九百九十八話 魔界王子テーバロンテとの大激戦に壊槍グラドパルスの異変


 ――<夢闇祝>がズキズキと痛み始めた。

 悪夢の女神ヴァーミナ様が来訪?

 が、さすがに魔界王子テーバロンテの領域にはこれないか。

 

 この<夢闇祝>の痛みが来訪の知らせ・・・だとしても……。

 【白銀の魔湖ハイ・グラシャラス】の大領域から、この魔界王子テーバロンテの領域は遠いはず。


 そして、争いの規模と頻度は様々だと思うが……魔界王子ライランの領域で神々同士の大きな争いが起きたばかりだからな。


 神獣ロロは警戒。

 旋回機動に入った。


 直ぐに戦闘になるかもだ。


『羅、力を貸してもらう』

『はい、<瞑道・瞑水>――』


 三叉魔神経網が活性化。

 ハルホンクの防護服に和風防具の<瞑道・瞑水>が融合する。

 <闘気玄装>と<水月血闘法>を再度発動――。

 <魔闘術の心得>の基本を意識しながら全身の魔力の巡りを確認。

 <魔闘術の仙極>はまだ使わない。


 触手手綱の握りを緩めると、


「ンン」


 と神獣ロロが微かな喉声を響かせてきた。


 神獣ロロの体長は大きいし、頭部の毛が短い場合は微かな喉声でも足下から振動を感じる。

 触手手綱の先端は俺の首に付着しているから――。


『まかい』『そら』『たのしい』『てーばろんて』『つおい』『あめだまいっぱい』『そら』『たたかう』


 と様々な気持ちを伝えてくれた。

 相棒の温かい心を得る。


『あぁ、つおい相手だろう』


 と、愛しい思いと共にがんばろうという気持ちを返してあげた。


 魔界王子テーバロンテは六つの眼球に魔力を集中させる。


 神獣ロロを見て、


「『我の百足高魔族ハイ・デアンホザーたちを一気に炭化させるほどの強力な炎か……』」


 思念と言葉を発した直後、眼の回りの皮膚が膨れて蠢くやテーバロンテの眼球の表面を這うように大きい魔虫が現れた。


 その魔虫で六つの眼球の虹彩と瞳が奇妙に変化し、


「『俄には信じられなかったが、お前たちのみが、弾かれる』」


 そんな思念と言葉を伝えてきた。


 魔界王子テーバロンテにとっては何気ない語りだと思うが……。

 精神が圧迫されるような神意力のプレッシャーを感じて全身の肌がひりひりと痛む。


 ハルホンクの防護服も意味がない。

 その魔界王子テーバロンテと俺たちの間の距離はまだあるから、俺の声が聞こえるか分からないが……。


「……俺たちの鑑定でもしたのか?」


 六つの眼球がギョロリと動き、


「『そうだ。我の領域で、我の<テーバロンテの魔眼>と<大魔魂虫眼>の鑑定を弾いたお前……神界と魔界の匂いを持つ定命であり定命ではないお前はいったい何者か……』」


 魔界王子テーバロンテも俺たちの鑑定は失敗したようだ。


 強い魔毒の女神ミセア様も八蜘蛛王審眼ヤグーライオガアイズで俺の鑑定を試みて失敗していた。


 が、あれは〝薔薇の鏡〟越し。

 惑星セラの次元宇宙で起きた事象。


 ここは魔界セブドラの次元宇宙。


 惑星セラが存在する次元宇宙の物理法則とは、多少は異なるはずの魔界セブドラだ。

 更に、ここは魔界王子テーバロンテが支配する領域。その観点から、惑星セラでは鑑定眼などのスキルをほぼほぼ弾いてきた俺たち光魔ルシヴァルだが、この魔界セブドラでは、神々や諸侯に大眷属が扱う強力な鑑定スキルを俺たち光魔ルシヴァルは弾けはせず、能力が見られてしまうと考えていた。


 が、魔界王子テーバロンテの今の言葉と思念が本当ならば……。


 この魔界セブドラの次元宇宙でも、他の次元宇宙に存在している惑星セラと同じく俺たち光魔ルシヴァルに鑑定系のスキルなどの能力は通用し難いということになる。


 そう仮定。

 と、魔槍杖バルドークと神槍ガンジスを消去して、


「――相棒、少し冷えるが、我慢な」

「にゃ」


 《スノー命体鋼・コア・フルボディ》を実行――。

 同時に<闘気玄装>を強める。

 ――<魔雄ノ飛動>を意識し、発動――。

 ――<仙魔奇道の心得>を発動。

 ――<経脈自在>を発動。

 ――<滔天仙正理大綱>を意識し、発動。

 ――<水神の呼び声>を発動。

 ――<水の神使>を意識し、発動。

 ――<滔天神働術>を意識し、発動――。


 同時に右頬のアタッチメントを触り、カレウドスコープを起動させた。


 頬の表面の十字金属が卍に変化を遂げる。


 同時に右目の網膜神経から大脳皮質の視覚中枢などにも繋がっている遺産高神経レガシーハイナーブの神経網が活性化。


 右の視界が高精細となった。


 バーヴァイ城の屋根にいる魔界王子テーバロンテを線で縁取る。


 この右目のカレウドスコープはビームライフルの射撃にも対応しているが、今回はビームライフルは使わない。

 しかし、眼球の構成を弄るなんて、遺産神経レガシーナーブ遺産高神経レガシーハイナーブは義眼を超えたナノテクノロジーの極みだ。ナ・パーム統合軍惑星同盟の技術力は凄まじい。


「『……<血魔力>を扱う槍使い。お前は、光神ルロディスや戦神でもなく水神アクレシスの眷属なのか?』」


 そう思念と言葉で聞いてくる魔界王子テーバロンテを縁取る線の真上に▽のカーソルが出た。

 その▽のカーソルを意識し、魔界王子テーバロンテのスキャンを行う――。


 当然、神格を有した存在、その内臓はスキャンできないか。

 

 ――――――――――――――――

 ???高次元??上級神##

 脳波:測定不

 身体:測定不

 性別:??

 総筋力値:測定不

 エレニウム総合値:98998889999993221ge測定不

 武器:あり

 ――――――――――――――――


 数値は出た。


 相変わらず、バグってはいる。

 しかし、この魔界セブドラでも、カレウドスコープはある程度機能する。

 そして、魔界王子テーバロンテとの距離は一キロ弱。


 その魔界王子テーバロンテに向け、


「……水神アクレシス様には世話になっているが、<血魔力>を知っているように、光と闇を知る光魔ルシヴァルの槍使いが俺だ」

「『……やはり神界セウロスの者か。そして、悪夢の女神ヴァーミナの香りが闇を知るという言葉の意味で、吸血神ルグナドの<血魔力>のことも指しているのか?』」

「さあな」


 首の<夢闇祝>のことは言わない。


「『……その闇の匂いは、スキルや秘宝による見せかけだろう? 水神アクレシスの眷属の加護の証明といい、お前は神界勢力の手先。水神アクレシス以外にも光神ルロディスの気配もある。そして、内実は、戦神ヴァイスの主神格に連なる上級神とも繋がりが深い神界戦士の密命を帯びた存在であろう!!』」


 魔界王子テーバロンテはそう思念と言葉を言い放つと、前方の空間からカブトムシのような複数の魔虫を召喚してきた。


 その魔虫を飛ばしてくる――。

 《氷竜列フリーズドラゴネス》で迎撃しようとしたが――。


 神獣ロロが大きい片耳を俺にかぶせて視界を隠してきた。

 

 神獣ロロは頭部を傾ける。


「にゃごぁ」


 と紅蓮の炎を口から吐いた。

 神獣ロロの長い耳を退かし、右斜め前方の空を見た。

 カブトムシのような魔虫の群れは紅蓮の炎の中で消えていった。


 魔界王子テーバロンテは、


「『……またか。凄まじい威力の炎……神界のセーヴィナスの聖炎を思わせる……』」

「セーヴィナスの聖炎?」

「『知らぬふりは止せ。お前と大魔獣は神界の匂い・・が濃すぎるのだからな!」』


 そう思念と言葉を発すると、背筋を伸ばす。


 魔界王子テーバロンテは、体から膨大な魔力を噴出させる。

 

 触覚と大顎が目立つ頭部の溝から酸を発した。

 酸と触れた地面は溶けたように穴を造っていた。

 

 人族と百足が融合したような細長い体を見せつけてくる。


 更に、胸元の二つの腕を分裂させると増殖させた。

 増えた腕は百足魔族デアンホザーと似た歩脚の鎌腕へと変化を遂げた。

 

 そのどす黒い複数の鎌腕を俺たちに向けて突き出してくる。


 百足魔族デアンホザーと似た斧槍のような鎌腕だが、その鎌腕に内包されている魔力の量は勿論桁違いだ。


 神獣ロロは、


「ンン――」


 と喉音を鳴らし魔界王子テーバロンテに腹を見せるような姿勢で急上昇。


 素早く旋回機動を取り、首と胴体付近から複数の触手を射出。その触手はサイドワインダーのミサイルの如く宙空で弧を描き滑らかに魔界王子テーバロンテへと向かった。


 触手の先端から白銀色の骨剣が飛び出ると、魔界王子テーバロンテの伸ばした鎌腕と己の硬度を競うように衝突を繰り返し、衝突の度に激しい火花が散った。

 

 鎌腕の斧槍と触手骨剣の威力は互角か?


「ガルルゥ」


 相棒は獣の声を発して触手に力を込めると、触手の先端から伸びている白銀色の骨が太くなりフランベルジュの剣のような形に変化を遂げた。

 

 太いフランベルジュ骨剣の一部が魔界王子テーバロンテの鎌腕を貫き裂きながら直進し、魔界王子テーバロンテ本体に向かった。


 魔界王子テーバロンテは六つの眼球の視線を強める。


 と、巨大な翅を扇状に展開させつつ斜め後方へと加速し迅速に離れた。


 目測だから距離間はいまいち掴みきれないが、数キロは移動したか。


 魔界王子テーバロンテの動きは速い。

 神獣ロロディーヌは「ンン、にゃ」と猫の声を発した。


 それは『しかたにゃい』と言ったニュアンスだと分かる。


 魔界王子テーバロンテの鎌腕を貫いていた骨剣を収容した触手を体に引っ込めた。


 魔界王子テーバロンテは裂かれた鎌腕の根元から血飛沫が飛び散っている。


 鎌腕は再生し掛かるが、根元が腐ったように蒸発し消えた。


 相棒の触手骨剣は戦神ラマドシュラー様の加護によって光属性が強いだろうから、魔界王子テーバロンテは光属性が弱点か。


 ならば<血鎖の饗宴>を使った押し込みがチャンスとなる。


 しかし、それはフェイクの可能性があるかな。まぁ、攻撃のヒントにはなった。

 

「『大魔獣めが、我の腕を!』」


 魔界王子テーバロンテは怒ったのか、光線を口から放つ。


 神獣ロロは横に加速して移動――。

 直線の光線を避けた。

 少しGを感じるほどの速度――。


 魔界王子テーバロンテは再び口から光線を放つ。


「ンンン――」


 神獣ロロは喉声を鳴らしつつ斜め上に飛翔して光線を避けた。


 魔界王子テーバロンテは俺たちを追うように、大きい翅を拡げて上昇。

 その魔界王子テーバロンテに《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》を数発飛ばす。


 魔界王子テーバロンテは頭上に小型の魔法陣を発生させて、《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》を相殺させてきた。


 その魔界王子テーバロンテは加速。

 口から光線は出さず、相棒と距離にして五百メートル前後の位置で動きを止めた。


 正中線を俺たちに向けながら浮遊している。


 すると、魔界王子テーバロンテの大きい翅が震え、丸い光源が幾つも飛び出た。


 それらの丸い光源は斜陽のような光を発していた。この地方に斜陽を生み出していた大本の能力だろう。


「主、あの斜陽のムカつく光源だが――」


 <武装魔霊・紅玉環>の指輪からの声だ。

 右手を上げた。額を指輪の表面に出しているアドゥムブラリは、


「アムシャビス族の固有魔法と似たような能力ならば、魔界王子テーバロンテの眷属が力を得ると予測するぜ」

「俺の<霊血の泉>のような能力か」

「そうだ」


 アドゥムブラリが予測したように――。

 先ほどヘルメとピュリンの激しい遠距離攻撃を受けて墜落していた百足高魔族ハイ・デアンホザーたちが動き始める。


 回復したか。


「やはりな、下の復活した百足魔族の数は多い。俺も下に向かうか?」

「ヘルメたちを信じよう。お前は相棒の近くか、<武装魔霊・紅玉環>として近くにいてもらう。そして、<ザイムの闇炎>――」

「おう!」


 アドゥムブラリの額に素早くエースを刻む。

 紅玉環の形が小さい竜に変化。

 その指輪の<武装魔霊・紅玉環>から出た<ザイムの闇炎>が俺の体を包む。


「ングゥゥィィ」


 肩の竜頭装甲ハルホンクの所だけ闇炎が吸い込まれて消えた。


 魔竜王バルドークの蒼眼が嵌まっていない片側の眼窩に闇炎が灯る。

 肩の竜頭装甲ハルホンクの頭上に闇炎の竜の幻影が浮いていた。


 魔界王子テーバロンテは、神獣ロロディーヌを見て、


「『小癪な魔皇獣咆ケーゼンベルスのような奴めが!!』」


 と思念と言葉で叫び加速し前進してきた。

 が、途中で横移動に切り替えた魔界王子テーバロンテは、前方の空間に薄い魔法陣をさしこむように生み出すと、その空間が裂けた。

 

 裂けた空間から大小様々な百足が吐き出されていく。

 その大小様々な百足の群れを飛翔させてきた。

 裂けた空間は歪な魔線を宙空に発しつつ消えた。


 邪神ヒュリオクスの使徒パクス戦を思い出す。

 蟲の群れの波状攻撃は強烈だった。


「にゃごお――」


 相棒は直ぐに口から紅蓮の炎を吐いた。


 紅蓮の炎はビームのように一直線に百足の群れを突き抜ける。

 百足の群れに燃え移った紅蓮の炎により、百足の群れは全滅。

 

 魔界王子テーバロンテは眼前に生み出した魔法の盾で紅蓮の炎を防ぎつつ上方へ避難――。


 同時に魔界王子テーバロンテの周囲の空間が歪む。


 その歪んだ空間から――。

 毒々しい色合いの巨大回虫や百足のような魔虫を連続的に召喚してきた。


 その巨大回虫と百足のような魔虫は毒の液体のようなモノを体から放出してくる。


「ンン」

「相棒、今度は俺が対処する」

「にゃ」


 それらの巨大な回虫のような魔虫と百足のような魔虫の群れと――。

 毒の液体目掛け――。

 魔法の起点を意識した《氷竜列フリーズドラゴネス》を放った――。


 相棒の斜め前方の空間に――大きい龍頭を象った列氷が発生。

 それらの龍頭の一つ一つは瞬時に融合しながら多頭の巨大氷竜となった。


 王級:水属性の《氷命体鋼スノー・コア・フルボディ》の効果だろう。


 その巨大氷竜は、


「シュアァァァァァァ」


 と咆哮のような音を発して頭部からダイヤモンドダストの氷の刃を幾つも四方に飛ばしつつ、螺旋回転しながら魔界王子テーバロンテに直進していく。


 毒の液体は巨大氷竜の《氷竜列フリーズドラゴネス》と衝突せず、近付いただけで、判別ができないほどの細氷となって消えた。


 次の瞬間――。


 巨大な回虫のような魔虫と大きな百足のような魔虫と巨大氷竜の《氷竜列フリーズドラゴネス》が衝突すると、巨大な回虫のような魔虫と、大きな百足のような魔虫は潰れながら散った。


 巨大氷竜の《氷竜列フリーズドラゴネス》はそのまま魔界王子テーバロンテに向かう。


 魔界王子テーバロンテは、目の前の空間に、毒々しい液体で構成されている積層型の魔法陣を展開させた。

 巨大氷竜の《氷竜列フリーズドラゴネス》と、その積層型の魔法陣が衝突。

 積層型の魔法陣は魔塔のような形に成長しながら《氷竜列フリーズドラゴネス》を押し退ける。が、巨大氷竜に喰われるように崩れて破裂しながら大爆発。

 

 その間に魔界王子テーバロンテは左の上方に避難した。


 巨大氷竜の《氷竜列フリーズドラゴネス》も細氷となって散る。


 魔界王子テーバロンテは右斜め下に移動。

 ダイヤモンドダストを起こしている《氷竜列フリーズドラゴネス》の威力を見るように静止した。


 そして、胸元に生えている複数の鎌腕を俺たちに差し向けながら、


「『……強烈な上位の水魔法。元は烈級の言語魔法のはずだが、皇級か神級に届くほどの威力……洗練された魔力練度に水神アクレシスの加護の証明か……そして、その大きい魔獣は魔皇獣咆ケーゼンベルスと繋がりを持つのか?』」

「……魔皇獣咆ケーゼンベルスは知らない」

「『……』」


 魔界王子テーバロンテは眼球の六つの内の四つをバーヴァイ城の左に向けた。


 そこには平原と大森林に山が幾つか見える。


 あの大森林に魔皇獣咆ケーゼンベルスが棲んでいる?


「魔皇獣咆ケーゼンベルスの名は数回聞いた」

「『【ケーゼンベルスの魔樹海】は、我の領域ではない部分が多い……』」


 魔界王子テーバロンテは憎しみを込めた目でおそらく【ケーゼンベルスの魔樹海】を睨むと、「『が、今はお前のほうが重要だ……』」と六つの眼球を俺に向け直す。

 

 魔界王子テーバロンテは左右の人族の腕と似た腕を幾重にも分裂させると、胸元の百足の脚のような鎌腕と同じく腕を増殖させる。

 増えた腕は、百足魔族デアンホザー風の鎌腕に変化させた。

 

 しかも、先端は指が無数にある人の手のようだ。

 手に魔剣と魔槍が召喚される。

 千手観音のような無数の手か。


 魔界王子テーバロンテは直進してきた。


 魔剣と魔槍による接近戦を行うつもりか?


「にゃご!」


 相棒が直線的な炎を飛ばす。

 魔界王子テーバロンテは真横に移動して、ビーム砲のような機動の炎を避けた。


 相棒――。


 神獣ロロは俺の意図を汲み取り、素早く加速。


「ンン」


 魔槍杖バルドークの<魔槍技>かフィナプルスの夜会を使うか?

 と思考した刹那――。

 魔界王子テーバロンテは、エイリアン風の大顎を上下に拡げるや否や、左右一対の器官の両端が裂けた。

 拡がった大顎の口内には鮫の歯のような歯牙が無数に生えている。


 その口から膨大な魔力を放出させながら、


「『――我に真っ向から立ち向かう勇気は称えよう! が、ここまでだ。<テーバロンテの斜陽>と共に死ね――<魔皇・グソルヴァの叡智>! そして、<魔界王子バリハラー波動鏡猛執ショーイネル>!!』」


 地響きのような思念と言葉を連続的に発して、スキルを発動。


 魔界王子テーバロンテの左右一対の器官が膨れる。

 と、大顎と頭部の下半分が捲れながら四方に分裂し、代わりに太い下顎骨が斜め下へ突起。


 割れた大顎から、どす黒い血飛沫を放出させながら小さい顎を幾つか生み出す。


 小さい顎の内部と外部から蟲のようなモノがワシャワシャと出現。


 その小さい顎と無数の蟲は蠢くと、顎と無数の蟲は六芒星と八角形の積層型の魔法陣を無数に前方に生み出す。

 

 その積層型の魔法陣から斜陽が混じる漆黒の膜が魔界王子テーバロンテを起点に三百六十度瞬く間に拡がった。


 その斜陽が煌めく漆黒の膜は宙空にいる俺と相棒を越えてバーヴァイ城を覆った。

 

 神格を有した者が発動可能な心象世界の結界か?

 威圧感、脳と心臓に強く圧迫された感覚を受けた。


 魔界王子テーバロンテの細長い足先の空間が斜陽の色合いを発して歪んでいる。


 大きい翅の背後には鏡が重なったような異空間も覗かせていた。


 その魔界王子テーバロンテは、翅を震わせ、


「『<魔界王子バリハラー翅鏡精神婆衝オベラハマバリッパ>!!」』

「「『『フシャァァァ――』』」」


 とスキルを発動し咆哮――。

 大きな翅が震えながら大きな翅の幻影を発して、鏡のような幻影があちこちに発生した直後、圧力がッ――。


「ンン、にゃご――」


 神意力を有した突風を全身に感じた。

 神獣ロロも神意力の咆哮魔法の影響を受けたのか触手を収斂させながら速度を弱める。


 <瞑道・瞑水>が弾け飛ぶ。

 <水月血闘法>と<闘気玄装>の表層も霧散――。

 直ぐに<闘気玄装>と<血魔力>を活かす<水月血闘法>を強めて纏い直す。


 同時にバチバチと放電したような音が脳内から響くと、目の前が揺らいだ。


 と、ヴィーネたちの笑顔の幻影が浮かぶと脳内に鐘の音が響いた。

 すると、自然と放電音が消える。


 神獣ロロは斜め上へと飛翔――。

 漆黒の膜に両前足を突き出し、爪で貫いた。

 更に、漆黒の膜を掴まえるように両前足を閉じると、膜を一気に切り裂いた。


「『な、<魔界王子バリハラー波動鏡猛執ショーイネル>を裂く!?』」


 魔界王子テーバロンテは驚いていた。


 相棒は「にゃごぁぁぁ」と炎も吐いて拡がっていた斜陽が混じる漆黒の膜を溶かす。


 その溶け方は高熱で飴細工が溶かされていくようにも、蒸発していくようにも見えた。


 シャボン玉が徐々に消えていく光景に近いか。


 ヘルメの<精霊珠想>があればまた違ったと思うが、神獣ロロは本当に頼りになる。


 足下の薄毛の頭部に手を当て――。

 ロロ、ありがとう。


 ――下に行こう。


「ンンン」


 神獣ロロは急降下、バーヴァイ城の屋根に着地。


「アクセルマギナ、出ろ――戦術は任せた」


 一瞬で戦闘型デバイスから汎用戦闘型アクセルマギナが出る。

 魔銃を構えたアクセルマギナは早速、屋根の端に移動しながら、


「マスター、お任せを――」


 と言いながら下にいる百足高魔族ハイ・デアンホザーをエネルギー弾で撃ち抜いた。


 宙空にいる魔界王子テーバロンテは警戒してか突っ込んでこなかった。

 

「『我の<魔界王子バリハラー波動鏡猛執ショーイネル>と<魔界王子バリハラー翅鏡精神婆衝オベラハマバリッパ>に耐えて破りながら、新たな眷属を生むとは……驚きだ。バルミュグらを屠りバーソロンのデラバイン族を手懐けただけはある……そして、光魔ルシヴァルのお前は、ただの定命ではなく、狭間ヴェイルを抜けられるほどの微かな神格を有しているようだな――』」


 そう思念と言葉を寄越しながら――。

 複数の小さい顎の先端にある積層型の魔法陣の群れから無数の光線を放出させてきた――。


 大量の光線で視界が眩しい。

 アクセルマギナはバーヴァイ城の城門の屋根から飛び降りた。

 俺を乗せている大きい神獣ロロも城門の屋根を蹴って飛翔――。

 足下の屋根がテーバロンテが放った光線により吹き飛ぶように消失。

 神獣ロロは<魔界王子バリハラー波動鏡猛執ショーイネル>と<魔界王子バリハラー翅鏡精神婆衝オベラハマバリッパ>の影響は受けたようだが、ダメージはないようだ。


 体から出している橙色の魔力を強めて斜め上へと飛翔しながら――。

 魔界王子テーバロンテが再び放ってきた光線の群れを避けた。


 そして、


「にゃごぁぁ」


 と紅蓮の炎を魔界王子テーバロンテに返した。

 扇状に展開した炎は入道雲を模りながら、連続して寄越してくる光線の群れを呑み込むと、光線は紅蓮の炎を突き抜けることなく消えた。

 

 紅蓮の炎は、そのまま魔界王子テーバロンテに向かう。


 魔界王子テーバロンテは上昇し、紅蓮の炎を避けようとした。

 が、避けるのを止めた。

 小さい顎一つ一つの前方に出現させていた積層型の魔法陣を巨大な樽のような形に変化させると、それを紅蓮の炎に衝突させた。


 巨大な樽のような魔法陣は紅蓮の炎を吸い込むように押さえ込んだかに見えた、が、その魔法陣の表面が割れると、一気に崩壊し大爆発――。


 ドッと熱風がここまできた。

 魔界王子テーバロンテは真上に転移するような加速で避難。


 広い範囲に拡がっていた紅蓮の炎を避けていた。

 魔界王子テーバロンテの大きな翅を活かした加速力は凄まじい。


 鏡のような幻影魔力と精神を侵すような攻撃も繰り出してきた翅は要注意だ。


 その大きな翅と繋がっている斜陽の光源をバックに悠々と飛翔していく。


 そんな魔界王子テーバロンテに向け、バーヴァイ城の物陰から魔銃を撃つアクセルマギナ。


 魔界王子テーバロンテはそのエネルギー弾を避けまくると、複数の小さい顎から光線を放ち、光線は宙に乙の字を描くままバーヴァイ城にいるアクセルマギナに降り注いだ。


 無数の光線がバーヴァイ城と衝突していく度に重低音を響かせながらバーヴァイ城の一部が崩壊。


 光線に貫かれる百足高魔族ハイ・デアンホザーたち。

 更に大量の瓦礫に不意をつかれた百足高魔族ハイ・デアンホザーたちの大半は押し潰されて死んでいた。


 アクセルマギナは崩落を避けて瓦礫を蹴るように宙空を飛んで回避を繰り返す。


 ヘルメは《水幕ウォータースクリーン》と<珠瑠の花>を使い、光線と瓦礫の山の大半を防いでいた。

 

 イモリザは床の岩を銀髪で大量に持ち上げて巨大な盾として利用していた。

 バーソロンとバーソロンの部下たちのデラバイン族を守る。


「ンン――」


 神獣ロロがエネルギー弾のような光線を放ち続けている魔界王子テーバロンテに向け触手を繰り出した。


 俺も《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》を複数射出――。


 魔界王子テーバロンテは時折反撃を繰り返しているアクセルマギナへの攻撃を中断。旋回機動を取りながら上下に移動を繰り返し、相棒の触手骨剣と俺の《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》の遠距離攻撃を避け続けた。


『――グヌヌ、神獣の炎といい、魔法とエネルギー弾の避け方も洗練されておる。ということで器よ、妾たちを使うのだ。<御剣導技>であの胴体をぶち抜いて、テーバロンテの本性を露わにしてやろう!』

『シークレットウェポンとしての運用は、まだだ』

『承知、タイミングは任せたぞ』


 <神剣・三叉法具サラテン>たちの使い所はまだだ。

 <鎖>と同じく使うなら接近戦~中距離戦で、連携の合間がいい。

 亜神ゴルゴンチュラでさえ対応できなかった突剣。

 ――魔界王子テーバロンテは上昇。

 俺を乗せた神獣ロロも斜め上へと上昇――。


 その魔界王子テーバロンテは小さい顎の一つ一つから複数の光線を射出してくる。 

 神獣ロロディーヌは頭部を傾けつつ、


「にゃごぁぁぁ」


 と口から紅蓮の炎を吹いた。


 紅蓮の炎は大量の光線を溶かし直進――。

 魔界王子テーバロンテ本体へと向かう。

 魔界王子テーバロンテはまたも複数の小さい顎から魔法陣の盾を生み出すと、体の正面を見せながら斜め後方に退いた。


 神獣ロロディーヌの紅蓮の炎は、その魔法陣の盾を突き抜ける。

 退いた魔界王子テーバロンテには紅蓮の炎は届かない。


 神獣ロロディーヌの紅蓮の炎は広範囲に及んだが、三百六十度の広い空戦だと、さすがに千日手になるか。


 それは同時に俺の魔法にも言える。


 《王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤード》と《氷竜列フリーズドラゴネス》を使うとしたら、相棒と連携しつつ、相手の先読みをしながら使おうか。


「ロロ、<神獣止水・翔>を活かしてよく戦ってくれたな。が、こっからは連携で仕留めよう。【八葉風妖】の異風長トフカと、黒髪の大魔術師アークメイジのレイン・グレイホークたちとの戦いを思い出せ――」

「ンン――」


 触手手綱を離すと、神獣ロロは大きい片耳の端を寄せてくる。

 その耳の先端を撫でてから――。

 

 大きい神獣ロロディーヌの頭部から離れた。

 左手に血魔剣を、右手に魔槍杖バルドークを召喚。


 血魔剣に<血魔力>を通し、ブゥゥンという音を聞きながら――。

 ロロディーヌから離れた宙空で足下に<導想魔手>を生成――。

 その<導想魔手>を蹴って宙空を高々と跳ぶ。

 

 神獣ロロディーヌが「にゃごぁ」と紅蓮の炎を吐きつつ前進――。

 魔界王子テーバロンテは右斜め後方に転移するような加速で逃げた。


 そこに<鎖>を合わせる――。

 右手首から<鎖>を射出――。

 魔界王子テーバロンテは、胸元から伸ばした斧槍のような鎌腕で<鎖>を弾くと、左右の両手に持つ魔槍と魔剣を振るいまくりながら斜め上に上昇――。


 その魔槍と魔剣から複数の魔刃が発生し俺に飛来――。

 その魔刃目掛けて血魔剣を振るう――<血外魔道・暁十字剣>を発動。


 横から斜め上に向かう剣身が二つの魔刃を連続的に斬る。

 俄に血魔剣を斜め下に斬り下げ、魔界王子テーバロンテが連続的に繰り出していた魔刃を切断。

 続けざまに魔刃が飛来してくるタイミングに合わせ、その魔刃に血魔剣の切っ先を見せるように<黒呪仙剣突>で貫いた。

 

 また飛来してきた魔刃を凝視――体を捻るターンから<水車剣>を実行。

 魔刃を血魔剣で斜めに分断。

 嵐のような魔刃の攻撃が迫るが、そのまま血魔剣を振るい上げ<血獄魔道・獄空蝉>を放つ――。


 ※血獄魔道・獄空蝉※

 ※血獄道技術系統・独自遠距離魔術※

 ※闇属性必須※


 三つの魔刃を衝突するように斬った血魔剣の前方に<血獄魔道・獄空蝉>の血の礫が無数に発生し、直進――魔界王子テーバロンテが繰り出していた魔刃と宙空で相殺し消えていくが、魔刃と衝突せず消えずに直進する<血獄魔道・獄空蝉>の血の礫は魔界王子テーバロンテに向かった。


 魔界王子テーバロンテは嗤うと――。

 千手観音のような複数の手が持つ魔槍と魔剣を振るう。

 一瞬で、複数の<血獄魔道・獄空蝉>の血の礫は、魔槍と魔剣に切断された。


 そこに相棒の直線的な紅蓮の炎が魔界王子テーバロンテの足下に向かう。

 相棒の紅蓮の炎が、魔界王子テーバロンテの細長い足に衝突するかと思われたが、魔界王子テーバロンテの小さい顎の群れから下に飛び出た小型の魔法陣が連鎖しながら長方形の魔法の盾となって、魔界王子テーバロンテの足を守る。


 その魔界王子テーバロンテの狙いを察知した。

 魔界王子テーバロンテが逃げるだろう方向を予測しながら――。


 <神剣・三叉法具サラテン>――。


『出ろ、<神剣・三叉法具サラテン>』

『承知――』


 左手の運命線のような傷から飛び出た<神剣・三叉法具サラテン>の沙・羅・貂が直進。


 魔界王子テーバロンテは神獣ロロディーヌの紅蓮の炎を長方形の魔法の盾で防ぐ。

 その一瞬の間で上方へと転移するように逃げた、ビンゴ――。

 

「『な!? 我の動きを先読みか――』」


 テンの神剣は、少女の姿の幻影を発しながら、魔界王子テーバロンテの無数の鎌腕を貫きながら体と大きな翅を突き抜けた。


「グアァァ――」


 魔界王子テーバロンテの胸元の一部が腐ったように消えていく。

 しかし、体から無数の魔虫が発生し、それが新しい血肉となって体を構成していく。


 再生速度は一瞬だ。

 が、神剣の威力を物語るように腐る速度も速い。


 <神剣・三叉法具サラテン>の神剣の上に少女の沙が出現し、


「邪教カルトの親玉ァァァ、魔界王子テーバロンテ、天誅じゃ!!!!」


 後光を発しながら魔界王子テーバロンテに直進。

 魔界王子テーバロンテは速度を上げて<神剣・三叉法具サラテン>の直進した突剣を避けた。


「――ぐっ、喋る神剣だァ? 餓鬼が乗っているだと?」


 と言いながら旋回して<神剣・三叉法具サラテン>から逃げる。

 そんな魔界王子テーバロンテに相棒がビームのような紅蓮の炎を吐いた。


「――チッ」


 魔界王子テーバロンテは左下に凧のような形の魔法陣を生成。

 その魔界王子テーバロンテが避ける方向を先読みする――。


 烈級:水属性の《氷竜列フリーズドラゴネス》を発動させた。

 前方で、複数の龍頭が融合し一瞬で巨大な氷竜になる。


 相棒の炎を避けるために移動した先で魔界王子テーバロンテに偏差撃ちの巨大な氷竜がクリーンヒット。

 

「――グァァ――」


 巨大氷竜に喰われたような魔界王子テーバロンテの体が一気に凍り付く。

 右腕越しにダイヤモンドダストが包む氷の彫像と化しているようにも見える魔界王子テーバロンテを凝視。


 愛用している《氷竜列フリーズドラゴネス》には自信はあるが、過信はしない。


 <神剣・三叉法具サラテン>と相棒が離れたことを把握――。

 そのまま――。


 王級:水属性の《王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤード》を発動――。


 一瞬で右腕から先の扇状の世界を、氷の静寂が支配した。


 刹那、巨大な氷の墓標を伴う氷の道が魔界王子テーバロンテと激突。

 

 <光条の鎖槍シャインチェーンランス>も五発発動――。


 氷の墓標と衝突し宙空を跳ねていた魔界王子テーバロンテの体は多数あった脚と細長い足が砕けて消えている。

 凍り付いて溶けては凍るを繰り返している魔界王子テーバロンテはエイリアン風の頭蓋骨と内臓を露出させながら、またも凍り付いたところを三発の<光条の鎖槍シャインチェーンランス>が突き抜けた。

 二発の<光条の鎖槍シャインチェーンランス>が、魔界王子テーバロンテのエイリアン風の頭蓋骨と体に突き刺さり光の網となって絡み付いたまま、バーヴァイ城の外に落下していく。


 神獣ロロと一緒に、その魔界王子テーバロンテを追うように宙を駆けた。


 刹那、魔界王子テーバロンテが落下したバーヴァイ城の城外が斜陽色の光を発して爆ぜた。

 

 土煙が濛々と立ちこめる。

 城壁の残骸が宙空の位置で静止し、一気に落下。


 残骸が落下している中心地に、<光条の鎖槍シャインチェーンランス>の光の網が体に絡み付いている四腕二足の魔人が立っていた。


 足下と背後には蜥蜴が脱皮したような甲皮だったモノが見えている。

 その百足の甲皮のようなモノは魔力を発して地面に浸透しながら消えた。

 すると、四方の地面に魔虫の幻影が発せられている魔法陣が生成されていく。

 

 魔法陣は消えては他の場所に転移を繰り返していった。

 

 消える魔法陣?

 罠か? しかし、立っている魔人は魔界王子テーバロンテなのか?


 頭部は面長、百足っぽさが濃いが、般若面。

 六つの細い目。三つの目は人族の目の位置に三つずつ揃っている。

 下顎が抜けたようにスカスカで複数の舌が見えていた。


 首から下は裸に近いと思うが皮膚は甲皮で鎧的。

 股間はタセットの鎧部位のように盛り上がっていたが、一物はない。


 ホッとした安心感を覚えながら<瞑道・霊闘法被>を発動――。

 肩の竜頭装甲ハルホンクも合わせて衣装を変化させた。

 

 同時に<仙魔・暈繝飛動うんげんひどう>を実行。


 更に魔界王子テーバロンテに《氷竜列フリーズドラゴネス》を放つ。


 無数の龍頭を象った列氷が魔界王子テーバロンテに向かった。複数の龍頭が一つの巨大な氷竜となる。


「その魔法の威力は見切った。うぬら、調子に乗りすぎだ――」


 魔界王子テーバロンテは体に絡み付いていた<光条の鎖槍シャインチェーンランス>の光の網を弾く。


 魔界王子テーバロンテは<魔闘術>系統の<黒呪強瞑>を強めて斜め横に移動して旋回機動を取った。

 

 巨大な氷竜の《氷竜列フリーズドラゴネス》を避ける。《氷竜列フリーズドラゴネス》は魔界王子テーバロンテがいた場所を直進。


 続けざまに魔界王子テーバロンテに《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》と<仙玄樹・紅霞月>を三発放った。


 《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》を追うように周囲に発生していた霧の魔力から血濡れた三日月状の<仙玄樹・紅霞月>が連続的に飛び出る。


 魔界王子テーバロンテは、片手半剣の魔剣を上下に振るい、


「魔力は無尽蔵なのか!?」


 と驚きながらも、《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》と血濡れた三日月状の<仙玄樹・紅霞月>を斬ってきた。


 魔界王子テーバロンテが扱う片手半剣の魔剣は青白い。


「ンン――」


 地面の魔法陣を警戒した神獣ロロは、その地面に向かうが、魔法陣は消える。

 びっくりしたような神獣ロロは、


「にゃご!」


 と鳴いて、大きい黒猫の姿に変身しながら魔界王子テーバロンテに紅蓮の炎を吐いた。


 魔界王子テーバロンテは扇状に展開している紅蓮の炎を見ながら、


「ふっ――」


 嗤うと、残骸を吹き飛ばしながら横移動。

 紅蓮の炎を避けた。


 <導想魔手>を蹴って、黒猫ロロと一緒に低空からその魔界王子テーバロンテを追い掛ける。


 <鬼神キサラメの抱擁>を意識。


 続けて<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を左前方に生み出した。

 魔界王子テーバロンテは片手半剣の魔剣を振るう。


 三つの魔刃を飛ばしてきた。

 <仙魔・桂馬歩法>を実行――。


 左右斜め前方へ飛び跳ねるジグザク機動で三つの魔刃を避ける。

 左後方に退いた魔界王子テーバロンテに黒猫ロロの触手骨剣が向かった。魔界王子テーバロンテは足を止めて片手半剣を振るい黒猫ロロの触手骨剣を防ぐ。と、<神剣・三叉法具サラテン>の神剣が急降下――。


「もらったァ」

 

 と沙が叫んだように、魔界王子テーバロンテの左腕を穿った。


「――ぐおッ」


 魔界王子テーバロンテは片手半剣を振るい、<神剣・三叉法具サラテン>の神剣を斬ろうとする。

 が、<神剣・三叉法具サラテン>は柄側をぐわりと下から上に回して、神剣の剣身で片手半剣の魔剣を払うと、反転しながら、俺の近くに戻ってきた。


 魔界王子テーバロンテは、失った左腕を再生させる。

 その間に、魔槍杖バルドークを消して<神剣・三叉法具サラテン>の神剣を右手で掴む。前傾姿勢で前進――。


 魔界王子テーバロンテは片手半剣を振るい相棒の触手骨剣を弾きながら、膨大な魔力を三つの魔眼から放つ。

 

 刹那、俺の右側に転移するように移動してきた。


「<魔皇・魔風速刃>――」


 とスキルを繰り出してきた。

 片手半剣の魔剣が上下に分裂し、二つの魔剣が迫る。


 <神剣・三叉法具サラテン>の神剣で――。

 <飛剣・柊返し>を実行。

 上向いた<神剣・三叉法具サラテン>の神剣の剣身が二つの魔剣の<魔皇・魔風速刃>と衝突――。

 剣身の表面を右側に押し出すようにテーバロンテの二つの魔剣の<魔皇・魔風速刃>を横に弾いた。


 カウンターを意識――。

 素早く左手の血魔剣で<黒呪仙剣突>を繰り出した。


 テーバロンテは不気味に嗤うと、体から魔力を噴出させつつ、血魔剣から〝黒呪咒剣仙譜〟から得た黒呪咒剣の魔印が散る突剣を六つの眼で凝視しながら迅速な機動で上方へと飛翔し避けた。


 大きな翅は無いが速い。


 その魔界王子テーバロンテの足に黒猫ロロが繰り出した触手骨剣が突き刺さった。


「くっ、離せ――<魔界王子バリハラー魔溶解の卵ベベアッド>――」


 魔界王子テーバロンテの細い足の一部から黒々とした液体が吐き出された。

 相棒は直ぐに触手を収斂させて逃げた。


 <神剣・三叉法具サラテン>の神剣を左手の運命線の中に格納し――。

 フィナプルスの夜会に魔力を流した。


 フィナプルスの夜会から一瞬で半透明の女性の幻影が出現。

 半透明の女性は光を得ると、黒髪のフィナプルスとなった。

 背中の一対の天使が持つような翼を羽ばたかせたフィナプルスは、金色のレイピアを握りながら直進――。

 

 魔界王子テーバロンテは反応。

 が、フィナプルスも速い。


「<奇怪・異人突き>――」


 金色のレイピアのスキルを繰り出す。

 魔界王子テーバロンテは、垂らした片手半剣を逆袈裟に振るい、真っ向から<奇怪・異人突き>の突きを片手半剣の剣身で受け、紫色の火花を散らしながら弾き合った。


「逃がしません――<奇怪・宵魔斬剣>――」


 フィナプルスの金色のレイピアが横に動く。

 軌跡がブレる速度の<奇怪・宵魔斬剣>が、避けようとした魔界王子テーバロンテの右腕を斬った。


 魔界王子テーバロンテは「ぐぇ――」と痛みの声を発しつつ苦悶の表情を浮かべて斜め後方に転移すると、右の離れた地面の魔法陣と魔線が繋がった。

 

 次の瞬間、


「<魔皇・ヒュベルの異界道の癒やし>――」


 と、異空間に吸収されるように魔界王子テーバロンテが消えた。 


 その魔界王子テーバロンテは、斜め前方に転移したように現れる。

 傷はすべて回復していた。

 同時に、右側の地面に展開されていた魔法陣の一つが爆発炎上して消えていた。


 事前に用意していたのか。


「……驚きですね。転移と回復。魔皇の称号を複数持つが故の……神格を有した魔界王子の称号は伊達ではない……」


 フィナプルスは残念そうに発言。

 そのフィナプルスは、金色のレイピアを消去し、フィナプルスの夜会に戻ってきた。


 魔界王子テーバロンテは焦ったような表情を浮かべて、


「それは魔界四九三書……か。階級は神話ミソロジー級か? お前……」


 ――その間に魔軍夜行ノ槍業のトースン師匠を意識。

 大きな駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>と魔軍夜行ノ槍業の間の魔線が稲妻の如く拡大。

 その拡大した環状の魔力から骨装具・鬼神二式を装備したトースン師匠の上半身が出現。


 右腕の骨装具が前腕と右手首を覆うと、一瞬で伸びて骨の魔槍に変化。

 手の甲には銃口のような物がある。


「我は八怪卿――」

「『われら、八大、八強、八怪、魔界八槍卿の魔槍使い。われら、八鬼、八魔、八雄、魔界八槍卿の魔槍使い』」


 われら、魔城ルグファントの八怪卿の魔槍使い。

 われら、かつての異形の魔城の守り手!

 われら、唯一無二の魔界八怪卿なり!


 復讐の怨嗟に燃え滾る、異形の魔城の守り手!


 われら、ルグファントの八怪卿なり!

 われら、魔界八槍卿の魔槍使いなり!


 トースン師匠の上半身と魔軍夜行ノ槍業に棲まう七人の師匠が連動したように神意力? か不明だが、思念と言葉を言い放つ。


「魔城ルグファントだと……」


 驚いている魔界王子テーバロンテは六つの双眸に魔力が溜まる。


 トースン師匠は、


「魔界王子テーバロンテ、それが真の姿なのだな……そして、覚悟はよろしいか。悪愚槍のトースンが参る。<魔闘骨血襲技>……」


 トースン師匠から<血魔力>が放出される。


「小癪な! 嘗ては名の知れた勢力で魔城だったが、今ではただの廃れた古城。そして、半身に何ができる!」

 

 魔界王子テーバロンテは前進しながら片手半剣の魔剣から魔刃をトースン師匠に飛ばす。

 即座に、《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》を魔界王子テーバロンテに飛ばした。

 魔界王子テーバロンテは動きを鈍らせ、片手半剣の魔剣を俺に向け、《連氷蛇矢フリーズスネークアロー》を弾く。


 更に、相棒の触手骨剣も、魔界王子テーバロンテに直進。

 それに備えて魔界王子テーバロンテが片手半剣を下げた刹那、


 トースン師匠は「力を温存できる状況ではないぞ――」と言いながら両腕のアサルトライフルのような魔銃から骨刃の弾丸を射出した。


 魔界王子テーバロンテは反応できず、骨刃の弾丸を右半身に喰らうと、体に穴が空きながら吹き飛んだ。


 その体から血飛沫を発しながら吹き飛んだ魔界王子テーバロンテは、


「グアァァァ――」


 と叫びながら足下に転がっていた残骸と衝突を繰り返して床を転がった。

 骨装具が渋いトースン師匠は前進――。


「我の<魂喰いのイーター>から放たれる魔弾は神々でさえ貫く!!」

「……くっ」

 

 立ち上がった魔界王子テーバロンテは全身に魔力を込めると、右半身に多い風穴が塞がっていく。

 

「魔城ルグファントは過去の物ではない。既に、我らの新しい魔君主は、そこにいるのだからな」


 渋いトースン師匠は俺をチラッと見てそう宣言。


 トースン師匠は額から骨の角を伸ばしつつ魔界王子テーバロンテに向かって駆けた。


 魔界王子テーバロンテの右半身の風穴は回復していた。

 その魔界王子テーバロンテは二本の腕が握る片手半剣の魔剣を突き出す。

 同時に、右と左の下腕を無数の魔虫に変化させて、その魔虫の群れを飛ばしてきた。


 魔界王子テーバロンテは嗤いながら、


「何が魔君主だ。<ブラック・マルクの魔虫喰い>を味わえ――」


 トースン師匠は構わず、


『――<愚煉烈把槍>』


 スキルを発動――。

 大きい三日月刃と化した骨槍から無数の三日月刃を生み出した。その槍衾のような<愚煉烈把槍>が魔虫の群れを貫きまくり、すべてを滅した。

 フォローに<鎖>を射出。


「――くっ」


 <鎖>の先端が、魔界王子テーバロンテの足に突き刺さった。


「ぐあっ」


 その間に突き出された片手半剣の魔剣も弾いたトースン師匠は――。

 魔界王子テーバロンテとの間合いを詰めた直後――。

 巨大三日月刃を骨の魔槍に戻し、腕の形もアサルトライフルのような腕に戻す。

 両腕を元に戻したトースン師匠は腕がぶれるような速度で骨の魔槍を突き出した。


「ンン――」


 黒猫ロロも触手骨剣を繰り出した。

 魔界王子テーバロンテは「くっ」と足に百足を這わせて<鎖>に干渉してきた、<鎖>を消す。

 その魔界王子テーバロンテは半身の姿勢で、片手半剣の柄の角度を変えて、トースン師匠の骨の魔槍を剣身で受け、相棒の触手骨剣に柄を衝突させる。


 トースン師匠は骨の魔槍で<刺突>を連続的に繰り出した。

 魔界王子テーバロンテは防戦一方となるが、<黒呪強瞑>らしき<魔闘術>を強めると加速し、左上腕をトースン師匠に差し向ける。

 

「これを喰らえ!」


 上腕が裂けると、そこから百足の頭部が無数に飛び出て、トースン師匠に襲い掛かった。


 トースン師匠は、


「<闇神式・練迅>――」


 体がブレる。

 骨装具・鬼神二式が煌めいた。

 骨の魔槍と両腕のアサルトライフル型の骨装具・鬼神二式から雷を纏う骨刃を噴出させながら加速。

 

 骨の魔槍で百足の頭部を貫いて薙ぎ、百足の頭部を破壊しながら、退く魔界王子テーバロンテを追った。


 トースン師匠の上半身から迸る雷の骨刃は前進するトースン師匠を追うように付いてくる。


 それらの雷の骨刃と骨の魔槍の周囲には、闇色の雷が行き交う旋風が巻き起こっていた。


 旋風に触れた百足の頭部は爆発するように散る。


 前進したトースン師匠は魔界王子テーバロンテとの間合いを詰めた。その魔界王子テーバロンテは片手半剣に青白い魔力を集めている。


『<悪愚槍・鬼神肺把衝>――』

「<魔界王子・魔速ノ断剣>――」


 トースン師匠の<魔槍技>スキルと魔界王子テーバロンテの魔界王子専用の<魔剣技>スキルが激突。


 武器の刃が眼前で合致したように衝突。

 激しい火花が散った。


 骨の魔槍の穂先が骨刃を増殖させるように膨張と収縮を繰り返していたが、片手半剣の魔剣の剣身から放たれていた時空を断絶させるような空間斬りの魔線染みた目に見えない魔刃が、増殖しながら散る骨刃と衝突を繰り返していた。


 互角か。


 すると、トースン師匠の上半身が煌めく。

 俺の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>の表面が輝いた。

 そこには『八咫角』という文字が浮かんでいた。


 トースン師匠は消えたように横移動。

 骨の魔槍で、片手半剣の魔剣を横に弾く。

 同時に、体の動きがスローモーションになっているように見えた直後――。

 紫電の勢いの骨の魔槍の穂先が、魔界王子テーバロンテの体に突き刺さった。


 魔界王子テーバロンテの肉片と血飛沫が迸った。


 それらの血飛沫を瞬時に吸収するトースン師匠の上半身。


 骨の魔槍を振るい回し――。

 魔界王子テーバロンテの首を狙う。


 魔界王子テーバロンテは、細長い両足を百足のような魔虫に変えながら、上半身を反らした。


 その下半身の魔虫の切っ先は大きな刃となって、トースン師匠の上半身に衝突――。


 トースン師匠の上半身は吹き飛んで、


「ぐおっ」


 吹き飛ばされてきたトースン師匠の上半身は<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>と魔軍夜行ノ槍業に吸収されるように戻った。

 <夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を消す。


 魔界王子テーバロンテの下半身は縮んで腐ったように散る。


 かなり力を浪費したように見える魔界王子テーバロンテに俺と相棒は近付いた。

 その直後、俺と相棒の斜め前の空間が歪む。


 血魔剣を消しながら<魔闘術の仙極>を実行――。

 迅速に、その歪んだ空間を召喚した魔槍杖バルドークの<血穿>で貫いた。


 歪んだ空間は爆発したように元に戻る。


「ンン――」


 相棒も左斜め前の空間を触手骨剣で貫いて潰していた。

 刹那、左側の魔界王子テーバロンテが予め準備していただろう魔法陣が、地面を転移しながら幾つか煌めいた。


 そして、


「チッ、<魔皇ラハカイネ・召喚憑依>――」


 爆発的な魔力を察知、黒猫ロロを守るように前に出た。

 魔界王子テーバロンテが突如繭に包まれ消える。


 左横に、影が見えッぐお――。


 刹那、俺の左半身がごっそりと消えた。

 衝撃を喰らい、半身が、痛すぎる――宙に舞う俺の血肉と内臓を見ながら<血道第三・開門>――。

 魔軍夜行ノ槍業の装丁の金具が伸びるように俺の半身を追ってきた。


 <血液加速ブラッディアクセル>を発動。


 半身の内臓と骨に筋肉が回復していく様は驚愕的。

 改めて光魔ルシヴァルで良かった、が、あまりにも痛すぎて――良かったどころではない痛みだ――。


「にゃごおおおお」

「ングゥゥィィ、痛い、ゾォォイ――」


 と相棒とハルホンクが声を響かせてくるが、応えず――。

 ゼロコンマ数秒後に<黒呪強瞑>と<脳脊魔速>を発動――。


 瞳を散大させて泣いている黒猫ロロに心で謝りながら魔界王子テーバロンテに近付いた。


 上半身だけの魔界王子テーバロンテは、


「な、我の神域速度に合わせただと――」


 と驚いていた。

 <脳脊魔速>が通用しない俺も驚きだ――。


 が、構わず魔槍杖バルドークを引く。

 腰溜めからいきなりの<超能力精神サイキックマインド>。

 

「ぐぉッ!?」


 <超能力精神サイキックマインド>で蟲魔人の幻影を発している上半身だけの魔界王子テーバロンテを拘束。

 蟲魔人の幻影と魔界王子テーバロンテは苦悶の表情を浮かべている。

 が、<超能力精神サイキックマインド>が押し返される。


 弾かれる前に、その魔界王子テーバロンテに向け<闇穿・魔壊槍>を繰り出した。魔槍杖バルドークの闇を纏う<闇穿>の嵐雲の矛が蟲魔人の幻影ごと魔界王子テーバロンテの体を貫いた。


「ぐぁぁ、この魔槍……ぐふぉッ」


 血を吐いた魔界王子テーバロンテは退く。

 魔界王子テーバロンテの血飛沫を吸っている魔槍杖バルドークを消去するや否や豪快な怒号喇叭が吹き荒れた。


 絶殺の意志が宿る壊槍グラドパルスが引いた右腕の前方に直進しながら出現。


「な!?」

 

 螺旋回転の渦を周囲に作りながら魔界王子テーバロンテの頭部ごと上半身を穿ち貫いた。


 が、魔界王子テーバロンテの上半身の血肉と内臓の一部が壊槍グラドパルスに巻きこまれず、左に散ると、その血肉が神々しい魔印を発して空間に渦を作り、神々しい血肉は、その渦の空間に吸い込まれた。


 地面に設置されていた魔法陣が爆発して散る。


「『これで魔界の神格を滅したと思うな――』」


 思念と言葉が響いた後――。


 魔界王子テーバロンテの魔素が、右に出現。


 その魔界王子テーバロンテに向かおうとした瞬間、


「にゃ?」


 相棒も疑問の声を発したように、壊槍グラドパルスが直進している前方の空間がオカシクなっていた。


 壊槍グラドパルスは残骸を消し飛ばしながら、魔界セブドラの虚空に穴を開けるように直進していたが、消えない。


 壊槍グラドパルスの前方に発生していた虚空の穴は上下左右に拡がる。

 それは魔界セブドラの空間を浸食していくように見えた。その虚空の穴の模様が網目模様となると半透明な膜が何十にも重なったような不可思議な異空間へと変貌を遂げていく。

 

 そんな異空間の先は洞窟のような靄がかかったような不可思議な場所を映しだし、そこに黒馬のような動物に騎乗している人物が見え隠れし始める。


 異空間の前で直進せずに回転している壊槍グラドパルスが輝いた。

 壊槍グラドパルスに異変か?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る