九百九十三話 ヘルメの紹介と一階の大ホールへ突入
「イモリザ、待った。下に向かう前に、常闇の水精霊ヘルメを皆に紹介しておこう。ヘルメ――」
「はい!」
「はーい♪」
「ンン――」
水の羽衣が似合うヘルメは浮かぶ。
すると、城の窓にいた相棒が戻り、ヘルメの真下に移動して見上げた。
ヘルメは
ヘルメの滝の水飛沫的な魔力で水気が増した。
マイナスイオンのような清々しい空気となった。
同時に空気清浄機のプラズマクラスターの空気感を思い出す。いい商品だった。
水蒸気のような魔力はダイヤモンドダストのような現象を起こし輝きを放つ。
そのダイヤモンドダストの煌びやかな輝きを放つ細氷の魔力を一瞬で衣服と体に吸収したヘルメは独特なポージングを決めて、
「――わたしは閣下の水、常闇の水精霊ヘルメです。閣下が使役している大眷属の一人と言えましょう。皆、よろしくお願いします!」
バーソロンの部下たちは、
「「おぉぉぉ」」
「「常闇の水精霊のヘルメ様……」」
「シュウヤ様は、水精霊をも使役していた御方だったか……」
「なるほど……バーソロン様がシュウヤ陛下を見て〝計り知れない〟と仰っていたが……」
『妾たちの紹介はしないのかァ』
『主、我も……』
「あぁ、シュウヤ様は神々と対話できるほどの精神力と魔力をお持ちのようだからな。精霊や黒き獣に幻獣を従えているのも頷ける」
「我らの新たな魔君主は、凄まじい御方なのだな!」
「うん……<血魔力>を帯びた黒髪が素敵だし、水精霊ヘルメ様も素敵、イモリザ様も可愛いし……」
「きゅぴーん、そうなのです♪」
皆、それぞれ語る。
イモリザは、己を褒めたデラバイン族の女性に近付いて握手。
その間に左手の運命線的な傷の中にいる<神剣・三叉法具サラテン>と、掌の<シュレゴス・ロードの魔印>にいるシュレに、
『沙・羅・貂とシュレは、いきなり戦いの場で使うかもだ』
『うむ、器よ、妾らしくシークレットウェポンとして使うのだ!』
『器様、私たちは使役されている立場ですので、気になさらず』
『はい、バルミュグ戦で活躍した自負もありますから、小休止です』
『……承知』
<神剣・三叉法具サラテン>とシュレゴス・ロードがそう思念を寄越す。
左手の掌から、少しだけ
<武装魔霊・紅玉環>のアドゥムブラリも出してあげたら喜ぶか。
外の斜陽が気になるし、そして、漆黒の鎧を着たバーソロンの部下たちは、相棒は黒猫の姿だから、存在自体あまり気にしていないようだ。
光魔騎士バーソロンは、暫し、ヘルメの超然としたポージングを繰り返す不思議ダンスを見て、唖然としていたが、
「――だ、大眷属の一人のヘルメ様――」
そう喋りながら片膝で地面を突いて頭を垂れた。
ヘルメは、腰を捻りながら片手で庇を造る。
悩ましいポージングのヘルメ立ちを行うと、ポーズを崩し、両腕を左右に広げて体を右に開くように横回転を行い、皆に向け、両手から虹色の水飛沫を飛ばした。
煌びやかな水を浴びた皆は、尻が少し輝く。
「「え……」」
「ベイアの尻が輝いた……」
「ドサチの尻も輝いているぞ」
「……パパスの尻も」
「あ、ベンの尻もだ」
「キョウカの尻も……」
バーソロンの部下たちに、
「皆、尻の輝きはヘルメからの祝福だ」
「「「おぉ」」」
<精霊珠想>は使ってないが、ま、多少の魔法防御上昇とかの効果はあるだろう。
そのヘルメは、
「ふふ、角鬼デラバイン族にわたしからのプレゼントです――」
と笑顔を見せつつ、宙空で、体を左へと開きながら横回転を行い、バーソロンに近付き手を差し伸べた。
魅力的なおっぱいの揺れがタマラナイが、女神の仁王立ちにも見える。
バーソロンは、頭部を上げた。
そのヘルメを見るバーソロンの視線が少し泳ぐ。
その目のやり場に困っているバーソロンから、
『見事なおっぱいの迫力です』
という言葉が聞こえたら、牛乳を吹くように笑う自信がある。
ヘルメは、
「バーソロン、立ってください」
「あ、はい」
普通にヘルメの手を握ったバーソロン。
俺が考えたフザケタ展開にはならず。
美女と美女だけに絵になる。
立ち上がったバーソロンは、少し恥ずかしそうにはにかんだ。
ヘルメも『ふふ』と、新人の眷属のバーソロンを安心させるような笑顔を見せ、バーソロンの回りを低空飛行で一周してから離れた。
そして、部下たちと城の窓から下を眺めている相棒のことを見ながら、俺の傍に飛来。
すると、ヘルメは半身を液体的、水蒸気的にも見える不可思議な気体に変化させつつ、俺の背中の右側を抱くように立つ。
ひんやりとした風を右耳と首筋に得た。
右の二の腕に柔らかい感覚を得る。
首を傾け、そのヘルメとアイコンタクト。同じく首を傾けながら俺を見て微笑むヘルメは魅惑的。
そのヘルメは蒼い瞳をバーソロンに向け、
「セラの【血銀昆虫の街】で、閣下と共に貴女を見ていましたよ。魔杖バーソロンから心に響く不思議な神意力には驚きましたが、あの神意力は、魔界王子テーバロンテの意識が関係していたのですね」
と聞いていた。
バーソロンは少し緊張したような表情を浮かべて、
「あ、はい……そうなのです。ヘルメ様にも、我が神意力を有しているような、無礼な発言を繰り返してしまい……申し訳ありませんでした」
「大丈夫、気にしていません。大眷属が神意力を有していることは稀だと思いますからね。閣下とも念話で話をしていましたが、魔界王子テーバロンテの一部が魔杖の中に潜んでいたのなら、納得です」
「はい」
「その閣下が持つ魔杖バーソロンですが、既に分かっているように、魔力は失われている。貴女と魔界王子テーバロンテの意識も消えている。しかし、先ほど貴女は『我がいれば魔の扉の鏡は使える』とも語った。あの魔の扉の鏡を潜れば、セラの次元へと戻れる状態なのですか?」
魔杖バーソロンと魔の扉の鏡か。
バーソロンは、
「はい。魔の扉の鏡の下にある孔の一つに魔杖バーソロンを差し込んで、我の魔力を魔杖バーソロンに注ぎ、魔の扉の鏡の下にあるパネルのボタンを押すと、即座に魔の扉は使える状態になります。そして、魔杖バーソロンを持ちながら鏡を潜れば、セラの地下祭壇の魔の扉へと転移します」
「そうですか、安心しました」
俺もだ。ヘルメとイモリザと俺は頷きあった。
イモリザは時折寄り目になっては、髪形を変化させている。ピュリンとツアンの意見を聞いているようだ。
皆に向け、
「……一応トラペゾヘドロンの二十四面体を試すか」
「あ、はい。
ヘルメは途中から、バーソロンに聞いていた。
バーソロンは頷き、
「一階大ホールにいる我らの同胞と百足魔族デアンホザーと蜘蛛魔族べサンの間には、まだ争いは起きていないようです。しかし、敵側には魔界王子テーバロンテの指示を聞ける強者もいるはずですから、不意打ちを受けた同胞の部隊もいるかもしれないです」
数が数なだけに、争いが始まっていれば、喧騒はここまで響いてくるはず。
だから、戦いが起きていたとしても、狭い場所の極一部のみだろう。
「悪いが、今、試すだけ試す」
「はい」
俺の時空属性よ、スペシャルに機能してくれ。と願いながら、戦闘型デバイスのアイテムボックスから、
さっそく、一面をなぞる。
迷宮都市ペルネーテの自宅に設置したパレデスの鏡は反応するか?
しない。
直ぐに掌で
――反応なし、
もう一度なぞったが、反応はナッシング。
魔塔ゲルハットの最上階に設置したパレデスの鏡も無理か。
次は無理そうだが――。
サイデイルのパレデスの鏡も反応せず。
続いて、
これも同じく。光のゲートは展開しない。
地下都市デビルズマウンテンに設置したパレデスの鏡か……。
ハフマリダ教団を率いるアムは元気かな。
十一面をなぞる。
地下都市ダウメザランに設置したパレデスの鏡も出ない。
「ダメだな」
「はい」
好都合な展開はそうそう起きないか。
イモリザは、魔の扉の鏡と俺を見て、
「ってことは……魔界セブドラからセラに戻る方法は……うぅ~、少し怖くなりました……」
「はい。トラペゾヘドロンが使えないとなると、この魔の扉と魔杖バーソロンのセットは、かなり貴重な物ということですね。更に言えば傷場での移動が本来の方法だということでしょう。そして、わたしもですが、少し怖くなりました」
イモリザとヘルメは頷き合う。
バーソロンたちは不思議そうな顔付きだ。
ま、セラと魔界だ。
その
イメージ的にブラックホールを想起するが、巻きこまれたら死ぬどころではないよな……強大な重力では光でさえ脱出ができない。体が分解、時間が止まったような感覚のままなんだろうか……。
再生能力があるから、ある程度は耐えられるとは思うが……『ホログラフィック理論』などを考えると、二次元の情報だけの世界に……これ以上の思考は止めておこうか。
そんなことを考えながら、二人に半笑いで、
「なぁ、魔の扉によく突っ込んだな? とか考えている?」
「は、はい♪」
「正直、祭壇の天辺にある魔の扉が見えた時、あ、閣下なら魔界セブドラに行くかもしれないと直感で思いました」
「はは、俺もそんな予感はしていた」
「ふふ、はい。しかし、爆発と軍隊の来訪を阻止するためですが、勇気のいる行動です。愛しい<
それはある。
「……おう。しかし、評議員と闇ギルドに魔薬関連の最新情報はレザライサと共有しておきたいところなんだよな」
「極大魔石の消費がネックですね、情報を早く伝えればそれだけ、麻薬関連の毒沼掃除が可能ですが……」
頷いた。
魔界に来る際には、魔の扉の孔に中くらいの極大魔石を三つさしこんだ。
バルミュグが落とし回収した極大魔石の数は八個のみ。残りは五個で大きい極大魔石だ。
俺が元々持っていた大きい極大魔石と極星大魔石もあるが、それは、クナとルシェルが、魔塔ゲルハットに用意しようとしてくれている大型転移陣を造るための材料として必要だから使えない。
それに極大魔石は戦闘型デバイスのエレニウムエネルギー。総蓄量は増やしたい。
魔石を納めればナ・パーム統合軍惑星同盟のアイテムももらえる。
小さい極大魔石は、約千五百のエネルギーぐらいで、大きい極大魔石は一万だった。
そのエレニウムエネルギーは、ビームライフルの弾に、フォド・ワン・ユニオンAFVのキャノン砲のエネルギー源でもある。
漆黒の悪魔こと小型飛空戦船ラングバドルのエネルギー源にもなる。
魔力豪商オプティマスはパワーセルをくれた際、漆黒の悪魔に補給は当分要らないと語っていたが……。
今後のことを考えると極大魔石の消費は抑えたいところでもある。
「それじゃ、バーソロンと皆、相棒とイモリザも、下に突撃をかます。ヘルメも行こうか」
「はい!」
ヘルメは右腕を氷剣に変化させている。
左手からは<珠瑠の花>を伸ばしていた。
バーソロンはヘルメの左手を凝視。
指から伸びている<珠瑠の花>の輝く紐がそよぐのを見て驚いている。
「にゃお~」
「「「はい」」」
「準備完了♪」
「行きましょう。我らが先に降ります。戦いが起きていなければ、百足魔族デアンホザーと蜘蛛魔族べサンを先に討つので、陛下たちも続いてください」
「分かった。一階大ホールの敵を倒し、状況次第で兵舎、広場に出ようか」
「はい」
バーソロンたちは、スケルトンで透けた壁の前に移動する。自然に魔力のドアが消えた。
直ぐに踊り場に出て、丸太階段を降りていく。
魔杖バーソロンを
「ハルホンク、仕舞ってくれ」
「ングゥゥィィ」
ハルホンクは魔竜王の蒼眼を煌めかせながら、魔杖バーソロンを食べるように仕舞ってくれた。
少し怖いが、気にしない――。
右手に魔槍杖バルドークを召喚。
左手に神槍ガンジスを召喚。
丸太階段を跳ぶように降りる。
一階の大ホールに着くや否や、バーソロンが百足魔族数体を、炎の紐で両断していた。
そのバーソロンは派手に跳躍。
シャンデリアのような装飾を破壊しては、大ホールの中央にあった大きなテーブルに着地し、
「――角鬼デラバイン族の同胞よ、聞けェ!! 今をもって我らの敵は魔界王子テーバロンテとなった!! 敵はバードインにあり! そして、そこの百足魔族デアンホザーと蜘蛛魔族ベサンは、我らの憎き仇敵だったことを忘れたとは言わせんぞ! デラバイン族の本懐を遂げたい者は、我に続けェ――」
そう叫び、テーブルから跳躍――。
バーソロンは両手に炎の魔剣を召喚し、その魔剣を、驚いている百足魔族デアンホザーに振るい、その体を両断――。
続けて前進し、百足魔族デアンホザーの鎌腕のような斧槍ごと体を両断。
硬い甲皮を有した百足魔族デアンホザーをなんなく斬るバーソロンは動きを止めず。
斜め横に移動しながら両手首から放った炎の紐で、五匹の百足魔族デアンホザーの体を輪切りのように両断して、百足魔族デアンホザーの集団に特攻していく。
敵は数百以上はいると思うが、勇気のある行動、それだけ武力に自信があるってことか。
背後のデラバイン族たちも百足魔族デアンホザーを急襲し、倒しながら、バーソロンを目指し、
「バーソロン様に続け――」
「「「「おぉぉ!」」」」
広い一階の大ホールは、瞬く間に戦場となった。
「さすが光魔騎士バーソロン! 強い!」
「あぁ、俺たちは左側の敵を受け持つとしよう」
「ンン」
「「はい」」
皆と階段付近を離れた。
左側には百足魔族デアンホザーと蜘蛛魔族べサンの部隊が多い。
ここに元々いた角鬼デラバイン族の兵士たちは百足魔族デアンホザーと蜘蛛魔族べサンと同じく、驚いている者が多く、戸惑っている者もそれなりにいる。
一応、その角鬼デラバイン族の兵士たちに向け――。
「――左側の百足魔族デアンホザーと蜘蛛魔族べサンは俺たちがもらうぞ――」
そう宣言しながら百足魔族デアンホザーに突進しつつ、両手首を意識。
いきなり<鎖型・滅印>を発射した。
直進した二つの<鎖>が、百足魔族デアンホザーの体を穿つ――。
即座に、その百足魔族デアンホザーの体に<鎖>を絡めてから、二つの<鎖>で圧殺を試みた。
ブシャッと、甲皮の潰れた音が響く。
二つの<鎖>により百足魔族デアンホザーの百足の体は潰れるように幾重にも分断される。そうして倒したことを確認しつつ――。
二つの<鎖>を消す。
「ンン――」
相棒は黒豹となって俺の右斜め前に出た。
ヘルメはその真上から<珠瑠の花>を斜め前に向かわせていた。イモリザは
すると、左斜め前にいた数十といる百足魔族デアンホザーたちが、
「「「「フシャァァ――」」」」
と叫びながら斧槍のような鎌腕を伸ばしてきた。
左手の神槍ガンジスの穂先を下に傾ける。
同時に魔力を神槍ガンジスに込めつつ<闘気玄装>を強めたところで、迫ってくる鎌腕に向けて、斜め前へと跳躍――。
跳躍しながら、斧槍のような鎌腕を、無数の刃と化した神槍ガンジスの槍纓が弾きまくりながら一部の鎌腕を切断していく。
跳躍機動で宙空から百足魔族デアンホザーの集団に近付き――。
右手の魔槍杖バルドークで<龍豪閃>を発動。魔槍杖バルドークを振り抜いた。
龍が空間ごと喰らうが如くの一閃が、数体の百足魔族デアンホザーの硬そうな頭部を喰らい付くように切断――。
その頭部を潰れるように失った手前の死骸を足場に利用するように左足の裏で捉え蹴りながら、斜め前へと身を捻って跳ぶ――。
飛来してきた蜘蛛の糸と鎌腕を背中に感じながら避けつつ百足魔族デアンホザーに宙空から近付く。
即座に<双豪閃>――。
体に両腕ごと巻き付かせるように振るった魔槍杖バルドークの穂先が、百足魔族デアンホザーの頭部を潰す。
やや遅れて、左手が握る神槍ガンジスの穂先が、その頭部が潰れた百足魔族デアンホザーの体を捉え、それを両断。
その<双豪閃>の着地際に<凍迅>を発動。
――ドッと冷気が体から迸る。
前と左右から迫っていた百足魔族デアンホザーの鎌腕が<凍迅>の魔力を浴びて一瞬で凍って動きを止める。
斧槍のような鎌腕は真っ直ぐ伸びたまま凍り付いた。
それらの伸びきった鎌腕を――。
神槍ガンジスと魔槍杖バルドークの連続<刺突>で打ち砕く。
斧槍のような鎌腕を失った百足魔族デアンホザーたちは体を仰け反らせる。
その百足魔族デアンホザーを倒そうと直進。
刹那、百足魔族デアンホザーたちの体に相棒の触手骨剣が刺さっていった。
触手骨剣を繰り出していた
「ンン――」
が、その
「相棒、ナイス――」
そう褒めながら
動きを止める。
相棒に背後を任せつつ、右から鎌腕を伸ばしてきた百足魔族デアンホザーを凝視しつつ魔槍杖バルドークに魔力を込めた。
体幹の筋肉を意識しながら腰を捻り――。
一気に筋肉のしなりを活かすようなモーションの魔槍杖バルドークをぶん投げる<投擲>を行った――。
宙を劈く勢いで直進する魔槍杖バルドーク――。
他の百足魔族デアンホザーが繰り出した鎌腕と衝突するが、魔槍杖バルドークの勢いは衰えず、相棒に攻撃してきた百足魔族デアンホザーの体を貫き、背後にいた百足魔族デアンホザーの体を貫いて止まった。
「にゃお~」
<
魔槍杖バルドークごと、その魔槍杖バルドークが突き刺さっている百足魔族デアンホザーを<
戻ってくる魔槍杖バルドークを右手で掴む。
と同時に<
魔槍杖バルドークが体に刺さっていた百足魔族デアンホザーの頭部を、方天画戟と似た双月の矛が貫いた。
よし――。
「――<使徒三位一体・第一の怪・解放>」
イモリザの声が大ホールの左側から響く。
見ようとしたが、蜘蛛の糸が大量に迫る。
俺と相棒はバックステップ。
「――デラバイン族の裏切りか!」
「……バーソロン様、否、バーソロンはどうして……」
「……悪神ギュラゼルバンか恐王ノクターの眷族が何かをしたんだろう」
「チッ……ここで内部分裂とは……」
「百人長グズローに千人長ハバが、あっさりと……魔界王子テーバロンテ様に報告したいが……外も同じなのか?」
と、蜘蛛魔族べサンの連中が語る。
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