チーム・フレアの打倒を誓った面々は、そちらでお盆の間だけ合同稽古に取り組むことになったのだった。


「ともあれ、鬼沢さんは惜しくも敗れてしまいました。わたしたちは高橋さんに続けるように、力を尽くしましょう」


「は、はい……」とそちらに応じてから、美香はモニターに視線を戻した。

 小笠原朱鷺子と鬼沢いつきは、マットに上体を起こした状態で向かい合っている。その言葉までは聞こえてこなかったが――二人はともに、汗だくの顔で笑っていた。


(……二人とも、凄い試合でした。わたしも、頑張ります)


 そんな思いを込めて、美香はあらためて手を打ち鳴らした。

 かくして、バンタム級王座決定トーナメントの一回戦目は終了し、決勝戦では小笠原朱鷺子と高橋道子がベルトをかけて勝敗を決することになったのだった。

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